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十話

 あたしに人間さんのお友だちができた。

 木の上で、足をぶらぶらさせながらリボンちゃんを待っていると、家から走ってきた。


 魂が踊っていて、とっても楽しそう。


「リズちゃん、お待たせ。あそぼ!」

「いいよー」


 ふよふよと木の上から降りると、両手を握られた。

 しょっちゅうあたしに触れようとしてくるから、リボンちゃんと遊ぶときは実体化するようにしている。


「今日は鬼探ししよう」

「鬼探し?」


「うん。鬼になったほうが隠れて、騎士さまをタッチしたら勝ちなの。騎士さまは鬼を見つけて、見つけたって言ったら勝ち!」


 ふーん。なんだか楽しそう。


「わたしから騎士さまをやるね。リズちゃん、透明になるのはナシだよ?」

「わかったー!」


 空に浮かんで、リボンちゃんが十秒数えるのを待つ。


「十!…リズちゃん、どこかなー」


 数え終わってきょろきょろとあたしを探しているリボンちゃんに向かって、上から降りる。

 あと少しでタッチできそう。


「あっ!」

「タッチー」


 これであたしの勝ちだ。面白い。


「もうっ。リズちゃん、空を飛ぶのはズルだよ?」

「そうなの?」


 ズルだったみたい。んー。難しいね。


「今度はリズちゃんが騎士さまね。もう一回しよ!」

「おーっ!」


 なんだか楽しかったので、拳を上に突き上げてみる。


 リボンちゃんが疲れるまで何度も遊んでいると、日が暮れてきた。

 また明日遊ぼうねって約束してから、リボンちゃんは家に帰っていった。


 うん。魂がふわふわ踊っていて、温かくなってきてるなあ。良いことだ。



△▼△▼△▼△▼△


「リズちゃん、出来たよ!」

「んー?」


 ここは、リボンちゃんと初めて会ったお花畑。白いお花がたくさん咲いてて綺麗なんだ。

 リボンちゃんの手には、お花で作った冠(かんむり)がある。人間さんってこんなものも作れるんだ。


「おー。綺麗だね。可愛い!」

「リズちゃんにあげる。しゃがんで?」

「いいのー?」


 言われた通りにあたしがしゃがむと、白いお花の冠を載せてくれた。とっても可愛い。


「んへへ。あたしも作ってあげる。教えてー」

「うん。任せて」


 リボンちゃんに教えてもらいながら、お花を編み込んでいく。

 んー。難しいなあ。


「出来た!…でも、ボロボロ?」

「初めて作るのに、上手だよ」


 こんな可愛いものをひょいひょい作れるなんて、リボンちゃんは凄いなあ。

 でも、これ…。


「さっきもらったお花の冠と釣り合ってないね。対価になってないかも」

「もう、リズちゃん?…気持ちが大事なんだよ。お友だちでしょう?」


 なるほど。リボンちゃんは良いこと言うなあ。とっても素敵。


「ふむふむ。気持ちが大事、なんだあ。あたしもリボンちゃんも幸せで、良いことってことかな?」

「うん、そうなんだよ!」


 リボンちゃんの頭に、あたしの作ったお花の冠を載せると、とっても喜んでくれた。魂もポカポカゆらゆら幸せそう。

 あたしもなんだかとっても嬉しいな。


「んへへ」

「あははは!」


 お友だちって、楽しい。また明日も遊ぼうね。



△▼△▼△▼△▼△


 今日は玉回りって遊びをやるみたい。

 両手で持った四つの玉を、お歌に合わせてくるくる回すみたい。


「それじゃあ、いくよー」

「うん」


「村の外れに天使様ー。ジャックを探しにやってきたー」


 あたしの右手の玉をリボンちゃんに投げて、左手の玉は右手に投げる。

 リボンちゃんは右手の玉をあたしの左手に投げて、左手であたしの投げた玉を取る。


「天命聞いた村人ジャック、他国の敵を薙ぎ倒すー。哀れジャックは捕えられ、英雄として名を残すー」


 お歌に合わせて投げていると、だんだん楽しくなってきた。

 お歌がどんどん早くなっていく。面白いなあ、これ。


 二回目からはあたしも歌う。何回か回していると、リボンちゃんが玉を落とした。


「んへへ。勝ちー!」

「あはは! 強いね、リズちゃん。もう一回しよ?」


 何度も玉回りを遊んだ。リボンちゃんの魂、ふわふわポカポカで柔らかそうで、温かそう。

 とっても幸せそう。



「リズちゃん、ありがとう」

「んー?」


「丈夫なお家に、パパとママのお部屋に、お兄ちゃんのお部屋と妹のお部屋。おいしいご飯に、こうやって遊ぶ時間。ぜんぶ、リズちゃんのおかげ」


 とっても嬉しそうに笑ってるリボンちゃん。あたし、良いことしたなあ。


「そっかあ。良かった! あのね――」

「わたしの魂の回収…そろそろ、かな?」

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