拠点確保
すいません、ちょっと短いです。
更新ペースが落ちているので、現在の状況を超簡単に説明。
→ジェニファー一行……現在シナリオ進行中
トニー達……少女を助けてこれからどうしよう
ゴードン&ビリー……拘置所から逃げて所在不明
「ああ、そう言えば。サンドラ、これを」
そう言ってレナードはホルスターごと装備していたグロックをサンドラに渡す。
「記憶はなくても銃は撃てるだろ? 職業と自分の素性以外は覚えてるみたいだしな」
「あ、ありがとう。多分大丈夫……だと思うわ」
サンドラは確かめるように安全装置を外さず銃を構えている。
レナードが構えを見る限りは全くの素人という訳でもなさそうだ。
むしろ慣れていたようにも見える。
「うう……ここは?」
「クリスくん!」
そうこうしているうちにクリスが目を覚ました。
ジェニファーは今の状況を説明し、新たに増えた仲間を紹介する。
紹介を言えた後は今後の行動だ。
街の機能が止まってしまったならば間違いなく未来には食料の問題が出てくる。
「という訳で一番は食料と水の確保、次に拠点の確保だ」
「レナードたちは拠点の目星付いてんのか?」
「街から離れていればいいとは考えてるが……」
「俺はそうは思わねえ」
「どうゆう事よジャックス」
「俺は拠点にするなら普通の家がいいと思う」
「その根拠は?」
「駄目なパターンから話してくぞ? まず地下室は駄目だ。万が一入ってこられたら死地になる。次に開けた場所、これも駄目だ。四方から囲まれれば詰む」
「……なるほどね」
ジェニファーは頷いている。
「だが、その条件なら普通の家でも同じじゃないか?」
レナードは納得いっていないようだ。
「普通の家やマンションなら窓や非常階段、避難用の梯子なんかで屋上や屋根に上がれる。窓をふさいでおけば侵入口は限定出来る。郊外にある一軒家とかは駄目だぜ? できれば街中の家がいい」
「囲まれたら結局同じだろう?」
「家ならな。俺は地下を提案する」
「さっき地下は駄目だと言っていたじゃないか」
「地下室な。下水に拠点を築くのが一番だと俺は考えてる」
「な!」
ジャックスは下水こそが一番安全だと言い切る。
ゾンビたちは階段や梯子は登れるが降りるのは苦手だと言った。
特に梯子は気づかずに落ちるのだそうだ。
サンドラと出会うまでに色々試したらしい。
マンホールの蓋を閉めてしまえばゾンビは開ける事すら視野に入らない。
地面と同じ認識になってしまうのだと言う。
「耐久は恐ろしく高い、弱点である頭を破壊しない限り動き続ける」
それはクリスの証言で、レナードたちも知っていた。
だが、このジャックスと言う男は記者であるために情報収集は怠ることは無い。
どこまで破壊すれば完全にゾンビが止まるのか実験していたのだ。
「脳が破壊されない限りは絶対に止まらねえ。口から下を破壊しても脳が無事なら動いてた。おぞましいぜ? 頭部の3分の2しかないのに目はこっちを追いかけてくるんだ……ありゃ流石にゾッとした」
そこまで破壊すれば噛みつかれる心配は無いが見た目で精神的に嫌だと言った。
「あとは引っ掻かれても大丈夫だ。噛まれたらどんな小さな傷でもアウトだがな」
この情報も大きな価値がある。
「どうしてそんなことを知っているの?」
ジェニファーの疑問も尤もだ。
「一応一緒に逃げてきた奴が居たんだが……」
そう言いながらジャックスは上着を少しだけまくり上げる。
彼の腹部には大きな爪痕が残されていた。
「引っ掻かれたのは俺だ、噛まれたのは連れ。連れは手を噛まれて半日もしないで仲間入りしたよ」
レナードたちには痛いほどわかっていた。
彼らの仲間もまた、指をかまれてゾンビになったから。
「……ごめんなさい」
「仕方ないさ、んで? 俺の意見は言ったが大将はどうすんだ?」
「ああ、納得したよ。俺は下水でいいと思う。ジェニファーは?」
「私もそれでいいわ、クリスくんもそれでいいわね。サンドラは……サンドラ?」
サンドラは頭を抱え、蹲っていた。
「大丈夫か!?」
ジャックスはサンドラの様子に驚き、慌てて駆け寄ろうとしたが、少し苦しそうにしながらも立ち上がったサンドラはジャックスに大丈夫と告げる。
「……サンドラ、なにか思い出したの?」
「ええ……確証はないし保証もないけど……アタシを信じてくれるなら」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
一行はサンドラの案内に従い、とある路地の奥に来ていた。
「本当にあるのか?」
「つべこべ言わないの、サンドラを信じてここまで来たんだから」
「サンドラ、ここであってるのか?」
「……たぶん」
サンドラ自身もあまり自信はなさそうだ。
とりあえず背後を警戒しつつ行き止まりを探し始める。
「おい、あったぞ」
「ココがそうなのか?」
大量のガラクタを避け、強烈な臭いのする謎の液体が詰まったゴミ箱の下にソレはあった。
「見た目はマンホールね」
「兎に角開けてみよう……ん? 開かないぞ」
「違うわ、それは上に持ち上げるの」
見た目はマンホールだが、どうやら違うらしい。
サンドラの言葉に従い、上に持ち上げると思いの外あっさりと入り口が開く。
それは、マンホールにカムフラージュしたハッチドアだった。
裏側にはハンドルが付いていて、いざというときはロックもかけられるようだ。
中に入り、入り口を閉めれば内部にはわずかな光もない闇に包まれた。
「おい、これじゃあ何も見えないぞ?」
「ちょっとまってて、確かここに……あった」
ガチンとスイッチが入った音がして、明かりが灯る。
強烈な光が何をしたかわかっていたサンドラ以外の目を焼いた。
「ぐおお……サンドラ……点けるなら言ってくれ……」
「目……目がいてえ……」
ジェニファーとクリスは特にコメントしなかったが、ほかは不満たらたらだった。
「やっと慣れてきた……って、ここは?」
「すげぇなオイ」
「どうジャックス。拠点に仕えるかしら?」
「ああ、十分すぎるぜ」
ソコはシェルターだった。
いつ、誰が作ったのかはわからない。
設備を見れば比較的新しい気がする。
最大で50人は収容できそうな広い空間。
キッチンや浴室、トイレなどの衛生施設。
男女が分かれて寝ることも出来るように大部屋が二つと至れり尽くせりの場所だった。
「食料何かは持ち込みで、奥の通路は緊急避難用。シャッター付きよ」
「なんでこんなとこ知ってるんだ?」
「……地下と聞いて思い出したのよ……何のために作られたかも知っていたと思う。今は分からないけど」
「すまん……」
しかし、これで当面の安全は確保出来たも同然。
ここならあの化け物たちもそうそうには見つけられないだろう。
入り口は閉じれば侵入は出来ない。
万が一逆の避難口から侵入されたとしても一方向なので迎撃は容易。
素晴らしいの一言である。
一行は少し休んだあと食料をどう調達するか、ほかに生きている人が居るならばどうするかを話し合った。
次回はトニー一行の予定。
お付き合いいただき有難うございました