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SF  作者: 真夜
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13/14

工業系アイドルの製造過程 上

全面鏡張りの部屋で、曲とタンタンと言う音が響く。

青いロング髪が肩に当たる...切ろうかな...と地毛を見ながらもステップは止めない。


「織田先輩、お疲れ様です。」

練習が1通り終わると、後輩の神奈寧々がミネラルウォーターを持ってきてくれた。


「神奈ちゃんありがとうね。」

後輩から、ミネラルウォーターを貰って飲み始める。


「...」

飲んでいる時に、小指が立っていたので直す。


「ん?先輩どうしたんですか?」

神奈ちゃんがおよっと言いながら聞いてくる。


「神奈ちゃん...飲み物飲んでる時に小指が立ってたらどう思う?」


「え?先輩の場合、マイク持つ時もですが...可愛いですよ」

神奈ちゃんが笑顔でそう言ってくる。


「そっか...なら何もないよ。」

そう言って、ミネラルウォーターのキャップを閉める。


「先輩タオルとか、要りますか?」

頼れる後輩が、クーラーボックスから冷えたタオルを取り出す。


「うん。貰うよ...ありがとう。」

後輩から冷えたタオルを受けると、冷ッと叫びながら、体を1通り拭いた。


「あ、タオル洗っときますよ。」

またまた、頼れる後輩がタオルをひょいと私の手から取って行く。

天使なんだろうか...いいお嫁さんになれるな、神奈ちゃん。


「その...ありがとうね...神奈ちゃん」

言葉を詰まらせながら、そう言った。

どうも、ちゃん付けは苦手だ...学校では生きがって連呼してるけども。


「はい!私が好きでやってる事なので、大丈夫ですよ!」

後輩の笑顔が眩しい。

心がすごい浄化された気がする。


「それよりも先輩、今日いいことありましたか?」

後輩が、近くに寄ってきてそう聞いてきた。


「いいこと...と言うか...悪い事かな。」


「へ?...内容聞いてもいいですか?」

後輩が推理が外れた...みたいな感じの顔で見てくる。


「うん、PRoUdが織田美希という事実がバレる所だったんだよ。バレなかったけど...」


「なるほど、けどバレても良くないですか?」

後輩が、私は学校のみんなに、私はアイドルって言ってますからね。と続けてくる。


「そ、そうなの?け、けど...恥ずかしいと言うか...」


「う、先輩の照れ顔...可愛い...」

と後輩がぼそっと言った気がするが...気のせいだろう。


「けど、言いたくないなら、別に言わなくていいと思いますよ。それで、変に浮くのも嫌ですからね。」

後輩がご最もな意見を言ってくる。


「そうなんだよね...けど、バレそうになった子が、すんごい優しくて...騙すのも、なんか嫌なんだよ...」


「いい人なんですね...先輩の学校の人は...私も来年、東雲工業高校に行こうかなーなんてね」

後輩が冗談を言うなんて珍しい...励ましてくれたのだろうか。


「神奈ちゃん、ありがとうね。もし自分達の学校に来るんだったら、車について色々教えてあげるよ。」

神奈ちゃんは今、中学3年生...懐かしいな。

私が中学2年と半分ぐらいの頃だったかな...車に興味を持ったのは、あの時は、色々とカオスだったけど...今となってはいい思い出だ。


「先輩!ありがとうございます!是非車について教えてください。私頑張りますよ!」

後輩が元気よく食いついてきた。


「うん。東雲工業高校は来年には、超有名校になってるだろうから。受かるように頑張ろうね。」

そう、今年は私達が革命を起こすから、来年には、東雲工業高校は有名校になるだろう。

...まぁ、来年にならなくても、下手したら1週間後には、有名校になるかもしれないけどね。


私は携帯のSNSを開く。SNSでの活動名は、勿論PRoUd。

PRoUdのアカウントに今日の練習風景の動画をアップする。


「先輩、毎日お疲れ様ですね。」

後輩が携帯の画面を見ながら、そう言ってくる。


「うん、私を応援してくれてる人達の期待に応えないとね。」


「はい!って、およ...先生が見てる。先輩練習を再開しましょうか」

後輩が立ち上がって、手を差し伸べてくる。


「よーし、やろうやろう。」

後輩の手を掴み、立ち上がる。

鏡に映る自分を眺めながら思う。

アイドルの時と、学校の時...どっちが本当の私なんだろうか。

その答えを私はまだ...導けていない。


アイドル育成施設を後輩と後にして、後輩と一緒に全く同じマンションに帰る。

エレベーターで、後輩が4階を押す、私も4階だ。

エレベーターで4階に上げてもらい、2人でコツコツと音を立てながら歩いてく。


402号室に、神奈という名札がある。

そして、そのすぐ隣、403号室に織田という名札が置いてある。


「それじゃあ。先輩また明日。」

後輩が手を振りながら、ただいまと自分の部屋に入って行った。

後輩の姿を見送った後に、私も403号室に入っていく。


「ただいま...」

靴を脱いで、家に上がる。


「お帰り...美希、それで早速で悪いんだけど、お父さん呼んできてくれない?」

母が迎え入れてくれる。

そして、1週間に1回ぐらいのペースで来る、この依頼を強制受注される。


「はいよーいつもの場所にいるの?」

1分前に脱いだ靴をまた履きながら、そう聞いた。


「うんうん、あの人、集中すると時間忘れちゃうから...そこがまたいいんだけどね...」

うん、幸せなことはいい事だと、喜びながら家を出ていく。


夜も少しではあるが、暑くなってきた。

夏が近づいている。高校生活初めての夏...すごい楽しみなんだよね。

中学生時代は、怠惰に過ごしていたので、今年は、内容の濃い夏休みを過ごしたいなー、そう思いながら走ること5分、そこそこ大きい工場にやってくる。

工場の看板には、PRoUdと書いてある。


まぁ、そのつまり、私の活動名は完全に親の会社のピーアールなのである。

工業系アイドルではない、深く行くと、工場系アイドルな訳だが、今更修正は出来ないよね。と思いながら工場へ入る。


工場内では、ブレーキのパット、ディスク、ブレーキラインなど色々なものが製造されている。

新品のブレーキディスクなどは見ていると、心が癒される。

あの艶、スリット最高だわ。


「よ、お嬢さまの登場だ」

社内を歩いていると社員さんから、そう呼ばれる。


「そ、そんなお嬢さまって...ただのアイドルですよ。」

そう言うと、社内が賑やかになる。

しかし、奥の方は私に見せまいと、せっせとブルーシートを何かに被せていた。

ブルーシートを被せ終わると、父がこちらに向かってくる。


「美希か...もう晩御飯の時間か?」

急いで、ブルーシートを掛けたので、息がぜえぜえとなりながら、そう言われる。


「うん。忙しいなら、母さんにそう言っとくけど?」


「いやいや、みんな帰っていいかな?」

父が社員さんにそう聞くと。


「任せてください社長。後は自分達に」

そう大声で返ってくる。いい会社だなー本当に大好きだ。この空気が。

社員さんが、父に近づいて、何かを聞いている。

大量の資料を父に訂正されている。

何を作ってるいのか...気になったけど。企業秘密だろうなと諦めた。


「さぁ、帰ろうか...美希」

父が、そう言って荷物を持ってきた。


「うん!帰ろう帰ろう。」

親と一緒に家に帰る。

今日も平凡な1日が終わろうとしていた。



ピピピという目覚ましの音で目覚める。


起きるとまず、家族3人でご飯を食べる。

父が出勤すると、洗面所でショートヘアのウィッグを付けて、違和感がないかを確認する。

制服を着て、荷物を確認して、神奈ちゃんが待つ待ち合わせ場所に行き、一緒に通学する。

神奈ちゃんは、東雲工業高校の少し手前の中学校に通っている。

神奈ちゃんと、至近距離でトコトコと歩くのが毎日の幸せなんだよな...と思いながら隣を見ると、可愛らしい後輩が、ん?と私の顔を疑ってきた。


「先輩!今日も1日頑張りましょう!」

と、先輩に励ませれ別れる。


神奈ちゃんと別れて、歩くこと4分ぐらいで東雲工業高校に着く。校門をくぐって、会議室に直行する。

会議中というプレートが貼ってあるが、お構い無しに開ける。


「おはよ、みんな!」

超元気っ子、織田美希!ここに登場です。


会議室を見渡すと、私以外は全員揃ってた...珍しいな私が最後って。


「美希ちゃん!おはよう。」

朋ちゃんが近寄ってくる。どうしたんだろうか。


「美希ちゃん!朗報だよ。私達PV作らなくても良くなりました。」

朋ちゃんがぴょんぴょん跳ねながらそう言った。


「...え、えっと、どういう事かな?」

勿論、作らなくて良くなった理由は知っている。

だけど、それを悟られないように振る舞う。


「うん。けんちゃんがね、昨日PRoUdって言う、すんごい可愛いアイドルさんに私達の代わりに動画を作ってて、頼んでくれたんだよ。そしたら、PRoUdさんがいい人でね。OKしてくれたんだって。」

朋ちゃんがPRoUdさんは、天使の転生者なんだねっと言いながら、はしゃぐ。


「へ、へぇ、それはおめでたいことだね。」

けんちゃんが、上手いこと誤魔化してくれたみたいで、ほっとした。


「それじゃあ、今日からは何するの?」


「今日からは、昨日私が取りに行った。部品をインストールして、スープラの性能を上げていこうと思います。」

そう言って、けんちゃんが、ダンボールを指さす。


ダンボールの中には、配線やラジエーター、ベアリングなどが入っていた。

最新鋭のラジエーターは、立体的な構造になっていて。

当たる面積を大きくすることで冷却効率を大幅に上昇した形になっている。とても、神秘的だった。


配線は、被覆がブルーパールが輝いていて、いかにも高そうだった。チタンにより、軽量で高耐久そして、細く出来る配線は、エンジンルームをオシャレにしてくれるだろう。


配線なんてこだわる人は、あまり居ないだろう。

だから、このこだわりは、ほかの人との格差を付けるために重要なチューニングと言える。


「これを付けて、次のSFに備えましょう。」

けんちゃんが、資料をみんなに配り、作業が始まった。


スープラに使われている、既存のベアリングを一部、配線をすべて1度排除する。


そして、新たに現代の技術とこだわりによって作られた物を付けていく。


配線に関して言えば、純正の配線の半分近くの重量になった。

これは画期的過ぎる...しかし、値段がな...

商品の紹介リストを見て、目を疑った。2mぐらいで15万円ぐらいするんだから...も、もう笑うしかなかった。


「お姉ちゃん、この配線すごい綺麗だよね。」

葵ちゃんが、そうはしゃぎながらそう言う。


「うん、けど...これ失敗したら笑えないから...真面目にやらないとね。葵ちゃん。」

蒼井が、葵ちゃんを落ち着けーと言いながら抑えている。

...仲良いな流石姉妹。

しかし、姉妹なのに、なんで名前が違うのだろうか?

疑問ではあるが、聞いちゃいけない気がする。


そんな感じで、配線を綺麗にまとめた所で、今日の作業は終了。通常なら、加奈江ちゃんと朋ちゃんを除くグループみんなが一緒に下校する。

しかし。今日は、けんちゃんがプロちゃんと約束がありますのでと言って居残りをした。


私も、みんなと一緒に校門を抜けて、先客がいるからといいダッシュでみんなと逆の方向に走っていった。

みんな、多分、え?何事と思っただろうが...気にしない。


ダッシュで東雲工業高校に戻ってきて体育館の更衣室に行って、ウィッグを外し、カラコンを付け、昨日けんちゃんが貸してくれた衣装に着替える。

鏡を見て、違和感が無いか確認して...完成。

超元気な学生から、自信のないアイドルが完成する。


「いけない...時間が」

時計を確認すると、待ち合わせ時間、ギリギリになっていたので、急いでピットに向かって走った。


ピット付近に行くと、遠くからでも目を引く、紫色の髪が見える。


「佐々木さん...お待たせ...しました。」

息を切らしながらも、そう言った。


「プロちゃん、大丈夫ですか?落ち着いてください。」

佐々木さんが、そう言うとピットに入っていった。


「これ、どうぞ。」

すぐに戻ってきて、ミネラルウォーターを持ってきてくれた。


「あ、ありがとうございます。」

流石に喉が乾いたので、ありがたく頂く。

飲んでいる姿を、佐々木さんがジロジロ見てくるので、ちょっと、飲みづらい。


「な、なんか変ですか?」

なんか、珍しい飲み方でもしただろうか...

あ、もしかして...飲み方が気持ち悪いとか...


「いえいえ、その小指立てながら飲んでるので、私の友達に似てるなーって思ってたんです。」

佐々木さんが、笑顔でそう言ってくる。


「...そ、そうなんですか...べ、別に普通ですよ...」

そう言って、小指を勢いよく元の位置に戻した。


「ふふ、その焦り具合も、似てますよ。」

佐々木さんが、そう言って笑ってくる。

...ば、バレた??


「そ、その。そんなに...似てますか?」

ちょっと、ジト目になりながら聞いてみる。


「はい、可愛いところから、行動とかも結構似てますよ。また今度合わせてあげたいぐらいですよ。」

佐々木さんが、そう言って、その例の友達の写真を見せてきた。

写真に写っている人は...織田美希だ。

やっぱり、もっと日々の行動とか見つめ直さないと、すぐバレちゃうと反省する。


「まぁ、その話は置いといて...早速動画作成を始めましょうか。」

佐々木さんが、話を逸らしてくれた。

た、助かった...後、5分長く話してたら、絶対バレてた。


佐々木さんが、こちらですと手招きする方に着いて行った。

ピットの中に入ると、昨日とは出てるオーラが違う、スープラが眠っている。

配線や、ベアリング等を1級品の物に交換することによって、昨日までのスープラとは、違うと...改めて感じた。


「気になりますか?このスープラ?」

佐々木さんが、そう言ってきた。


「はい...その、凄いかっこいいし、オーラ的なものが出てますよ。」


「そうですか、気に入ってもらえてよかったです。」

佐々木さんが、笑ってくれる。

いつもは、気にしてなかったけど...こうやって、佐々木さんを、見ると、やっぱり可愛いんだなーと思い知らさせる。


「それで、動画の内容なんですけど、校内を巡って、東雲工業高校がどういう所なのか...そして、このスープラのポテンシャルを1部公開するような形にしようかな...と思ってます。」

佐々木さんが、企画資料を渡してくれる。


今日の配線処理を皆がしてる中、佐々木さんが一人で黙々と考えてくれた、この企画。

申し訳なくて、泣けてくる。

私が、本当は...織田美希ですと言っていれば、二人で考えることが出来た。

しかし、私は言わなかった。申し訳ない。


「ん?プロちゃん?どうかしましたか?」

佐々木さんが、目の前にひょこっと現れる。


「い、いや...その何も無いですよ...」

いつか、話せる時が来たら...謝らないと。

今は、まだ、ちょっと言える勇気が無かった。


「それじゃあ、校内紹介から動画を撮りましょうか。」

そして、佐々木さんに連れられて校内を探索する。


自動車棟、通称1号棟では、自分たちのピットを紹介した。

計測器の性能についてや、ピット内がどうなっているか。

ここで何をしているかを説明した。


外に出て、グランドでは、ソフトボール部やテニス部が元気そうに活動していた。

旋盤室では、機械部などが、制作活動をしている。

溶接室も、大体は機械部や環境設備部が使っていた。

アーク溶接の光は、直視すると目が焼けるので、直接は見なかったが、まぁ、なんとも眩しそうだった。


東雲工業高校は、全部で5つの棟で構成されている。


自分たちの使う自動車棟が1号棟。

2号棟が、自分たちの教室や他の科の教室がある棟。

3号棟が、今さっき行った。溶接室や旋盤室、パソコン室などで構成されている。

4号棟は、部活棟と言われていて、各部が空いている教室を割り振って、部室にしている。


そして、私達が踏み込んだことのない棟。第0号棟があるらしいが...そんなもの、見たことは無い。

入学式の時に配られた資料にこの内容が書いてあったが、打ちミスじゃあないかと...一時期噂になっていた。

今は、誰もが0号棟なんて無い。と言っているぐらいに興味は無くなっていた。


取り敢えず、今は、1号棟、2号棟、3号棟の紹介が終わったので、次は4号棟の紹介になるわけだ。


「その、4号棟は、部活棟って書いてありますが...どこの部活を紹介するんですか?」

自分は、部活に入っていないので、どんな部活があるのか、知らないので聞いてみる。


「パンフレットで書いてある部活で興味のある部活はありますか?」

佐々木さんがそう言ったので、パンフレットの部活紹介を見る。

幽霊部、仕分け委員、アシスト部など、どっかのPCゲームで見たことあるような...部活が色々あった。

めちゃくちゃ、行ってみたかったが...ここは無難なのにしよう。


「えーと、なら、情報電子部とか?どうですか?」

ここは確か、朋ちゃんと加奈江ちゃんが入部した部活だった気がする。

興味があるので、1回は行ってみたかった。


「分かりました。行ってみましょう。私もこの部に興味があったので。」

佐々木さんが、ニヤニヤしながら、歩いていく。

やっぱり、興味あるよね...あの眠たそうな加奈江ちゃんがわざわざ入る部活だから。


情報電子部の前に来ると、来たれ情報電子部と書いてあった。


「それじゃあ、入りましょうか。」

佐々木さんが、ドアをノックして失礼しますと行って、部室に入っていく。


「失礼します。」

私も、佐々木さんに続いて部室内に入っていく。

入った瞬間。


「せ、先生流石です...天才です、嫌これは...神ですね」

朋ちゃんが...ホバリングしながら叫んでた。

え?朋ちゃん...いつの間に、昔、賛否両論を生んだ、例のヘリコプターの特技が使えるようになったの...


私と佐々木さんが、ポカーンとしていると、朋ちゃんはようやく、着陸した。

そして、やらかした...みたいな顔をしながらこっちを見てくる。


「け、けんちゃん...な、何でここに。」

朋ちゃんが、首をギギギという音がなりそうなぐらいゆっくりと回して、そう言ってきた。


「え、えーと、部活紹介の動画を撮りたくて来たんですけど...タイミングが悪かったですかね?」

けんちゃんが、苦笑いをしながら、そう言った。


「いいえ。ナイスタイミングよ。佐々木さん。」

突如、『私が部長』と言う、どっかで見たことあるワッペンを付けた生徒が立ち上がってそう言った。


「え、えーと...この部の部長さんですか?」

佐々木さんも、知らなかったみたいなので、オズオズと聞いている。


「はい、この情報電子部の部長、井上志帆と申します。」

そう言うと、こちらに歩いてきた。

佐々木さんをジロジロ見たあとに、こちらを見てくる。


「あ、あら?貴方ってもしかして...PRoUd?」

井上さんにそう聞かれた。

し、知られてる...そ、そんな有名じゃない気がするんだけど。


「は、はい...そうです。PRoUdです。よろしくお願いします。」

できる限りのアイドルスマイル?で返す。


「...可愛い...よし、芳村、この2人を確保するわよ。」

そう言うと、朋ちゃんが入部届けの紙、ボールペンを持ってきた。


「さぁ、2人とも、この入部届けを記入して、共に青春しましょう。」

井上さんが、手を差し伸べてくる。


「い、いや...そのごめんなさい。私...この学校の生徒じゃないので...」

私は、この部活に入りたかったが...PRoUdは、この学園の生徒ではない設定なので、断るしかなかった。


「え?あ、確かに...制服がかなりアレンジされてるわね。」

似てるから、一瞬気が付かなかったわ。と言いながら井上さんが近づいて、見てくる。


「この制服、可愛い...これが学生服なら、すごいモチベーション上がるのにな...」

朋ちゃんが、ジーと見ながら、羨ましそうに言ってくる。


「そ、その...着てみます?」

私が、そう誘うと見事に引っかかった。


「お願いします!!」

私は、アレンジ制服を脱いで、井上さんに借りた、本当のアイドルっぽい衣装を借りた。

肌触りとかも、私が動画撮影の時に着る自作衣装より良いし、井上さん、何者なんだろう。


着替え終わり、簡易更衣室を出ると、朋ちゃんはまだ着ている途中らしく、居なかった。


「プ、プロちゃん、可愛すぎますよ...可愛い」

佐々木さんが、我を忘れて、写真を激写しまくる。


「PRoUdさん...やっぱり、私は信じてたわ。」

そう言いながら、井上さんは、鼻血を止めるために、ティッシュを取りながらも、高そうなカメラをこちらに向けてきた。

...すごい、器用だな、この人。


「あ、ありがとうございます。」

髪飾りが落ちないか、心配になるぐらいに、お礼した。

...あ、あれ...なんか1人足りなく無い?き、気のせいかな?

今さっきから、何か、違和感があるが、なんだっけ?

そう思ってると、私の後ろぐらいから、物音がする。


「あ、あの...着替え終わりました。」

朋ちゃんが、そう言って出てきた。


「...」

場が静まりかえる。


「み、皆さん??」

朋ちゃんが、スカートに手を添えながら、首を傾げる。


「芳村...いい!いいわ。さすが我部のダブルエースその1」

そう言いながら、井上さんは、高そうなカメラのフラッシュを焚きまくる。


「芳村さん、すごい可愛いですよ。」

そう、スゴイ似合っている。

流石、朋ちゃん専用に設計されて作られただけある。

葵ちゃん、すごい天才的だよ。このアレンジ制服は...朋ちゃんに着さすと、多分彼女を巡って戦争が起きるぐらい、強烈です。


「朋ちゃん、これ本当は、葵ちゃんが、朋ちゃんにあげるために作った衣装なので、プロちゃんの動画撮影が終わったら差し上げますよ。」

そう言いながら、佐々木さんは、携帯のカメラでの連射を止めてなかった。


「え、本当ですか?けど、この学生服って、校則通らないよね?」

朋ちゃんが残念そうに言ってくる。


「大丈夫よ!芳村...私はあなたがその服で登校してくれるのなら、校則を曲げることに命をかけることを約束するわ。」

井上さんが、校長室までのルートを確認しながら、どこから取ってきたのか、知らないがサバゲーで使う用だよね??知らないけど、ハンドガンを持ってきた。


「いや、そんな事しなくても、自分の学校は、そのアレンジ制服は校則にかかりませんよ。」

佐々木さんが、自信満々にそう言ってくる。


「え?そうなの?けんちゃん、なんで?」

朋ちゃんが、ご最もな質問をする。


「ちゃんと!先生に許可を取りましたから。」

そう言って、公認書と書いてある資料を見せてくる。


えーと、なんて書いてあるんだ。

この写真に映っている制服での登校等を許可します。

そして、その下に、校長先生の印鑑が押してある。


ほ、ほう!つまり、校長先生公認の制服なのか。凄いね。

しかし、気になることがある。なんか、文字も印鑑もすごい、ブレてない?

文字もやっと読み取れるレベルぐらいの雑さだし、印鑑に関しては、文字は見えない。


「あの?これ、凄い、震えてませんか?」

私が、そう聞くと佐々木さんの後ろから、謎のオーラが出てきた。


「え?なんですか?」

目の虹彩は無くなり。そう無感情で言ってくる。


「え、いや...そのこの文字とか...震えてないかなと」


「え?はは、プロちゃん疲れてるんですね。なるほど」

佐々木さんが、そう言って、無感情で肩を揉んでくれる。

い、痛い痛い。力が強すぎる。


「そ、ちょ。ちょっと痛い...何もないです。」

流石に抵抗できず、音をあげてしまう。


「そうですよね。何も無いですよね何も。」

佐々木さんの、目に虹彩が戻る。

な、何だったんだ...今さっきのモードは。


「制服を着てもいいってことですよね?学校内で。」

朋ちゃんが、嬉しそうに聞いている。


「はい!後少しの間待っておいて下さいね。」

佐々木さんが、そう言うと、朋ちゃんがぴょんぴょん跳ねながら喜んでいた。ありがとうございますと叫びながら。


「それで...この部活の紹介をしたいんでしたよ。そう言えば。」

佐々木さんが、ようやくここに来た理由を説明した。

いや、厳密には、はじめに言った気がするが、聞かれてなかったみたいだ。


「あ、そうなの?うちの部活の紹介ねー。」

そう言うと、井上さんが、シャシャシャと画用紙に絵を描いていく。

15分ぐらいたっただろうか。

動画を取りながら、時間を確認した。


「はいー完成。これがうちの部活の活動内容だよ。」

そう言って、井上さんが、完成した絵を見せると、朋ちゃんは、キマシタワーと言いながら、悶えていた。

...朋ちゃんも、毎日大変だな...と思いながらも絵のクオリティに感動する。


「すごい絵が上手いじゃないですか。感動しました。」

プロ級だ。これ...天才なのかな?井上さんは。


「ふふ、上手いしでしょ。もっと褒めてもいいのよ。」

そう言うと、井上さんは、どこから取ってきたのか知らないが、扇子を広げて扇いでいた。

この部室の備品ってなんでもありだな。


「はい。上手すぎですよ。衣装のデザインしてもらいたいぐらいに。感動しました。」

そう、井上さんの絵は、絵が上手いだけじゃなく、そのキャラが着ている衣装がすごい、いい感じにマッチしているんだ。

だから、すごい可愛いく、見える。


「いいわよ。私もアイドルの服デザインしてみたかったし。連絡先とか教えてくれた。いつでもやってあげるわ。」

そう言うと、胸元から、シュッと名刺を取り出してきた。

か、かっこいい...井上さん...ハイスペック過ぎない?や、やばいよね。こんな高スペックな子。


「ありがとうございます。それじゃあ...時間も時間なんで、失礼します。」

そう言って、佐々木さんと一緒に部室を後にする。


「いい部活でしたね。活動内容...美術部ですが。」

佐々木さんがマジレスをした気がするが、聞いてなかったことにしよう。


「そうですよね。楽しそうで...羨ましいです。」

あーなんで、織田美希の時にここに来なかったんだろうと、後悔した。


「あ、そう言えば...情報電子部ってもう1人部員がいるはずなんですが...どこに行ってたんでしょうか?」

佐々木さんが、あれ?っと言いながらそう言った。

た、確かに...加奈江ちゃんが居なかったな...どこ行ったんだろう。


「ま、まぁ、私のクラスメイトについても、また機会があれば紹介しますよ。取り敢えず、動画撮影は終わったので...お疲れ様です。」

そう言って、佐々木さんが打ち上げ行きます?と誘ってきた。


「はい!お疲れ様です。あ、すいません...家の予定があるので、また今度では...駄目ですか?」

今日は、ダンスのレッスンは無いが...家族みんなでご飯食べるのが日課だから。キャンセルした。


「そうですか。それじゃあ、また後日、連絡しますね。」

そう言って、佐々木さんが、帰りましょうと、手を差し伸べてくる。


「あ、あの...明日からは、来なくていいんですか私?」

動画撮影は、一応終わったので聞いてみる。


「そうですね。忙しいようなら、あとは私でも出来る事なので、大丈夫ですよ。」

佐々木さんが、そう言いながら笑ってきた。


「なら...お願いしていいですか?明日から、ちょっと来れそうにないので...」

私は...思ってもないことを言ってしまった。

苦しかった...これ以上、もう一人の自分を優しい人たちに見せたくない。嘘は...つきたくない。

それぐらいなら、多少強引でも、嫌われてもいいから、距離を置きたかった。


「はい。分かりました。完成したら動画を送りますね。」

だけど...佐々木さんは、嫌な顔一つしないで、見送ってくれた。


「そ、それじゃあ。借りた制服は洗って持ってきますね。」

そう言って、私は、走って...逃げた。

怖かった。これ以上喋ると、傷つけそうだったから。


足が重い。空気がうまく吸えない。

自分の帰る所があるマンションに着くと、足を震わせながら、ドアを開ける。

エレベーターを呼びながら、息を整える。

チーンという音と共に、エレベーターがドアを開ける。

乗り込んで、10秒?20秒ぐらいすると、ドアがまた開いた。

エレベーターを降りて、神奈と書いてある名札を超え、織田と書いてある。ドアに辿り着く。


ドアノブを握ると、鍵はかかってなく、抵抗なく開いた。


「ただいま。」

アイドルボイスはどこへやら...重みの効いた声を放った。


「あ、美希おかえり、今日も、悪いけどお父さん呼んできてくれない?」

母が、ごめんと、手を合わせてお願いしてくる。


「うん。大丈夫だよ。行ってくる。」

私は...元気そうにそう答えた。


「いってきまーす」

そう元気よく、部屋を飛び出した。


今日も走る...走って走って。

辿り着く、PRoUdという名のブレーキ製造工場に。


「失礼します。お父さんいますか?」

工場に入る時に、毎回言ってることを言う。


「おお、お嬢。社長さんなら、今奥の方に行ってたよ。」

若い男性にそう教えてもらい。

お嬢じゃないですよーと言いながら、お礼を言って、奥の方に歩いていく。

父の姿が見えたので、声をかける。


「お父さーッ」

発声を途中で断ち切った。

父は、誰かと喋っていた。それもPRoUdの工場の作業服を着ていない。

お客さんなのかな?商談かー。父が昨日は、隠していた、ブルーシートを解放させて、商品説明?をしていた。多分。


ブレーキキャリパーは蒼いアルマイト処理がされていて、ブレーキローターも蒼く染まっている。


「綺麗...」

本当に綺麗だった。

ブレーキにここまでの美を追求すると、引かれそうだが、とても綺麗なブレーキ一式だった。

私が感動していると、後ろから足音が聞こえてくる。


「あれ?織田?」

後ろから、声をかけられる。


「はい!そうですよ?」

振り返りながら、返事をする。

振り返ると...加奈江ちゃんがいた。


「織田...何でここにいるの?」

加奈江ちゃんが、不思議そうに聞いてくる。


「それは、ここが私のお父さんが働いている工場で、晩御飯だから迎えに来たんです。」


「そうなんだ...織田...あー社長さんか。」

加奈江ちゃんが、理解理解とこくこくと頷きながら、名刺を見ていた。


「あれ...加奈江ちゃんは?何でここにいるの?」

加奈江ちゃんの、親がここで働いているとか言う、衝撃の事実はあるのだろうか?


「んーうちの親が、PRoUdさんと連携して軽量ブレーキの開発をしてるんだよ。それの付き添い。」

そう言うと、加奈江ちゃんが、私のお父さんと喋っている人を指さす。あの人が、加奈江ちゃんのお父さんらしい。


「なるほど、それで今日部活いなかったんだ...」

ようやく理解した、加奈江ちゃんが部室にいなかった理由が、PRoUdに来ていたんだ。


「あれ?なんで、織田って自分の部活来たの?」

加奈江ちゃんが、不思議そうに聞いてくる。


「あ、うん!ちょっと...いろんな用事でね。」

流石に、アイドル姿で行きましたーとは言えない。


「あー、それで部長に、ロング髪のウィッグやカラコン付けられて、制服まで可愛くアレンジされた訳ね?災難な。」

そう言われてようやく気が付く。

え?私、PRoUdの姿でバレちゃってる???

そ、そんな馬鹿な...私の変装完璧じゃないの?


「ちょ、ちょっと...加奈江ちゃん...なんで、こんなに変わってるのに、私って気づいたの?」

本当に疑問だった。


「え?こんなに?いやいや...化粧を薄くした並に、可愛い変装だよ。」

加奈江ちゃんが、いやいやと手を振りながら言ってきた。


...え?と言うことは...もしかして...


「けんちゃんにも、バレてる???」

そう叫んでしまった。


叫びながらみた、次世代ブレーキは、蒼く光っていた。

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