第四の事件
「ところで課長、過去3件は火曜と木曜に起きています。今日は木曜です」
「警戒した方が良いかもしれんな。大野さん、事故現場周辺を張り込むか」
「サッカーの練習終了時刻が21時。ですので、その時間に合わせて現場周辺に待機します」
大野は黒田片山コンビにも指示を出し、現場付近で張り込むことになった。
「課長、私はその前にサッカーチームに行ってきたいと思います。何か聞けるかもしれません」
大野は小林を連れて、練習が始まったばかりのサッカーを見に行き、チームの主宰者に話を聞くことにした。川野という30代の男性だ。
「警察は何をしているんですか!子供が3人も襲われているんですよ」
川野は憤慨していた。大野は、チームのパンフレットを手にした。まだ完成して間もないようだ。
[互いを尊び、慈しむ。健全なスポーツが健全な心と人間性を育む]
「立派なパンフレットですな」
大野がパンフレットを折って内ポケットに入れた。
「そんなことより、いつまで子供を危険にさらせば気が済むのですか警察は!」
語気を強めた川野に小林が言う。
「本日から、帰宅時間に合わせた警戒態勢を取りますので」
「今回の件は、警察の怠慢が招いたんだ」
川野は二人を睨みつけた。
大野と小林はチームを出た。21時まで2時間余り。
「あんな言い方ありますかね」
小林が怒っている。
「まぁ我々はこのあたりで張り込もうじゃないか。マル被がつけ狙っていたのなら、チームを出た時からかもしれん」
大野は覆面パトカーの助手席に乗り込むと、無線が鳴った。
「はい103号、どうぞ」
「〇〇町3丁目にて、車両による自転車ひき逃げ事件発生、被害者は少年の模様。各車現状に急行してください」
外で無線を聞いた小林が運転席に駆け込んだ。
「103号、現場に向かいます」
大野は無線を置くと、赤色灯を反転させた。
時刻は19:30を指していた。
現場には、黒田と片山がすでに到着していた。
「大野さん、たった今救急車が出発しました。被害者は吉本蓮君、15歳です。サッカーの練習に向かうところを狙われたと思われます」
黒田が報告する。自転車は後輪が大きく潰れていた。また、傍らにはスポーツバッグが落ちている。大野がバッグにプリントされたチームのロゴを見る。
「過去3人と同じサッカーチームです。ただ、3人とは通っている学校が違います」
「帰宅時間の方にばかり気を取られていましたね、しくじった」
小林が悔しさを表情に浮かべている。
「小林君、これではっきりしたじゃないか」
大野が小林の肩を叩いた。




