第379話 海水浴2、着替え
今の時刻は、午前8時半くらい。10時くらいまで良さそうな砂浜を探しながら、沿岸部を北上することしている。
キャビンを覗くと、みんなは思い思いの席について窓から港の景色などを楽しんでいた。エメルダさんにシャーリーがいろいろ説明していたが、だんだんと他の連中が、階段を下りていく。
「エメルダさんたちも、船底に行ってみるといいですよ」
結局全員船底に移動して、海の中をのぞき始めた。
船底ののぞき窓の両脇にみんな並んで海の中を眺めている。これはこれで重心も下がるのでちょうどいいんじゃないか。
みんながおとなしくしているので、俺はブリッジのアスカのところに登っていった。
「どうだ?」
「問題ありません。港を出て沿岸沿いに北上中ですがまだ砂地は見えてきません」
沿岸には民家なども建っているし、出発してまだいくらも時間が経っていないので、そんなものだろう。とにかく今日は天気もいいので、これから暑くなりそうだ。
「マスター、この『シャーリン』を砂浜に乗り上げるわけにはいきませんので、ある程度沖に停泊させることになりますが、砂浜への上陸はどうしましょう。波を考慮すると『シャーリン』を停めるには、水深5メーターは欲しいです」
「5メートルか。誰も泳げないんだろうから、何か艀のようなものを用意しなくちゃいけないな。どうする?」
「マスターは灌木をたくさん収納しているでしょうから、船を停めたらそれで簡単に筏を作りましょうか?」
「ロープはないけれど、砂虫の皮で何とかなるかな?」
「ちょっと弱いかもしれませんが、多めに使えば問題ないでしょう。あと、空樽があれば栓をして、浮力の足しにすれば、木が細くてもみんな乗れる筏ができると思います」
「樽なら、だいぶ予備を持っているから大丈夫だな。生木も収納の中である程度水分を抜いてやれば浮力は増すだろう」
相談もまとまり後は、海水浴に良さそうな砂浜を探すだけだ。
アスカに操縦をまかせ、俺は『シャーリン』の厨房に行って砂浜である程度調理できるよう料理道具や小皿などを収納しておいた。あと、もしものために用意していた砂虫の皮製浮き輪も人数分収納している。
しかし、下の船底に俺とアスカ以外のみんながいまだにいるが、良く飽きないものだ。いまは、かなり高速で『シャーリン』は移動中なので、そこまできれいな水中の景色は見えないだろうに。
港を出て一時間ほど『シャーリン』が北上したところ、右手に島影が見えてきた。緑の木々がこんもり生い茂った小さな島で、砂浜に囲まれ周りは遠浅になっているように見える。なかなかいいんじゃないか?
「アスカ、あそこに見える島はどうだろう?」
「なかなか良さそうな島ですね。あの島に上陸してみましょう」
『シャーリン』が島に近づいていくと、小島だと思っていたその島は、意外に大きく幅は1キロほどはあるそれなりの島だった。
ミニマップで確認したところ、島には人やモンスターなどの気配は全くなかったが、島の北西から、島の中央に向かって入り江があるようだった。
その入り江を囲むように、繁った木の向こうに空き地があるようで、島の中央部にはそれなりに広い空き地になっている。入り江から空き地に向かって何か大きなものがあるようだったが、ミニマップではよくは分からなかった。形状は直線的だが、おそらく岩か何かなのだろう。
今日は、海水浴アンドバーベキュー大会なので、空き地の方は当面放っておくしかないが、整地しておけば、今後この島に来るときには、『スカイ・レイ』で来ることができる。
今のところ『スカイ・レイ』の定員は操縦席に2名、その他の搭乗者6名なので、一度に運べる人数に制限があるが、ここまで王都から50キロほどしか離れていないので、40分もあれば往復できる。
島の南方、島からそれなりの距離を取って、『シャーリン』は停止した。すぐに、錨を投げ込んで、停泊する。
船底で、海の中を見ていたみんなも船が停まったことで、キャビンに戻ってきた。窓のたくさんあるキャビンで着替えられると俺自身がちょっと困るので、
「みんなは下の寝室の方で水着に着がえてくれ。各自の荷物はここに出しておくから」
階段の近くに各自の手荷物を置いておいた。ぞろぞろとみんなが第二甲板に下りていく。俺の方は、キャビンで着替え、アスカの作ってくれた膝丈海パンを履いて上に下着のシャツを着ておいた。
この海パン、妙に股間が締め付けられるし、形が浮き出ているのだが、良いんだろうか? 妙な状況が発生してしまって、俺の何かが反応してしまったらエライことになる。こればかりは神頼みだ。
? 神頼み? いかんいかん。それはない。
さて、上陸用に筏をアスカに作ってもらおうとブリッジに上がったら、アスカもそこで水着に着替え終えていた。
「アスカ、筏をつくろう、……、か?」
白いセパレートの水着を着たアスカがブリッジの舵輪の前に立っていた。いままでマッパのアスカは何度も見たことがあるが、こう来るとちょっとドキッとした。いやかなりドキッとしてしまった。
「マスター、感想はありませんか?」
感想はなー。
「すごくいいけれど、露出部分が多くないか?」
とか、訳の分からないことを言ってしまった。
「マスターですから。ありがとうございます」
マスターだと何だって言うんだ?
「それでは、筏を作ります。ブリッジからでは作業しづらいので、上甲板にいきましょう」
ブリッジから一度キャビンに下りて、そこから上甲板に出る。
「海に、空樽8個と灌木を40本ほど出してください」
収納の中で40本ほどの比較的まっすぐな灌木から適当に水気を抜いて、栓をした樽と一緒に海の上に排出した。それに砂虫の皮テープも大量に甲板の上に出しておいた。
海の上で灌木の枝が払われて、長さが揃えられ、砂虫テープで筏が組みあがっていく。筏の形が整ったところで、空樽を2個セットで筏の四カ所にテープ止めして、最後に全体がひっくり返って、筏ができ上った。
俺とアスカが筏を作っていたら、女子たちが着替えている寝室の方から、キャッキャウフフが聞こえてきた。
男子がこんなに近くにいるんだから、もうちょっと警戒するとかあるんじゃないか?
「マスターは、そういった意味では、超の付く安全人間とみんな思っていますから」
さいですか。誰も俺のことは男とは思っていないと、正直に言ってもらっていいのだよ。それはそれで仕方がない。今は筏だ。
「筏の木と木の間に隙間があって危なっかしいな」
「でしたら、板でも張りましょうか?」
「そうだな、まだ板材はあるからそれを使おう」
『シャーリン』の甲板を作った時の材木が少し残っていたので、筏の上に出してやったら、アスカがそれを板材に加工して、自作の木釘で筏に固定していった。板張りは6畳ほどの広さしかなかったが、それだけの広さがあれば十数名が乗る分には問題はないだろう。
「櫂か竿を作った方がいいんじゃないか?」
「面倒ですから、私が水中から押していきます」
あれは、爽快ではあったな。
筏の準備が整ったところで、女子たちが各自の手荷物を持って上甲板まで上がってきた。
予想していたわけではないが、ぴっちりと体に貼りついてぱっつんぱっつん。しかもウスウスの水着がこれほどまでにインパクトがあるとは。
薄いゴムの膜で出っ張りを押さえられているような感じで、いろいろなものが水着のわきからハミ出している。
平常心、平常心。
エメルダさんとパトリシアさんが、しきりに自分の着ている水着、特に水着からはみ出てしまっているお尻の下の部分を気にしている。
俺がいつもうちの連中にこんな格好をさせて喜んでいるとエメルダさんたちが考えたかもしれない。俺の心に十分ダメージが入っている。
平常心、平常心。
『エメルダさんは前回の計測時から、時間経過を考慮してサイズを若干大き目に作成したのですが、予想以上に局部が発達したようです』
言っていることは理解できるが、『局部』という表現はちょっとねー。まあいいけれど。
アスカが作ったにしてはまともな水着だし、形だけは普通のセパレートの水着なのだが、素材が鑑賞水着としては最適過ぎたようだ。
つい、目で女性陣の動きを追ってしまう。というか、アスカさん、よくああいったものを作ったと感心するし、それを着ている女性陣にも驚く。
まあ、俺のことを男だとは思っていない証拠だな。その中でスク水仕様のラッティーとちょっと大人っぽいスク水のシャーリーが浮いて見える。
エメルダさんはシャーリーと同い年のはずなのだが、ちゃんと自己主張するところは自己主張していた。ただ、いわゆる巨乳タイプの女子はいなかった。




