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第6話:エルフと救済者

 第6話です。




「──初めまして、こんばんは」


 ミラが気づいた時には、すでにミラの後ろに誰かが立っていた。


「……っ!?」


 ミラは、慌てて振り返る。


(……全く……気が付かなかった……)


 ミラの目の前にいたのは、汚れひとつない真っ白な服を着た男だった。




          ***




 ミラはこれでも、戦うことは得意だった。「お前には魔法の才能がある」と言われ、祖国である『メジアン王国』では毎日戦闘訓練をさせられ、何人もの強者と手合わせしてきたのだ。

 そして、そのときに発現したのが私の固有魔法『真実の目』だった。


 ミラは今回も、この得体の知れない男の能力を暴くため、すぐさま『真実の目』をつかったのだが──


「えっ…………」



──────────────────────

〈真実の目〉


 対象:白い服の男


 名前:セリ・イシヤマ


 レベル:未入力


 固有魔法:未入力


 職業:医者


 魔法属性:未入力

──────────────────────



「なに……これ……」

 『真実の目』が、『未入力』という訳の分からない言葉を表示したことはかつて一度もなかった。


「おや、どうかなさいましたか?具合が悪いのであれば──」

「……ひっ……!?」

 得体の知れない存在に、ミラは怯える。



「──おい!!俺らのことを無視するじゃねぇ!!」

 そんな中、完全に蚊帳の外となっていたチンピラ3人組の内1人が、芹に向かって殴りかかる。


「──これは失礼」

 だが、殴りかかったはずの男の拳は、空中を空振りする。

「……?……な!?」


「──(わたくし)は、『セリ』と申します。私は不幸な命を助けるため、ここに参りました」

「……ふざけたことを……お前、やれ!」


「了解だぜ!!フッ!!!」

 男の1人が、再び芹へと攻撃を仕掛ける。


「──では、始めましょうか」




          ***




 数分が経った。


 既にこの場には、先程の男たちはいない。

 この場にいるのは、私とセリという男性だけだ。



「──さて、ではここで質問です。ミラさん、貴方はこれからどうしたいですか?祖国に帰りたいですか?それとも何か他の道を探したいですか?」

「っ……!」


(……信じられない……たったの数分で……あの男たちは()()()()()()()()……)


 何が起きたのかはわからないのだが、目の前にいた男たちの雰囲気が一瞬にして明らかに変わったのだ。

 そして、私に慌てて『謝罪』すると、そのまま去っていってしまった。


「おっと、私としたことが……少し早とちりし過ぎましたね。では、まず場所を変えましょう」

「…………えっ!?」


 気づけば、どこか明るい場所に私はいた。


「職員さん、少し個室を借りますね」

「はい、かしこまりました」

「……ひっ……!?」


 悲劇か、この場所は先程死ぬ気で逃げたはずの奴隷商だったのだ。


「では、こちらへ」


 芹は、しゃがみこんでいるミラへと手を差し伸べる。


「──大丈夫ですよ」


 そして、芹は微笑んだ。




          ***




『さて、異世界と言えば何でしょうか?この答えは、答える人間(いや、生物と言った方が良いだろうか?)によって変わるでしょう。ちなみに、私の答えは』




          ***




「さて。もう一度聞くことになりますが、貴女はどうしたいですか?」

「……私……私……は……」


 何故だろうか。

 『真実の目』によって、この人の能力の異常さを知っているから、とても恐怖を感じているはずだ。

 だが、それとは別の感情があったのだ。


「……家族の元に……帰りたいです……」


 本当に、何故かは分からない。

 この人だけは自分の味方でいてくれるのではないか。そう思うのだ。


「…………」


 私は、人間が怖い。

 幼いときから、『人間には注意しろ。そして、隙があれば迷わず殺すか逃げろ』と教育されてきたのだ。


 心の奥深くにあるその考え方は、どうしても消えることがない。マイと仲良くできたのは、多分マイが人間という階級ではない『奴隷』だったから。

 私は、殺しは嫌いだ。だから、逃げなければ。


「私は……どうしたら……」




 ―第6話 完―

 お読みいただきありがとうございます。


 pv、ブックマーク等ありがとうございます。


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