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ほのぼの11! わいばーんびん!



 エコールさんが帰ったあと、俺たち家族もそろそろ家に帰ることにした。




 帰り道、ダンさんの喫茶店の近くで、人間大のニワトリさん親子に遭遇した。



「おう。お前たちが新しく引っ越してきたキムラってもんか? 俺はニワトリを育ててるポロックってんだ。ニワトリの事なら俺にいいな。んで、こっちは俺の子供たちだ。ほら挨拶」


「ショウです」

「ヒョウです」

 と、父、息子さん二人、全員が見事にニワトリさんである。


 というか、ニワトリが養鶏をしているのか…。

 と、思いつつ、こちらも順番に挨拶していく。


 自己紹介のあとは、何故か全員とそれぞれ握手。これが、この村の常識らしい。


「あと、奥さんと一番下に赤ん坊がいるんだけどな! そっちは今度会った時に紹介するよ!」


 と言うと、ほれ! 行くぞ! と子供たちに声を掛け去って行った。


 何と言うか、嵐のような人だった。


「なんか急いでる感じだったね」

 と言ったハナに俺は同意しておいた。


 子供たちはというと。

「ニワトリ!」

「トサカ……」

「トリさん!」

 と、それぞれ思い思いに、はしゃいでいた。






 家に帰り、夕方分の畑の水まきを終え、風呂に入り、夕食を食べ終わった俺は、今朝、ワイバーンさんから貰った出荷箱の説明書を読んでいた。


 それは三つ折りのパンフレットになっており、一部会社の宣伝のようになっている、というより本当に宣伝なのだろう、そこには、出荷箱に出荷できるモノ、その項目から、出荷箱の仕組み、契約内容、従業員紹介まで分かりやすく説明されていた。


 というか、従業員紹介は必要だろうか?

 うっかりワイバーンや、きっちりワイバーン、果ては居眠りワイバーンといった従業員が紹介されている。おい。居眠りはダメだろ。居眠り運転ならぬ居眠り飛行か? 間違って落ちたらどうすんだよ。



 俺は一番興味の引いた、出荷できる項目を見ていく。


「って、ほぼ何でも出荷できますって書いてるんだよな……」


 項目を見ていくと、野菜を始め、果物、調理物、魚や、虫といった、ありとあらゆるものの出荷が可能だと記載されている。

 野菜や果物は、そのまま箱に入れても大丈夫。調理物はカプセルに入れての出荷。魚、虫といった生き物は、専用の入れ物? カゴがあるらしいので、それに入れての出荷はオッケーとのこと。


 これは大丈夫か? というところでは、雑草やただの石なども出荷オッケーらしい。取引額は1円らしいが……。それでも1円はあるのかよ。

 何でも買い取り! とか書いてる某買い取りのお店でもその辺の石は買い取らないぞ。


「ってか、家庭ゴミも出荷していいのか!」

 もう何でもありだな……と思ったら、これは流石に注意書きで、家庭ゴミの取引価格は0円です、と書いてあった。どうやら、ワイバーン便さんが、この村のゴミ回収事業も一緒に行っているっぽい。何でもやってんだなワイバーン便。


 あ、でも、流石に出荷箱に収まり切れないものとかは出荷出来ません、と書いてあるみたいだ。例に建物など、と書いてあるが過去に入れようとした奴がいたんだろうか? 確かに、出荷箱には魔法のカバンと同じ機能が付いていると記載されてるので、入るっちゃ入ると思うがどうやって建物を持ち上げんねん。



 その流れで、俺は出荷箱の仕組みについて見ていく。


 ふむ。出荷箱の機能自体は、先ほども言ったが、魔法のカバンと同じ見た目以上に収納できる箱のようだ。収納数は1000個。一日1000個までなら出荷出来るという事である。すげぇな。ん。ということは、出荷を取りに来るワイバーンさんのカバンは、雑貨屋で20万ほどしたあのカバンなのかも知れないということか。


 さらに、出荷箱特有の機能として、ワイバーン便の本社に出荷物が入ったことを知らせる魔法が組み込まれているそうで、それによって出荷物を取りに行くか行かないかを決めているらしい。


 まぁ、毎日出荷先を回るのも大変だもんな。それで、わざわざ出荷物が無い家まで回るのも効率が悪いしな、魔法だが良いシステムだと思う。



 最後に目を通すのは、契約内容だ。


 ここには、ワイバーン便と契約するにあたっての、契約料金や注意が書いてある。


 まず契約料金についてだが、出荷物1つにつき、出荷額の1%を毎度ワイバーン便が差し引いていくらしい。小数点第一までは繰り上げ。


 要するに、100円のモノを出荷すると1円、10円のモノを出荷しても1円、先ほど説明にもあった雑草とか1円のモノを出荷すると差し引かれないという事か。

 これは…ワイバーン便さん、めっちゃ儲かるんじゃないか? いや、まぁ実情は分からないが……簡単に考えて、農家さん10人が1個100円の野菜を100個づつ出荷したとして。


 10人×100個×100円×1%=1000円


 あれ? そうでもないのか? でも、これ出荷物の金額が高くなればなるほど、ワイバーン便の取り分も大きくなるから……村人が儲けるとワイバーン便も儲けるということか?

 まぁ、いいや。ここはファンタジーな村。気にするだけ無駄だ。ほのぼのいこうぜ。


 ちなみに、翌日に届く明細書には、ワイバーン便の取り分は予め引いて記載されているらしい。


 あと、ワイバーンさんが言っていた出荷箱の複数箇所設置については、箱が一つ増える度に、設置代に1000円掛かると記載されていた。これだったら、複数設置してもいいかな? なお、一つ目の設置代は無料らしい。



「ふうー」

 と、俺は説明書を読み終わり、イスの背もたれに、もたれかかり伸びをする。


「読み終わったの?」

 と、話してきたハナに、うんと頷き、読む? と聞く。


 読むと頷いたハナに説明書を渡しながら、俺はトイレへと向かう。

 ちなみに、子供たちは畳間で、おもちゃを出して遊んでいる。


 トイレに座り、用を足しながら、先ほど呼んだ出荷物について考える。


 何も、野菜だけじゃなく、魚や虫も出荷出来るなら、魚釣りや虫取りをするのもいいのかも知れないな。あ、でもそれだと、専用のカゴが必要何だっけ。明日、雑貨屋でも行ってみるかな。

 最近は、支出していく一方だからそろそろ収入の事も考えないと。


 ピンポーン!


 と、俺が考え事をしていると、家のインターホンが鳴った。


 もう、夜の8時も過ぎている。こんな時間に誰だろう。

 と、俺は急いで用を足し、トイレットペーパーを手にする。


 一応、ハナがいるから対応は大丈夫と思うが念のためだ。


 俺は手を洗い、便座の横にある魔法陣に触れる。すると、致した用が徐々に消えていく。俺が触れたことにより魔法陣が反応し、用を魔素に変換しているのだ。うちはトイレもファンタジーだ。


 そして、俺はトイレから出た。


 トイレから出ると、ハナが腰を抜かしていた。対する子供たちは、何故か騒いでいるし喜んでもいる。


 何があった……。


 ハナはトイレから出た俺に気付くと。


「ユ、ユウ君……ド、ドラゴン……」

 そう言って玄関の方に指をさした。


「いや、奥さん本当にすいません。驚かさせてしまって」

 と、そこにいたのはワイバーンさんだった。



 俺が話を聞いて、状況を整理すると……インターホンが鳴り、玄関を開けたハナだったが、そこにいたのは、ドラゴン……ならぬワイバーンさん。それに少し驚いたハナ。そして、タイミング悪く、ワイバーンさんが荷物の宅配を遅れたことに、申し訳ございません、と大きな声で謝ってきたところ、驚いていたハナは、さらに驚き、腰を抜かしたとのことだ。


 あーたまにあるよね。少し驚いて警戒しているところに、予想外の事が起きて、めちゃめちゃビビるってこと。


 で、子供たちがはしゃいでいる理由はというと。

 先程見れなかったワイバーンさんに会う事が出来たからみたいだ……うん、その前に腰を抜かしたママの心配もしようか……。パパはちょっと悲しいぞ。



 と、俺はハナをリビングのイスまで運びんでから、ワイバーンさんの対応をする。これでも、妻をお姫様抱っこ出来るぐらいには力があるんだぜ。どや。ハナは腰が抜けてそれどころじゃないが。




「いやー本当にすみません」


「いえいえ大丈夫ですよ。ケガはありませんでしたから。ところで、荷物というのは?」

 謝るワイバーンさんに応じつつ、俺は話を進める。


「本当にすいません。荷物というのは、冷蔵箱についてです。重ね重ねすいませんが、自分のうっかりで配達を忘れてしまい、遅れてしまいました」


 と、今度は別のことについて謝るワイバーンさん。


 やっと届いたのか。それにしても、冷蔵庫ならぬ冷蔵箱とは。まぁファンタジーな村には合っているな。




「って、あんたが、うっかりワイバーンか!!!」








他にも、はっきり、びっくり、のんびりといったワイバーンさん達が働いています。

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