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『霧島華音・結』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第3章 『黒歴史ノート』 ~直哉の章~
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『黒歴史ノート』 ~直哉の章~ 其の一

『ベータ』の拠点の一つを攻略した俺は、近くの町へと戻っていた。

先ず俺がやるべき事は、妹・・・火燐こと、香織と合流する事だ。

しかしこのゲームには、フレンドチャットというものが存在しない。

いや、存在はするのだが、それは『ウインドチャット』という魔法としてなのだ。

俺と香織は、当時、隣り合ってプレイしていたので、その魔法は必要なかった。


「こんな事ならば、風魔法の習得を薦めておいた方が良かったな。」


とりあえず出来る事は、拠点として使っていた町に行く事だったが、そこでも合流は出来なかった。

ならばと思い、『ベータ』の拠点を攻略して回るという選択肢を取った。

これならば、『ベータ』の進行状況を見た香織が、俺が攻略している事に気が付き、いずれ合流できるだろう。

幸い、『ベータ』の拠点の情報は、町等で情報収集すれば簡単に手に入る。

しかし、合流出来たとして、最後の拠点のボス・・・『ガーディアンベータ』は攻略出来るのだろうか?

『ガーディアンベータ』は、『ファンタジースターオンライン』がサービス中一度も攻略されなかったボスだ・・・

まあ、考えていても仕方がない。

俺は、休息を取り回復アイテム等を準備すると、次の拠点を目指した。


「次の拠点は・・・この村の先の筈だ。」


前の町から半日程歩いて、漸く小さな村に到着した。

もう、陽は傾きはじめている。


「今日はここで休ませて貰おう。」


当然、こんな小さな村に宿屋なんて無い。

俺は、一番大きい家・・・たぶん村長の家と思われる家の扉を叩いた。


コンコンコン・・・


「すみません、旅の者ですが、陽も傾いて来たので、一晩泊めていただけないでしょうか?」


がちゃ


扉が開き、白い髭を蓄えた老人が姿を現した。


「おお、何も無い処ですが、どうぞゆっくりしていって下さい。」


と、中に招き入れてくれた。


「この部屋を使って下され。」


聞くと、旅の方にこの部屋を使ってもらっているとの事だった。


「ありがとうございます。これは、少ないですけど・・・」


俺は御代として、幾らかばかりのお金を渡した。


荷を解き、部屋で休んでいると、扉がノックされた。


コンコンコン


「騎士殿、少し話を聞いては下さらんか?」


ピコーン


と、システムメッセージを受信した音が鳴った。


「どうしましたかな?」


「あ、ああ・・・すみません。」

「話とは?」


当然、村長にはピコーン何て音は聞こえる筈が無いわけで・・・

確認するとクエストが発生して、内容が確認できるとのメッセージだ。


クエスト名『竜の花嫁』

内容 竜にさらわれた村長の孫娘の救出。

報酬 10000メメタ+村の宝


見た事が無いクエストだ。

恐らく、メインのストーリーに絡むクエストではないサブクエストの類で・・・

・・・しかも、隠しクエストなのではないだろうか?


「騎士殿、実はうちの孫娘が竜にさらわれまして、助けて欲しいのです。」

「当然、出来る限りの報酬は払います。なにとぞ・・・なにとぞお願いします。」


パソコンの画面ならいざ知らず、こうして目の前で頼まれると断りずらい感があるな・・・

それに、隠しクエスト・・・興味がある。

正直に言うと、村の宝・・・というのにもだ。


「分かりました。詳しく話を聞きましょう。」


(クエスト『竜の花嫁』を受託しました。)


システムメッセージがそう告げた。


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