↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/24

九話

 街のお屋敷から出たあたしは、ふよふよと飛んでいく。

 んー。甘くてふわふわな魂と契約したいけど、どこに行けばいいんだろ。


 考えながら何日か浮いていると、白いお花畑に来てた。綺麗だなあ。

 あれ?人間さんの魂がこっちに来る。でもこの魂…。


「だあれ?」

「あたしはリズリリス、悪魔だよ!」


 あたしに話しかけてきた人間さんは、まだ魂がちっちゃかった。それに、なんだか細くてしょんぼりしてる。

 おっきなリボンを付けてる、子どもの人間さんだ。可愛いー!


「お姉ちゃん、悪魔なの?」

「うん、そうだよ。汝の魂を贄として、願いを叶える悪魔だよー」

「…願いが、叶うの?」


 あれれ。リボンの人間さん、魂はちっちゃいのに、熱を持ち出した。

 嫌な予感がするなあ。


「契約して」


 やっぱりだ。…瞳孔は開いてるのに、瞳にも姿勢にも揺れがない。本気だなあ。


「うーん。子どもはちょっとなあ。まだ質があんまり育ってないし。新鮮なんだけど、あたしはあんまりなあ。ふわふわは、してるんだけど…」

「じゃあ、どうすれば質が良くなるの?……わたし、契約したいの」


 食べ足りないだろうし、味も薄そう。それに、回収できる魂もあまり多くない。


「なんで契約したいのー? 願いを叶えたら、代償としてあなたの魂をもらうよ? 死んじゃうってことだよ?」

「それは…」


 俯いちゃった。魂はふわふわでとっても柔らかそうだから、もう少し大きくなってから契約したいなー。


 リボンちゃん、顔を上げてまたあたしを見た。


「このままじゃ、どちらにしてもわたし、売られちゃう。…でも、そのくらいじゃうちは豊かにならなくて、次はわたしの妹が売られちゃうの」

「ふむー。売られちゃうんだ…」


 それだとあたしが食べれなくなるのかも。

 人間さんの瞳に、じんわりと涙が浮かんできた。


「だからね、わたしの魂をニエにして、うちに余裕ができて、妹も売られなくなるなら、契約したい。…お願い!」

「うーん…。それなら、せめて味が良くないと。いっぱい幸せを感じてもらわなきゃ美味しくないの」


 うんうん。幸せになっても、回収するまでに美味しくなくなっちゃうかもだし。


「そう、なんだ…。――それなら、わたしとお友だちになって?」


 お友だち?幸せが関係があるのかな?


「えー。それって契約が二つになっちゃうよー」


 ふるふると、リボンちゃんが頭を振る。


「ううん。お友だちになるのに、契約なんてしないよ?……それに、家族が幸せになって、わたしの最後にお友だちもいるのなら、わたしは幸せで終われるもん」

「うーん」


 よく分かんないけど、そうしたら甘い魂になるのかな。


「うん、いいよー! リボンちゃん、あたしとお友だちになろう?」

「やった。リズちゃんって呼ぶね。わたし、リノ!…リズちゃんって、何歳? どうして悪魔なのにツノや尻尾が無いの?」


 リボンちゃんが詰め寄ってきた。

 魂が膨らんできてる。これは、良い感じかも。


「あたしは生まれてから十七年だよ。角(つの)と尻尾はしまってるんだー。ほら!」


 いつもは人間さんの世界ではしまってある角と尻尾を、ぴょこんと伸ばす。


「ツノと尻尾だ。かわいいね」


 尻尾に触ろうと手を伸ばしてきたので、実体化させてみた。

 にぎにぎされてる。


「尻尾、ひゃっこい。…わたしは十二歳なんだよ。リズちゃん、お姉さんだね」


 暖かい手のひらで尻尾を掴まれていたけど、満足したみたいで解放された。


「ありがとう。リズちゃん、代わりに撫でる?」


 リボンちゃんが頭を差し出してきた。撫でてみる。

 柔らかな髪が気持ちいいかも?


「んふふ。……ねえ、リズちゃん。契約して」

「…うん、分かったよー」


 うん、なんだか美味しそうな魂になる気がする。


「わたしのお願いは、わたしの魂が足りる限り、わたしの家族が幸せになれること。…いいかな?」

「うん。汝の願い、聞き届けるよ!――ほいっ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。