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第二部 サキュバスでなくなった私と推しの恋 二話 初恋相手の残酷な決断

軽く性描写あり。ご注意ください。

どこをどうやって帰ってきたのか? 気が付くと私は和希さんと暮らすマンションにまで帰ってきていた。手に持っている紙切れにはカイル兄さんのマンションの住所が書いてあって……


「今日は会えてよかったよ。ここは人目に付きすぎるし、俺はこれから仕事に行かなければならないことだしね」


そう言いながら私の頬に唇を寄せるカイル兄さん… 同時に私の手に紙切れを握らせて。


「本当は送っていきたいけれど、残念だよ」


そう言ってカイル兄さんは去っていったんだ。……思い出した。


どうしてカイル兄さんが私と和希さんのことを知っているのか?


思い出すのはお母さんの話していたこと。サキュバス族と言ってるけど、正しくは夢魔族といって下級魔族の一種。そして、純血になればなるほど偉くなって、混じりものであるハーフやクォーターは逆らえなくなって……


「どうしたらいいの…?」


カイル兄さんが特別扱いされていたのは知ってる。カイル兄さんのいう事には大人でさえも逆らえなかった。だからこそ、同じ純血であるカイル兄さんはあまり命令をしないようにしていて。


私はその優しくて紳士的な姿が王子様の理想みたいで憧れた。ただそれだけで、結婚とか考えたことなんてあるわけがない。


「それなのに、どうして…?」


考えるたびに混乱が深まって涙が滲む。そこへドアを開ける音が響く。和希さんが本当に早く帰ってきたんだと分かって、思わず泣きだしながら玄関に向かった。


「美鈴!?」


「かずきさん…!」


なにから話をしたらいいのか分からなくて抱き着きながら涙が止まらない。魔族になんて戻りたくないよ。だけど、どうしたらいいの? 私も同じ夢魔族だったことには変わらないんだもの。


「な!? 何があったし!? 何で泣いてるの?」


和希さんは私をお姫様抱っこして寝室へ連れて行ってくれて、私は細身に見えるのに意外とがっしりしている和希さんに遠慮なくすがりつき、色々とまとまりがない中でスーパーに行った事や、そこでカイル兄さんと再会したことを話した。


私を血族に戻そうとしていることや、和希さんと別れて元のサキュバスのクォーターに戻った方が良いと思っていることまで。

その間、和希さんはずっと私の肩を抱いて静かに聞いていてくれた。


「その、カイル兄さんってさ… フルネームは?」


「日向カイルっていうの。モデルしてるって聞いた」


「モデルかぁ… それじゃ、美鈴より俺の方がよく知ってるよ。小食で恋人をとっかえひっかえしてるってんで有名だ。事務所も手を焼いてる。売れる見た目してるし、声もいいんで俳優もやらせようとしてるらしいよ」


そう話しながら私の眼もとにキスしてくれる仕草は優しいけれど、どこかセクシーだ。私を子ども扱いでなくきちんと大人の女として扱っているんだと分かって安堵してしまう。


ペットやなにかと違うんだってはっきり分かるから。やっぱり私は愛玩されたいわけじゃないんだ。きちんと恋人同士として対等の目線に立って生きていきたい。和希さんにはあって、カイル兄さんにはありえないことだ。


「知らなかった。…カイル兄さんは自分のことをあまり話さないから」


「時々、会ってたの?」


「お母さんと一緒に暮らしてる時、月に一回くらい遊びに来てくれたの」


そんなことを話す私をベッドの上にそっと横たえる。その顔は少し複雑そうだから、嫉妬してるのかもしれない。だけど、私にとっては親せきのお兄さんでしかないんだけどな。


「不思議そうな顔してるけどさ。戸籍上は他人なわけでしょ? さすがに妬けますって」


「言われてみるとそうだけど… 初めて会ったのは幼稚園の頃だし。4歳と8歳の頃だよ」


「それくらいからずっと会いに来るって… よくなにもなかったな! そっちに驚くよ。俺だったら思春期になると同時に手を出してるって」


まだ目尻に残っている涙を唇で吸い取ってくれる仕草はやっぱり優しい。足を開かされちゃうけれど… でも、女として愛されてる証拠みたいで嬉しいから嫌じゃない。


「で、美鈴はいつまで魔族のつもりでいるの? もう人間でしょ。純血だのクォーターだのの序列に従ういわれはないんじゃない?」


その言葉で我に返る。人間になってもどこかで魔族のつもりでいたのかもしれない。けれど、今の私は人間なんだよね。純血の夢魔族がどうとか関係ないって言っていいのかな。


…まだ不安だけれど。カイル兄さんみたいな純血の魔族の命令は絶対服従だったし。それが当たり前だと思って生きてきたんだもの。


「それに俺達が真剣なんだってことを分かってもらおうよ。超マイペースで有名なだけにどこまで通じるかは分からないけれど、日本語くらい通じるでしょ」


その言葉に小さく頷いて、重なってくる和希さんの唇を受け止めた。慣れた仕草で太ももの内側を撫でて下着に触れる。


「あ…!? お風呂、入ってないけど…!」


「知ってる。俺もだからお互い様、ね。後で洗ってあげるから付き合って」


優しく笑ってくれるけれど、その目は私への情欲で煌めいていて。私よりずっと魔族みたいにセクシーだ。…このまま人間でいたいと自然に思った。和希さんを最初で最後の人にしたいって。


「このまま誰が放してやるかって…! せっかく会えたのは俺だって同じだよ」


珍しく私の首あたりにキスマークを付けて言うと、いつかの夜みたいに優しいけれど遠慮なく私を抱いた。最後の方は訳が分からなくなってしまって、ただ揺さぶられるまま声を上げるだけになっていた。

お待たせしました( ^^) _旦~~ 和希くんのカッコよさ爆発ですね。

色々とモメるようでそうでもないようで… まあゆるく参りましょう。

楽しんでくだされば幸い。感想くださればもっと幸いです。

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