表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/13

第二部 サキュバスでなくなった私と推しの恋 エピローグ カイルと美鈴に相応の距離

不思議なアフタヌーンティーを過ごした日から何日もしないうちに、カイル兄さんは本当に俳優として舞台にデビューしてしまって。記念のチケットが私と和希さんの所に送られてきた。


私は一人で行くつもりでいたんだけれど、和希さんは二人分のチケットなんだからデート代わりに行こうと言う話になって… 結局、その日に合わせてスケジュール調整してまで、舞台デートということになった。



「なかなかいい芝居するじゃないですか。いつからレッスンしてたので?」


お気に入りの紅茶を淹れてくれるカイル兄さんに、和希さんが問いかける。今日は初舞台が無事に千秋楽を迎えた記念のティーパーティーだ。本当はお酒でパーティーしたいんだろうけれど、お互いに仕事があるから遠慮しての話で。


「あぁ、来てくれたんだったね。楽屋に寄ってくれても良かったのに」


「美鈴と一緒でしたので遠慮したんです。で? 最初から難しい題材じゃないかと思ったんですけど… その辺りは?」


「勉強しろと言われていたからね。君の舞台もドラマもすべてチェックしてはいたよ。それが役に立ったのかな」


和希さんから聞いたことはある。俳優さんは舞台やドラマをたくさん見て勉強することも必要なんだって。和希さんもそうやって俳優として這い上がってきたんだって言ってたっけ。


どんなに才能ある人も勉強を兼ねて他の俳優さんのお芝居を見ることは欠かさないんだって。…お休みの時にまでそんな風なんだもの。いつ気分転換しているんだろう。


「カイル兄さんは怖くないの? 舞台に立つって。和希さんは観られるのが好きだからやってるんだって言ってたけど」


「観られることを仕事にはしてたからね。別に怖くはないよ。いや、半分は嘘かな。まさか歌って芝居してなんてことになるとは思っていなかったから」


「余裕をもって舞台に立てるなんてのは一宮さんくらいだって。あの人は見た目だけじゃなく才能に恵まれている人でもあるからさ」


和希さんは少し悔しそうな顔で言うけれど、私からすれば和希さんも十分才能に恵まれていると思うんだけどなあ。一宮さんってどんな人だろう。


「和希さんもすごいと思ってるよ」


「当然です。俺は努力することしかできないけどさ。ライバルってのはいい刺激を貰えるしね」


そう言いながら私の肩に腕を回してこめかみに触れるかどうかのキスをする。そのタイミングで私の前にティースタンドが置かれて、


「今日は簡単で悪いけれど、ガトーショコラを焼いてみたからどうぞ」


と私の頬に触れて、額に触れるだけのキスを落とした。その仕草はまるっきり見せつけるみたいで笑ってしまう。


「良いところだったの分かってやってますね?」


「当然だよ。俺は恋人ではなくなったとしても幼馴染の地位まで譲ったわけじゃないからね」


複雑そうな顔をしている和希さんを嫣然と微笑んで見下ろしつつ言うと、私の前にラズベリージャムとクロテッドクリームの小皿を置いた。


「さあ、どうぞ食べておくれ。ガトーショコラはカロリーを気にする彼の為に生クリームを使わずに作ってみたんだよ」


「ありがとう! カイル兄さんのガトーショコラ好きだったの」


「配慮はうれしいですけど… 俺もあなたみたいに純血種の魔族に生まれていたら違ったんですかね」


本当は太りやすい体質だった和希さんが複雑な顔で言う。羨ましく思ってるのかもしれないけど、無理もないだろう。


和希さんが引き締まった体つきでいられるのはカロリーコントロールと筋トレという努力の結果だけれど、カイル兄さんはそんなにたくさん食べなくても生きていけるからというだけの話だ。


モデルをしているから必要ということで、筋トレの方はやっているのかもしれないけれど、それでも和希さんよりは少ないのかも。


「純血種と言っても完全な魔族ではないからね。多少は努力しているつもりだよ。これからは体力も必要になることだしね」


そう答えながら私の向かいに座ったカイル兄さんの前にはガトーショコラがあるだけだ。相変わらず小食で羨ましいような。


「あんまり少食だと痩せすぎちゃわない?」


「そうならないようにコントロールするのも仕事のうちということだよ。俺も見た目で仕事をしていることだしね」


穏やかな様子でカイル兄さんが笑みを浮かべたまま答える。和希さんもまだ少し複雑そうだけど、この間みたいににらみ合うことはない。


今はこれでいい。いつかカイル兄さんにも恋人ができるかもしれない。その時は私も嫉妬したり、寂しい思いをしたりするのかな。今はまだ分からないけれど…


「また一緒に行こうよ。和希さん」


私は隣に座っている和希さんを見上げて言った。すると、複雑そうな顔を崩して悪戯っぽく笑みを浮かべて、


「その時は手土産持っていこうか。俺もお菓子作りできるしさ」


負けず嫌いなのか。私よりも魔族らしさの香る様子で言った。どうして張り合おうと思うのか。私には分からないけれど、今はこれでいいと思った。


「そういえば… 美鈴はお菓子作りが苦手だったね。君のお手製だったとは」


「俺はあなたと違って太りやすい体質なんですよ。しがない人間なのでね。だから、半分は自分の為に覚えただけです」


「和希さんはすごいのよ。和食なら何でも作れるんだって」


カイル兄さんの用意してくれたアフタヌーンティーを囲んで、雑談を交わす。もう昔みたいに頭を撫でたりすることはないけど、この距離が心地よいから……


お待たせしました( ^^) _旦~~

第二部もこれにて完了です。次回はどうしようかな(-ω-;)

今はまだ考えつかないけれど、その時はラブラブ成分いっぱい詰め込みたいですね。

連載開始されたらお付き合いくだされば幸いです。感想くださればもっと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ