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脱出ゲームin宇宙  作者: 34
第一章 謎空間からの脱出
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第十二話 対策本部⑤

艦からワープ先の空間へとビーコンが出され、救助活動が開始された。その結果、元の宇宙側に艦が幾つかずつ現れ始めた。そうしてしばらく、出現の状況をゆっくりと眺めていると、


「部長!交信できた艦の救助が完了しました!」


そう報告が入った。


「了解 しかし・・・」


明らかに行方不明が多すぎる。そこだけはまだ解明せず、落ち着かないなか、救助が完了した艦の乗員から事情聴取を行うことになった。180ほどの艦の乗員からの事情聴取ではあったが、少しでも暇そうな人を見つけ、ほぼ強制的に聞き手側の人員をかき集めた。そして、130以上の艦の乗員から協力をもらい、2日間でほとんどの聴取を完了させ、報告書が上がってきた。


「まずは報告書の共通するところを洗い出していこう」


そう指示を出す部長、そしてその部下の前のテーブルには大量の報告書が乗っていた。もちろんデータで全てをまとめることも出来たが、そのまとめる時間すら勿体なく思い、紙でのデータまとめとなった。


「次・・・次・・・次・・・」


机の上の紙はどんどん減っていき、代わりに床に紙が積もっていく。特徴をメモしながら紙を投げ捨てていく。


「これ・・・目的地が全員同じだ・・・」


誰かがそう呟いた。その呟きに自分たちのメモに目をやる。


「本当だ・・・!目的地が全く同じだ!」

「つまり、まだ見つかっていないのは別のところに・・・」

「しかしそれが本当だとすると・・・、かなり急ぐ必要があるぞ・・・」

「しかしやってみるしかない!前線部隊に連絡してくれ!」


そうして、すっかり休憩モードに入っていた前線部隊が急に慌ただしくなり、小一時間程でなんとかワープ先を変更すると、


「60ほどの艦と連絡がとれました!救助活動開始します!」

と連絡が入った。


「しかしこれ・・・全ての艦を救助するのには時間がかかるぞ・・・」


この連続行方不明が始まったのが2週間と少し前。段々と死者が出てくる可能性がある。今や世間の注目の的はそこに集中していた。救助が出来る艦(二艦繋げたもの)を増やせ、という意見が出始めていた。



「やはり救助艦を増やすべきでは?このままでは死者が出るのは確実ですよ」

「しかし・・・これから作っていくには時間も金もかかる 作ったら作ったで次の予算委員会で何を言われるか分かったものじゃない」

「人の命と金を天秤にかけるんですか!?」

「金だって無限じゃないんだ!どうせ募金を募ったって金を入れるのは全人類の四分の一くらいだろ?結局言うだけなんだ!世間なんてものは!」


会議の場ではもはや喧嘩となっていった。


結局、救助艦は増設されないことに決まった。これが良いのか悪いのか。それは、まだ分からない。

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