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18 (ドロフィン1着艦)

「見えて、来たぁ」

 海に浮かぶ大きな船を見てロウが はしゃぐ…。

「そうか…ロウは 船を見るのは初めてか…。

 それにしても 大きいな…。」

 海に浮かぶ船団を見ながらナオ(オレ)が言う。

 ARで映像を拡大…。

 500m級デパート艦が1隻…その周りを200m級護衛艦が6隻で囲む艦隊だ。

 護衛艦は すべて空母型で エアトラS2がズラリと並んでいる。

 カタパルトも見当たら無いので、どうやら この時代では 垂直離陸が出来るVTOL(ヴィトール)機が 主流になっているようだ。

 エアトラS2が速度を落とし、中間モードで護衛艦の感知圏内に入り、旋回飛行に切り替える。

 これより先の円形陣に無断での進入した場合、最悪 撃墜されかねない。

『こちら、シーランドコントロール、応答せよ』

 シーランド艦のAIからの無線コールが掛かる。

「こちら、エアトラS2クオリア機、着艦要請(ちゃっかんようせい)、指示を乞(こ)う」

 クオリアが すぐに返答。

『こちら、シーランドコントロール、クオリア機は、ILSにてドルフィン1に着艦…着艦を許可。』

「クオリア機、着艦許可、了解、ドルフィン1に着艦する。」

 エアトラS2が 艦の前方に周る…。

「移動出来る砲台か…確かに効率的だな。」

 オレが甲板を見てつぶやく…。

 甲板の端には炎龍(エンリュウ)4機がガトリングガン装備で艦を守っている。

 エアトラS2が ヘリモードに切り替え、船首にあるクローラー・トランスポーターに着陸…。

 プロペラの回転を止めた所で クローラが動いて行き、甲板の駐機場で止まる。

 よくよく見ると 砦学園都市の履帯のクローラと違い タイヤ式になっている…路面が安定しているから だろうな…。

『ドロフィン1からクオリア機へ…機内にて待機、迎(むか)えを寄こす。』

 AIでは無い男の声でクオリア機に伝える。

「クオリア機、了解、待機する。」

 無線が終わり、機内電源だけの待機モードへ切り替る。

「ちょ…降りられないのかよ」

 ジガの後ろに座るトヨカズが言う。

「こちらが武装している以上…仕方ない。

 シーランド王国は 軍が主体だからな。

 とは言え そこまで時間は 掛からないだろう…。」

 クオリアが右を見る。

 黄色の回転灯を回す黄色に塗装された軍用車両が、隣のエアトラS2のチェックを行っている。

『クオリア機、後部ハッチの解放を許可…』

 黄色の軍用車に取り付けてあるスピーカーからだ。

 後部ハッチを開いて後ろを見ると、防弾シールドとライト付きのアサルトライフルを構えている。

 強力なフラッシュライトで照らし、ギッチリ詰まっている機内を確認する…眩(まぶ)しい…。

 トヨカズとレナは眩(まぶしい)しいのだろう…目を細め 目の上を片手で覆(おお)う…。

 兵士が持つ銃は ブルパップアサルトライフルのステアーのAUG(あうぐ)か…。

 物がごちゃごちゃしている中、一つ一つ手早く確認をして行く。

「DLは下ろすな…武器は ハンドガンまでだ。」

「了解した。」

 クオリアが最初に降り、続いて皆が降りてくる。

 まずは 持ち込む銃のチェックが入り、次に顔写真を撮られる…。

 クオリア、ジガは 存在その物が戦略兵器なのだが 手ぶらなのでOK。

 オレのウージーマシンピストルとリボルバーも大丈夫…。

 レナのグロック18Cも当然OK…。

 トヨカズは、M4カービンは 当然持ち込めず、腰にぶら下げてあるマシンピストル…ステアーTMPはOK…。

「オイ、これは サブマシンガンじゃないのか?」

 兵士が カズナ肩からベルトで ぶら下げている銃に指を差して言う。

「いんや…よく見てくれよ…コイツには ストックが付いて無いだろう…ハンドガンだ。」

 トヨカズがカズナと兵士の間に入り、何事も無いかのように言う。

 カズナが ホルスターに下げている銃は、PP-2000と言うロシア製の銃で、オレが考える限り マシンピストルの中では、最高性能を持っている。

 そして、この銃の最大の特徴は マガジンをストック(後部マガジン)ホルダーに挿し込む事で、簡易型ストックに出来る点だ。

 これは 通常時は マガジンストックを外して ハンドガンとして持ち込み、戦闘時にマガジンストックを付ける事で安定性が格段に増し、サブマシンガンとしての運用が出来る…。

 まぁ銃規制逃れの為の銃だよな…。

 兵士がしばらく考え、渋々(しぶしぶ)認め、次のチェックに入る。

「ようこそ、ドルフィン1へ…こちらがゲストカードになります。

 艦内はセキュリティレベルが設定されており、これは最低ランクの物になります。

 紛失されませんよう…ご注意ください。」

「了解した…私達の部屋は?」

「6人部屋を1部屋、用意しています…それをお使いください。」

「感謝する。」


 車両1台なら楽々と乗れる大きさの人用のエレベーターに乗り、下に降りる。

 1階事に天井までのサイズが違うのか 同じスピードだと言うのに 各階の通過速度が微妙に違っている。

 オレ達が向かうのは 一番下の動力室の1つ上の階にある船員室だ。

 エレベーターのドアが開くと、上下の階に続く階段と6m程先にセキュリティ用のスライドドアがあり、ドアと上部には監視カメラが付いている。

 多分 誰がどの区画に入ったか、リアルタイムで監視されているのだろう。

 まぁそんなのは 砦学園都市ので慣れている事もあって誰も気にしていない。

 首から下げたIDを扉に付いたカメラで 自動で読み込み、更に顔の照合も行いドアが開く。

 通路は、3人が普通に横に並べる位のサイズがあり、壁の上側には『→→→』と矢印のマークが書かれている。

 規格化された部屋が続いていると 自分がどの位置にいるかを見失ってしまう事がある。

 それでも ドアに付いている番号を見れば 済むが、緊急時には混乱して正しい場所に行けなくなる危険性がある為、矢印は船首側を向いている。

 更に非常時に走って躓(つまず)かないように、消火器が壁に埋め込まれているなど、よく考えられた設計になっている。

 大きな食堂兼談話室を通り抜け、次はトイレ…シャワー室…どちらとも男女共用で シーランド王国も性別の区別は されていない見たいだ。

 ただ、通りかかる兵士の比率は男が圧倒的に多い。

 軍人だからか…もしくは男が多い社会なのか?

 見た所 子供は乗って無いし、女子供は 安全なデパート艦にいるのだろうか?

 となると男だけで必要無いから分けていないだけか?


 ナオ(オレ)達は部屋に入る。

 部屋は天井が高く、3段ベッドになっていて、足元には 机が取り付けれらている。

 それが 両端に1台ずつの6人部屋だ。

 オレは 左端のベッドの1階に座って見る…。

 オレの身体が小さくなった事もあるが、頭が2階に接触を起こさない位には高く設計されている。

 更に横にはカーテンがあり、プライバシーが一応確保されている。

 トイレ、シャワー、水道共に男女共用で部屋の外だが、空調はしっかりしていて、ネットも一般と軍事専用回線の2種類を完備している。

「軍艦にしては良い部屋だな。」

 オレが言う。

 軍艦は 200mと言う限られたスペースに乗組員の生活スペースをすべて押し込まなければならない。

 確か、旧時代のいずも級護衛艦が250mだから 50m程小さくなっている。

 多分VTOL(ヴィトール)機が 前提の設計の為、カタパルトや それに伴(ともな)うシステムをオミット出来た事や、搭載船員が少なくても運用出来るように大部分が自動化されている事が 乗員の施設(しせつ)を大きく出来る理由だろう。

「さて、荷物を置いたら 指揮官に挨拶に行きましょう…。」

 レナがARウィンドウを開き、要望書(ようぼうしょ)を提出…。

 しばらくして 要望が受理、作戦指揮官の面会を許可された。

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