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誕生石へのエチュード  作者: なつ
第七章 ダイヤモンドとアクアマリンはいつも一緒に
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 1

 8月29日、芹沢雅の誕生日の一日前、芹沢茜はメンバーを集め、最後の確認をしていた。茜が所属している演劇サークルの、最後の公演ともいえる。いや、すでに半ば解散していたのを、無理やり集めたといってもいい。

 残念なことであるが、そのサークルの代表者であった楠木瑞穗が警察に逮捕された。それも、連続殺人の犯人として、である。被害者についての多くの報道は世間にはされていない。が、茜は事件の被害者側として、多くを把握していたし、その担当であった日比野警部から顛末も聞いていた。

 6月から続いていた殺人事件と、そして、世間が夏休みに入ったところの、純正芹沢学園の合宿地での連続殺人と、その二つの犯人であった。

 それがゆえ、演劇サークルが存続できるはずもなかった。けれど、茜はその元のメンバーに、もう一度芝居をやらないか、と持ちかけたのである。

 話は、篠塚桃花から始まる。彼女が、雅の誕生日にどうしてもやりたいことがある、というのだ。その計画は、けれど面白そうだと茜は思った。だから、協力することを決めた。

 メンバーにこの話をすると、みな協力してくれると言ってくれた。

 伊堂寺鉄平、東健太郎、鈴木愛弥、武藤勇、藤崎麻耶、それから茜のわずか6人のメンバーである。笠倉岬にも声をかけたが、彼女は別の用事があり、参加できないとのことだった。元々サークルのメンバーに入会したわけではないからしかたがないかもしれない。

 けれど、このメンバーではどうしても足りない。雅に確認すると、それなら心配いらないといい、別の人を参加させるとのことだ。

「明日が本番だけど、みんな、大丈夫?」

「ああ、まかせておけって」

「それにこんな大舞台、ていうか、大道具に制限なし、衣装も最高級、料理付き。贅沢すぎるくらいだよ」

「私は食べる機会がないんだけど」

「吊るされてからでいいんじゃない? ロビーの扉閉めておけば、ささっと移動できるし」

「でもこういうのって、当日何が起きるか分からないし」

「だから、大筋の道しかつくることができないんだ。それに、そのほうが面白い。その場で色々と考えて行動しなければならないんだから」

「愛弥ちゃんは、エチュード苦手だもんね」

「うるさいわね。これでも高校から培った演技力があるんだから」

「うんうん、期待してるから」

 最後の打ち合わせは、ほとんど流れの確認でしかなかった。演技の練習もしなければ、セリフの確認もしていない。けれど、そのほうが本番成功する確率が高いと茜は思う。愛弥の演技力に問題はあるが、本番に強いことは先の公演を見ていて分かる。

「よし、いざ出陣よ!」

 みんなの声が、蝉の鳴き声とうまくミックスされる。上出来じゃない?


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