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ほのぼの12! ぽろっくさん!



 ワイバーン事件から一夜明け、四月三日。


 朝ご飯を食べ、畑に水を掛けようと、ジョウロに水を汲んでいると。


「パパー葉っぱが出てる!」

「出てる!」

 と、先に畑で待ってるようにと言ったフタバが、遅れてイチが、こちらに走りながら報告してきた。


 どうやら、もう芽が出ているらしい。


 俺はフタバとイチの報告を聞きながら、畑へと向かう。


 そこには、小さい緑が綺麗に整列している。もちろんそれは、俺たちが植えたカブとラディッシュの芽たちだ。


「カブとラディッシュって育つのが早いんだなー」

 と、俺は、イチとフタバにジョウロを渡して、皆で一つ一つ水を掛けていく。


 大体、茶色い畑が黒く湿ってきたら、ジョウロの水は勝手に止まる。


 俺は、大きくなーれ大きくなーれと声に出して、水を掛けているフタバとイチを微笑ましく見ながら作業を続けるのだった。




 水を掛ける作業を終え、家に戻り、今日は何しようか? と、ハナに相談を持ち掛けてみると。


「ごめん。今日はちょっと出掛けるのー」

 と、ハナが手を合わせた。


 村長の奥さんであるマネさんに呼ばれているらしい。


 そう言えば、昨日食堂に行ったときに、何やら話していたなーと思い出し、俺は了承する。

 ちなみに、子供たちも一緒に着いて行くらしい。


 俺も行こうか?


 と提案したが、ハナは笑って女子会なのーと返してきた。


 女子会なら仕方ない。イチノスケは……まぁ、まだ子供だからいいのだろう。



 と、夕方まで帰宅しない旨を告げられた俺はせっかくなので、畑の整備をすることにした。


 家の北側の土地は……雑草も生え放題。下手したらちょっとした木々も生えているので、今は放置だ。いずれ、畑が足りなくなってきたときに、片付けて畑を拡張するかも知れないが……今日、整備するところは、東側のカブとラディッシュ植えている畑とは、また別の畑である。


 カブとラディッシュを植えている畑の面が家側だとすると、東側の隣の畑を整備していく。


 俺はまず、畑に落ちている木の枝や落ち葉を集めて拾っていく。

 集めたゴミ……資源は、出荷箱にポイである。こんな物でも、多少はお金になるのだ。

 ちなみに、雑草一つの定義は、何グラムとかで決まっているそうだ。同じ理由で、木の枝などもだ。説明書をよく読むと書いてあった。


 落ちているモノを拾った後は、雑草抜きだ。これが一番大変な作業である。



 お昼も少し過ぎたところで、今日の目標分である畑の範囲の雑草抜きは終わった。


「今日は少し曇り空で良かったな」

 太陽がカンカン照りだったら、もっと大変な作業になっていただろう。


 と、俺は自宅の縁側で、おにぎりを食べながら空を見て思う。


 さて。午後は何をしようかな?



 妻と子供たちは夕方まで、帰って来ないそうなので、俺も少し出かけることにした。

 行く当てはないが、村を見て回ろうかなと。


 すると、喫茶店の前で、昨日海からの帰り道に出会ったニワトリさん…ポロックさんを見つけた。息子さんたちはいない。


 何やら、空を見上げて、何かを構えている。


 俺もつられて空を見上げてると。


 そこには、綺麗にラッピングされた小さい箱が、紙飛行機に吊り下げられ、空を飛んでいた。

 俺はそれを見ながら、ポロックさんに近づいていく。


 ポロックさんは、俺に気付かず空飛ぶプレゼントに集中している様子。


 近づいていくとポロックさんがやろうとしていることが分かった。

 ポロックさんの手には、パチンコ…ギャンブルの方ではない…Y字型のモノを飛ばすやつを持っていたのだ。


 ヒュン――――。


 と、発射された玉は、見事紙飛行機に当たり、ラッピングされた箱が落ちてくる。


「いやー見事ですねー」

 と、俺は手を叩きながら、ポロックさんに近づいていく。


「おう。ユウゴか! お前見てたのか」

 と、ポロックさんは箱を開けながら、俺に返答する。


 箱から出てきたのは、まだ料理の入っていない料理カプセルだった。


「なんだ。カプセルかよ」

 と、ポロックさんは呟きながら、それを自らのカバンに仕舞った。

 そして、紙飛行機とラッピングされた箱は消えていった。


「なんか用か?」

 と聞いてくるポロックさんに対し、俺は。

「いえ。今の紙飛行機は何だったのかなと思って」

 と尋ねる。


「おう。あれか? あれは――――」


 と、ポロックさんが言うには、パチンコの妖精…と字面だけ見ると、ちょっと残念な妖精…またの名を、狙撃の妖精…と今度は物騒な名前…の妖精が、住民に最近使われなくなったパチンコで遊んで欲しいと願いを込め考えだした遊び、システム? らしい。先ほどのように、プレゼントを付けた紙飛行機を狙撃で当てることで、そのプレゼントが貰えるとのことだ。さらに、紙飛行機に一定回数当てるごとに、家に手紙と共に景品が届くとのこと。なお、プレゼントは妖精の自腹らしい。いや、知らん。


 ただ、その試みは面白い。


「でな。狙撃の回数を上げる裏技があるんだよ」

 と、ポロックさんは小声で話してきた。


「実はな。飛んでいるものだったら、狙撃するのは何でもいいんだ。例えば、ワイバーン便の奴らとかな」

 ま、撃ったあと怒られるけどな、と言ってポロックさんは笑い出した。


 大丈夫かこの人。


「おっ!」

 と、そこに運悪く、ワイバーン便が空を飛んできた。


「ほらユウゴ見とけよ」

 と、言ってポロックさんはパチンコを構える。


「あの、辞めといたほうが……」

 俺は関係ないぞ。一応、注意したからな。


「ぎゃ!」

 と、ポロックさんは本当にワイバーンさんを撃ち落とした。

 あとで、知ったのだが、パチンコに使われる玉は、胡椒玉と言って当たっても痛くない、これ専用の玉らしい。良い子は人に向けて撃ったらダメだよ。



「また、貴方ですか! いつもいつも、私たちの業務の妨害ばかりして! もう今回限りで辞めてくださいね! 次からは罰金を取りますよ!」


 と、ポロックさんは5分ほど怒られ続け、ワイバーンさんは去って行った。ってか、ポロックさん…ワイバーンを落す常連みたいじゃねえか。


「な! 怒られただろ」

 と、笑いながら平然とポロックさんはそう言った。


 いや、あんたの神経どうなってんねん。




 でもまぁ、狙撃をしれば景品が貰えるという事が分かったので、ポロックさんと別れたあと、俺は雑貨屋へとさっそく狙撃パチンコを買いに向かう。

 イチとフタバは、こういうの好きそうだが、ハナとミツバはどうかな? と思いつつも、俺は家族5人分の狙撃パチンコと胡椒玉1袋10個入りを3個ずつ買っていく。


 占めて全部で、4000円。結構お高い…というより、5人分だから高いだけか。狙撃パチンコは、税込み500円だし、胡椒玉は1袋100円である。まぁ、これで狙撃の妖精さんに収入が入る事だろう。


 まぁ元を取るぐらいは狙撃するんだけどな。


 あと、ついでに、虫取り網と、生き物カゴ(虫用)というのも、家族分買った。カゴと名前は付いているが、料理カプセルと仕組みは同じで、形が四角いだけだ。10個入り100円なので、100円分の虫を取れば、元が取れるだろう。


 よっしゃ! 虫取り頑張るぜ!



 ちなみに、釣竿も欲しかったが、今回買うのは辞めておいた。

 理由はお金が……というのもあるが、釣竿の種類が多く、値段もピンからキリまであるので、誰か詳しい人に聞いてから買おうと思ったからだ。そう言えば、動物屋さんであるフェルメールさんの旦那さんは、漁師だと言っていたな。まだ、会ったことはないけど、その人に会ったら聞いてみることにしよう。


 と、考えながら、どこかに、紙飛行機は飛んでいないか? 虫はいないか? とキョロキョロしながら、俺は家に帰るのだった。






パチンコは人に向けて撃ってはいけません。ワイバーンにもです。



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