第一話 忙しい休日
ウィズリー先生の件が解決したのもつかの間、学院に5日間の連休が入った。
「レイくんは連休、何するの?」
「…何もしないかな。多分寮で勉強とか」
「せっかくの連休なのに詰まんなすぎない?あっそうだ!どこか遊びに行かない?」
なんともうれしい提案だった。普段から人付き合いの少ないレイにとって、誰かと遊ぶなどめったにないことだ。レイは内心とてつもなく喜んでいた。
「ありがとう…!遊ぶにしてもいつにするの?」
「そうねぇ、4日目はどうかしら。最初の3日は社交界とかでいそがしいの」
「わかった!4日目に学院の門の前でいい?」
「もちろん!それで決まりね!」
かくして、レイとエリナは遊びに行く約束をしたのであった。レイは連休が来るのをひそかに楽しみにしていた。
しかしそんな喜びもつかの間、嫌な知らせが舞い込んできた。
寮の部屋に戻ると、見知らぬ黒猫が机の上に座っていた。
「なんだ、この猫」
訝しんでいると、猫がするりと近寄り、背中に背負っていた書類を差し出してきた。レイはおそるおそる受け取り、内容を読んだ。
お久しぶりです、レイさん。任務の方は順調ですか?任務の進捗を伝えるために私の使い魔をよこしました。ぜひ活用してください。
もう一つ。現在ルーネン東部のノルトレン伯爵領にて魔獣災害が発生しています。なので少し行ってきてください。てか行きなさい。
アレクセイ・ラントより
手紙の主はアレクセイさんだった。使い魔を経由して任務の報告をせよとのことと、ついでに魔獣災害の対処もしてこいとのこと。なんとも急な話である。正直めんどくさい。
「ノルトレン伯爵領といえば、シルトハイム公国に隣接した場所だったよな」
クロリア学院からは馬車で2日はかかる。往復4日。そう、エリナとの約束には間に合わない。
一般人ならば、だ。
何を隠そうレイはアハトマギアが一人、零の魔術師である。レイならば1日もあれば移動できる。
レイはすぐさまノルトレン伯爵領へと飛んでいった。




