切り捨て
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「川野君、騒動は抑えられそうか」
「勿論です。何としてでも」
「鎮火の方法を誤れば、関西の件にまで波及しかねない。分かっているね」
「先生にご迷惑はおかけしませんので、どうか」
「どうだね。ここは一度引いて、またのチャンスを待たないかね」
「それだけは。何とかしますので。もしもし。先生!もしもし」
「公認は取り消しだ。川野はリスクにしかならん。新たな候補者を探せ」
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「これで一応、悪は裁かれた、ってことになるんですかね」
小林が新聞を持って大野に聞く。
「どうかな。まぁ結果として、川野の野望は打ち砕かれた」
「自業自得ってことかね」
課長がコーヒーカップを持って寄ってきた。
[川野候補、公認取消!]
[事故隠蔽、ハラスメント教育疑惑も!?]
新聞各紙の見出しには、センセーショナルな見出しが載っていた。
「サッカーチーム自体の存続も難しくなったみたいです。市議会で実態を調査することになったようですよ」
黒田が報告した。
「となると、市から出ていた運営補助の補助金も停止しますね」
「だが、川野一人が悪かったかというと、そうも言えん。マナーや他者に対する思いやりというものは、本来なら家庭で、そして学校や地域社会で学ぶものだ」
大野が続ける。
「勝てば良しとする、歪んだ価値観の成功者を頼ってしまった保護者や、それを良しとする風潮にも責任が無いとは言えないと、俺は思う」
一同が頷いている。
「共感力や想像力、まさに教育の根幹なんですよね」
片山が言う。
「片山さん、なんか先生みたい」
小林が感心した顔になった。
「あれ、小林君知らなかった?片山さんは学生時代に教職課程とっていたのよ」
黒田が小林に返答した。
「保健体育、高校の」
片山が黒田と向き合って笑っている。
そこに電話が鳴った。課長が受ける。
「皆、室田町2丁目でタンクローリーの横転事故で、交通課からの応援だ。すぐ行ってくれ!」
全員が部屋を飛び出していった。
終
第二章もお読みくださり、ありがとうございました。応援下さいました皆様のお力で、第二章も作ることが出来ました。感謝申し上げます。
ありがとうございました。




