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真・巻き込まれ召喚。 収納士って最強じゃね!?  作者: 山口遊子


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第60話 出発、そして王都へ


 その日の夕食は、台所も片付けてしまった後なので外食することにした。いったん家に帰りフレデリカ姉さんを連れ、ヒギンスさんを夕食に誘いに行った。


 場所はいつものレストラン。フレデリカ姉さんとヒギンスさんはワインを頼んでいたが、俺を含めた残り三人は水で済ませた。アスカにワインを勧めてみたが、俺が飲まないのに飲めないと言って断られた。


 翌朝。家の戸締(とじまり)りをして、フレデリカ姉さんを含めて四人で北門に向かった。ヒギンスさんは最後の手荷物を持って先にきていた。


「おはようございます。ヒギンスさん」「「おはよう」」「おはようございます」


「おはようございます。皆さん」


「それじゃあさっそく、馬のところに行きましょう」



「おはようございます。オーガスさん。ショウタです。馬を受け取りに来ました」


「おはよう。おーい、あの二頭を連れてきてくれー。ショウタさんから預かってる。そうだ。いや違う。栗毛の二頭だよ。そう、その二頭。急げよ」


 また、落語が始まった。


 馬を驚かせたらまずいので、先に馬車を収納から出しておいた方がいいだろう。そう思い、目の前に八人乗りの幌馬車を収納庫から取り出したら、人間の方が驚いたでゴザル。


 二頭の馬が連れてこられたころ、ようやくオーガスさんは再起動した。


「当面の飼葉(かいば)と飼葉桶がこっちにある。ついて来てくれ」


 連れて行かれた倉庫で、結構な量の飼葉と岩塩、飼葉桶に水桶二つずつもらったので収納しておいた。サービスだそうだ。


「ありがとうございます」


 アスカは馬車に入っていた馬具で、二頭を馬車につなげている。初めてのはずなのに妙に手馴れている。


 御者(ぎょしゃ)をするアスカが御者席に座り、その右に俺が座る。残りの三人は幌の中だ。



出発しゅぱーっつ!」


 こうして俺たちの王都への旅が始まった。




 パッカ、パッカ、パッカ、パッカ アスカの手綱(たづな)さばきでゆっくりと馬車は進む。


 パッカ、パッカ、パッカ、パッカ


「アスカ、馬に名前を付けないか?」


「それはいい考えです。マスターの名前のセンスは素晴らしいですから」


 お前の名づけは俺だからな。


「俺は、前々から馬に付ける名前はシルバーと決めていたのだ」


「でも、二頭とも栗毛ですよ。シルバーの要素がありませんが」


「そんなことはどうでも()いんだよ。じゃあアスカだって名前の要素があるか?」


「分かりました。で、どっちがシルバーですか?」


「右の方にしよう。正直、二頭ともそっくりで区別がつかん」


「それでは、左の子の名前は?」


「そうだなー。ウーマはどうだ」


「それじゃあ可哀(かわい)そうじゃないですか。何かほかにありませんか?」


「俺的にはウーマだ。UMA(ユーマ)みたいだしカッコいいと思うが」


「それなら、ウーマでいいです」


「何度も、ウーマ、ウーマっていってたら慣れるもんだよ。慣れだよ、慣れ。ウーマ、ウーマ」


「分かりました」


「風が気持ちいいなー」「そうですね」



 二頭の馬に名前を付け終わった後、俺は今周囲を警戒している。


 何かしらの気配を感じたわけではないが、仲間三人の生命を守る義務がある。なお、その中にアスカは含まれてない。彼女は俺を守らなくてはならないからだ。


 そういうわけで俺は、ミニマップに注意を向けて潜んでいるかもしれない敵を警戒している。馬車や旅の人が行き交ってるわけだから、そもそも安全なんだろうけども。しかし、後悔は先に立たない。常在戦場(じょうざいせんじょう)の心構えは必要なのである。



「マスター、今十二時十五分です。そろそろ昼にしませんか? 後ろの皆も体を伸ばしたいでしょうし」


 もう少し進んでおこうと、三十分ほど前に駅馬車の駅を通り過ぎたのだが、まずかったかな。


邪魔じゃまにならないようなところに馬車を停めて昼にしよう」


 少し(ひら)けたところがあったので馬車を寄せて停車した。


 馬車の中にいた三人も馬車から降り、外の空気を吸ったり、体を伸ばしたりしている。よく、ラノベなんかで馬車のサスが悪くて、尻が痛くなったとか話があるが、普通に馬車を進めている分には全く問題ない。


 尻が痛くなるほど馬車が揺れるにはよほどの速度が必要だと思うし、そんな速さで馬は走り続けられないと思う。それに馬車自体もすぐに壊れるんじゃないだろうか。 


 アスカはシルバーとウーマを馬車から外して、近くの木に繋ぎ、地面に置いた飼い葉桶に飼い葉を入れ、横に水桶を置いた。


「マスター、水と岩塩をお願いします。あと、タオルとブラシを」


 水を入れた樽を一つと桶を二つアスカの前に置き、岩塩の塊その他を手渡す。


 アスカは馬の汗をタオルで拭いてやり、ブラシで毛並みを揃えてやっている。


 俺の方は、平たい場所を見つけて、家で使ってたテーブルと椅子(いす)を置いて、取り出すだけの食事の準備を進める。準備と言っても買い置きの料理と食器を並べるだけなのであっという間だ。恐縮(きょうしゅく)している三人を席に座らせ、アスカを呼んで食事を始める。青空の下でこうしてみんなで食べる食事はそれはそれで楽しいもんだ。いつも以上に食事が美味(おい)しく思えた。



 後片付けを終え、食後の休憩を少しとり、出発。


 次の駅馬車の駅は宿場町だから、その次の駅までは行かずにそこの宿屋で今日は一泊しよう。




 そんな馬車旅も、今日で三日目。


 ガタゴト、ガタゴト。


 眠気を誘う馬車の揺れの中で、俺だけはミニマップに意識を集中している。


 おかしい。敵が出ない。ここは、盗賊遭遇(そうぐう)イベントだろ。どこかでフラグを見落としたのか?


 いくら集中しても出ないものは出ない。そもそも王都から大都市である迷宮都市キルンまでの幹線街道に盗賊なんぞ出るはずはないのだが、そのことに気付かず、集中するショウタ。



「何だー? マップが縮んだ? 今急に遠くまでミニマップで分かるようになった」


 アスカも俺のミニマップを共有しているのでミニマップの変化に気付いたはずだ。


「マスターのミニマップの表示範囲が拡大されたようです」


「みたいだな。大体今まで見てた範囲の倍か?」


「面積だと4倍です」


「ちょっと小さくて見づらいな。もうちょっとデカくならんか? あっ! 大きくなった。今度は大きすぎだなもっと小さくなれ! おう、これくらいでいいか。アスカこんなもんでどうだ?」


「マスターのお好みで。私には、解像度(かいぞうど)さえ十分ならマップそれ自体の大きさは無意味ですから」


 さいですか。言い方に可愛げがないやつだ。




 王都への街道は、最初北上していくが、中ほどから右手に連なる山地を見ながら、その山地を回り込むように大きく東に曲がっていく。


 途中の駅馬車の駅舎の宿泊施設に泊まったり、駅のある宿場町の宿屋に泊まったりして、キルンを出て十五日目の昼前に、最後の駅を通過し、なだらかな坂を登り切ったところで白い外壁と運河に囲まれた王都セントラルの姿が望まれた。



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― 新着の感想 ―
ウーマちょっとかわいそうかなぁ ハイヨーとかじゃダメだったのかな(同レベル
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