第317話 冒険者学校
アスカと並んで冒険者学校手前のトンネル東口に向けて駆けながら、
「おそらく生徒たちのグループ分けも、どうせ同じ部屋でグループ分けになると思うがどう思う? 女子の四人をバラバラにするのはちょっと難しいだろ?」
「今の若い人たちは、女子だからといって、膂力が男子と比べ大きく劣っているわけではないようですし、女子だけでも問題はないと思いますが、その辺はペラの判断に任せましょう。おそらくですが、みんな表面上かどうかはわかりませんが、仲良くやっているようですので大きな問題にはならないでしょう」
「そう願いたいな。一人だけ仲間外れなどが出たら、こっちもやりにくいものな」
「生活がかかっている以上、そういったことは起こりにくいと思います。もしそういったことが起こった場合は、いい悪いという訳ではありませんが、その人物ないしはその人物をのけ者にした周りの人物はどちらもパーティーを組んで仕事をこなしていく冒険者には向かないと思います」
「そこらは、ギルドでよく人がらを見て寄こしてくれていると思っておくしかないな」
ダンジョン内での実戦訓練を行う前に、パーティー分けをしたうえで連携訓練を多少は行う必要があるだろうとアスカとペラと三人で冒険者学校のカリキュラムを考えた時に話し合っていたのだが、そのときは時期や期間については白紙だったので、生徒たちの仕上がり具合を見たうえでペラの判断で決めてしまおうということにしていた。実戦訓練の初日には俺とアスカも一緒に『鉄のダンジョン』に入って生徒たちに不測の事態が起こらないよう見守るつもりだ。
アスカといろいろ話しているうちに、トンネルの東口に着いたのだが、一々機関車を出すまでもないので。カンテラだけアスカに持ってもらって、トンネルの出入り口を塞いでいる柵を乗り越えてそのまま、駆けあがってやった。
露天掘りの底の線路の終点まで駆け上がり、簡易階段を駆け上ってみると、生徒たちは午前中の訓練として、露天掘りの周りに何段にも走っている作業通路の上をランニングしていた。きちんとそろって走っているうえに、それなりにスピードが出ている。かなり持久力もついてきたようだ。
ペラは今は生徒たちの後ろについて走っていたのだが、すぐに俺たちを見つけたペラが、ランニング中の列から外れてこっちに駆けてきた。
「おはようペラ」「おはよう」
「おはようございます。今日は?」
「生徒たちができ上っているようなら、そろそろダンジョンに入って実戦訓練を始めた方がいいかと思って確認に来たんだ」
「分かりました。私からも、一度屋敷に帰ってマスターにお知らせしようと思っていたところです」
「ということは、ペラから見てそろそろ、実戦訓練を初めてもいいと思っているということだな?」
「はい。とりあえず、四人パーティーを三つ作って連携訓練を数日前から行っています。私から見てまずまずのようですので、そろそろダンジョンに入り、実戦を経験させてもいいと判断しました。実戦を通じて出てきた欠点を一つずつ直していけば十分通用する冒険者になれると思います」
「なるほど、そこまでペラが言うなら、明日からでも実戦訓練で中に入って見るか。俺とアスカが9時半にはこっちに来るようにするから、『鉄のダンジョン』へは明日の10時頃入るように準備しておいてくれ。三人で見ていれば、ちょうど三パーティーだからちょうどいいだろう」
「後で生徒たちに伝えておきます」
「それと、生徒たちがこれから斃すゴーレムの買取は、うちでいったん買い取ってそこらに積み上げておこう。ある程度溜まったら、列車で運んでもいいし俺が運んでもいいからな。いちおう、ギルドとは話は付いているが、今日明日では買い取りのルートが正式にはできないから、実戦訓練が軌道に乗るまで、間に合わせでいこう」
「了解しました。買取価格はいくらになりますか?」
「これから冒険者ギルドに行ってヘマタイトゴーレムの買取価格と、運賃を決めてしまおうと思う。明日までには結論が出ると思うから、それまで待ってくれ」
「マスター、こちらで買い取るにしても一々現金を渡していたのではペラの作業も大変ですし、現金の支払いは1週間ごとくらいでいいんじゃないでしょうか。ですので、ペラだけなら帳簿などはいらないでしょうが、生徒に確認させるためには帳簿が必要でしょう。それと、玄関に出来高表を置いて、どのパーティーがどのくらいゴーレムを斃したのか表にすれば面白そうです」
「出来高表は当事者ではない俺たちから見れば面白そうな話ではあるが、生徒たちが要らぬ競争心を持ってぎすぎすしてもいけないから、それは後で考えよう。帳簿の方は明日までにノートのようなものと筆記具を揃えておくから、ペラはちゃんと作って生徒たちに見せていくようにしてくれ。あと、小金貨だと一々面倒だから、小金貨以下は、次週持越しでいいな。そしたら、三パーティーだから金貨を100枚くらい用意しておけば当面は足りるだろう」
「分かりました。昼食時に生徒たちに説明しておきます」
「今持っている現金は大金貨しかないから、明日ここに来るまでに両替しておく」
「よろしくお願いします」
「あと、ヘマタイトゴーレムから抜いた魔石をギルドで換金してくるからその価格で生徒達から魔石を買い取ってしまおう。魔石についてはそこまで重くないから自分たちでよそで換金してもいいしな。
それはそうと、生徒たちのグループ分けというかパーティー編成はどうしたんだ?」
「男子生徒からは、女子を組み込んだパーティーの方がいいという意見でも何でもない要望があったのですが、女子は一緒の部屋で暮らしてみて気心も知れているし、もともとその中の三人は同じパーティーで活動を少ししていたようなので、女子四人でパーティーを組むことにしました。男子の方も結局部屋ごとにパーティーを組むことにしました」
「まさに、同じ釜の飯を食った仲間と言うことだな。何にせよ仲間はずれが出なくてよかった」
「マスター、今回はうまく行きましたが、第二期生以降うまくいくとは限りませんが、その時はどうしましょう?」
「その時はその時だが、訓練には支障をきたすが、無理にパーティーに入れなくてもいいかもしれない。何か別のことをさせるとかあるからな」
「分かりました」




