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真・巻き込まれ召喚。 収納士って最強じゃね!?  作者: 山口遊子


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第94話 王都に帰還


 俺たちの冒険はこれからだ! と思っていたのだが、すっきりしないまま『魔界ゲート』を後にした。砦の方で兵隊さんたちがなにやら騒いでいたようだがあえて無視した。


 帰り道は順調で、砂虫にも出会わず、砦を出てから三日目の昼前に王都西門前の駅舎に到達した。そこでわが愛馬、馬車馬のシルバーとウーマに好物(こうぶつ)?の野菜と果物(くだもの)を与え、アスカと二人、ほっこりしたところで西門をくぐった。



 そこから冒険者ギルドに直行(ちょっこう)し、砦でサインをもらった受け取り確認書を受付に提出した。


「ご苦労さまです。ショタアスのお二人がいらっしゃったら、ギルドマスターの執務室に通すよう言いつかっておりますので、よろしくお願いします。

 スミスさーん、ショタアスのお二人が依頼を完了して帰還されました」


「依頼完了、ありがとうございます」


 そういって、にこにこ顔のギルド職員スミスさんがやって来てそのまま四階のギルドマスターの執務室に連れていかれた。


「スミスです。ショタアスのお二人が任務を完了して帰還されたので、お連れしました」


「もう帰って来たのかい? そこに座っとくれ」


 今回もギルドマスターのギリガンさんは大きな机の奥に座っていた。スミスさんは部屋の隅に控えている。


「依頼は完了したんだよな? 高々(たかだか)一週間で往復するとはな」


 無言でうなずく。


「それに商業ギルドの大型倉庫一杯分の荷物を収納しても余裕のありそうなアイテムバッグ。

 お前たちは不思議の塊だ。もう何も聞くまい。とにかく良くやってくれた。

 それで、約束の報酬(ほうしゅう)だが、商業ギルドから二人が運んだ資材の代金の計算書が届いている。合計でざっと大金貨三百五十枚だ。この紙をもって下の支払い窓口で金を受け取ってくれ」


「分かりました。あと、北の砦から第3騎士団へ手紙を預かって来たんですけど」


「ああ、こちらで第3騎士団に届けておこう」


 支払指示書(しはらいしじしょ)?と交換に取り出した手紙をギリガンさんに渡し退室しようとしたところで思い出した。


「あっ! 言い忘れてました。これはギルドに伝えておいた方がいいでしょう。ギルドから第3騎士団にも伝えておいてほしい情報なんですが」


「なんだい?」


「砂虫なんですが、もう、ほとんどいなくなったみたいですよ」


「どうしてお前に分かるんだ?」


「Bランク冒険者の(かん)? みたいな?」


「お前は何を言ってるんだ?」


 そこから俺だけギルドマスターに問い詰められ、砂虫を退治した話をしたのだが、むろん方法は秘密だ。


 どうしても俺の話が信じられないギリガンさんが証拠を見せろと(うるさ)い。


「証拠を本当に出していいんですね。大きいですよ」


「何を見せようとしてるんだ?」


「だから証拠ですよ。砂虫丸々一匹出せば納得するんですよね」


「い、いや待て! そいつはどれくらいの大きさだ?」


「大きいので長さ三百メートルくらい? 小さいのだと二百メートルくらいです。それがぜんぶで十八匹かな」


「小さく切って出せんのか?」


「いったん出せば何とかなりますが、それでは本末転倒(ほんまつてんとう)ですからね。安心してください、ここで取り出すというのは冗談です。実際に王都で一匹でも取り出してしまうとパニックになりますよ」


「それじゃあ、信じようがないじゃないか」


『マスター、取り出せるような広場がないなら、港へ行って海の上に出すのはどうでしょう。おそらく砂虫は、海水に浮くかと思います』


『そうするか、アルマさんの屋敷へは寄り道になるけどそれで行こう』


「ギリガンさん、どうしても見たいならこれから港に行きましょう。海の上なら、砂虫を出しても大丈夫でしょうから」


「分かった。わたしもまだ砂虫は見たことがないんだ。一緒に港に行こう。

 おーい、スミス! ギルドの前に馬車を用意しといてくれ。この二人を連れて港へ行く。お前もついて来てくれ」


「了解しました」


 部屋の(すみ)(ひか)えていたスミスさんが急いで部屋を出て行った。


 俺たちは先に支払窓口で報酬を受け取り、ギルドの入り口の前で馬車を待つことにしてギルドマスターの執務室を後にした。




 冒険者ギルドの入り口で馬車を待っていると、ギリガンさんもすぐにやって来て、間もなく現れた二頭立ての箱馬車に乗り込むと、中にはすでにスミスさんが乗っていた。


 馬車の扉を閉めると御者のおじさんは行き先は既に知っているらしく、すぐに馬車は走り出した。


「もう一度訊くが砂虫をどうやって二人で(たお)したんだ?」


 向かいに座ったギリガンさん。


「ご存じかもしれませんが、砂虫は水に弱いんです」


「それは聞いたことはある」


「水樽を砂虫の口の中に放り込んでやると、勝手に飲み込んで苦しみだしてあばれだすんです。そうすると口のある頭の部分以外も砂の中から現れてなんとか攻撃できるようになるんです」


 嘘は言ってない。


「まず聞くが、どうやって砂虫の口の中に水樽を投げ込むんだ? そんなものを抱えて砂虫に近づくのはそれこそ勇者さまかよほどの狂人だけだぞ」


「そこはそれ、なんとなく突っ立ってると勝手に砂虫が大口を開けてやってくるんで、その中にぽいって投げ込むんですよ」


「ぽいってな。分かった、水樽の話はもういい。で、暴れている砂虫をどう攻撃したんだ?」


「それはほれ、アスカの腰の双刀(そうとう)と私の八角棒で、()ル気と根性でですね……」


「もういい」


 ギリガンさんはそれっきり黙ってしまった。スミスさんはアスカが良く使う無表情で笑うという高等テクニックを使って座っている。


 石で舗装(ほそう)された道を俺たちを乗せた馬車がガタゴト音をたてて港に走って行く。



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