第十三話 タイムリミット
「うーん、やばいな・・・」
携帯食料の入ったビンを眺めながら、深川が呟いた。
「ん~?どうした?」
またもやマットレスの上で横になり本を読みながら、というか眺めながら、顔だけを深川に向けた。
「このままだとあと1週間しか食料が持たない・・・」
「うえーまじかー」
「・・・お前のせいで緊張感がどっかにいったよ」
呆れた笑いを浮かべ、ビンをもう棚に戻した。
「もうあれだよなー死にそうだよなー」
「そんな薄っぺらい死にそう、は初めて聞いた」
「しゃーねーだろ?おれらにはどうしようもないんだし」
「そうは言ったってもう少しどうこうしようとは思わないのか?」
「だって唯一の案だった救援信号は前に却下されたしなー もーおれには無理だ」
「まあそうだけどな ま、運が良ければ救助が来たりしてな」
「・・・お前、フラグ建てるの下手だな 露骨だ」
「フラグを建てた覚えはないし、ついでにいうとお前の口から『露骨』って言葉が出てきたことに驚きだ」
「おれだって露骨くらい言えるわ!」
「実に意外だ」
「そして、1級フラグ建築士のおれがお前に上手なフラグの建て方を教えてやろう」
「はあ?急になんだよ 別にんなもん教わる気はないぞ」
「まーいいから黙って見とけって」
「見るっていうか聞く、じゃないか?」
「どっちでもいいんだよ その辺は」
「見るだけでいいなら耳栓をさせていただくが」
「したきゃしてもいいがそんなもん持ってんのか?」
「持ってる」
そう言うと深川は羽織っていたパーカーのポケットから小さいビニール袋に入った耳栓を取り出した。
「・・・すげえな ・・・降参だ 聞いとけ」
「丁寧なんだか偉そうなのか全く分からないな」
「黙って聞いとけ!」
笑いながらそう怒ると、
「いやーまさかこの食料もピンチになりつつある状況で助けが来るなんて、そんなことあるわけないよなー」
恐ろしいほどの棒読みでそんなことを言った。
「・・・・・・は?」
「は?じゃねえよ」
「いや・・・、棒読みすぎだろ・・・露骨はどっちだよ・・・」
「フラグに大事なのは字面だ 言い方は関係ない」
「多分だがそれはない」
「いやいや、これで案外効果あるんだって」
〈緊急外線を受信しました 接続しますか?〉
久しぶりの機械からの声だ。
そして、その声が発した内容に二人は顔を見合わせる。片方はしてやったりという顔で、もう片方はしてやられた、という顔で。




