第22話 シャーリー
昨日は、ちょっと散財したけど、たまにはいいな。
そういうわけで、今日のToDo。
今日は、家事のできる奴隷を買いに行くぞ。秘密を持つ主人公の身の回りの世話をする美人奴隷。これってテンプレでしょ。
「アスカ、家事のできる奴隷を買いたいんだけど、奴隷屋さんに案内してくれる?」
もはや、知ってるか? とか聞くのはやめました。
「家事のできる奴隷でしたら、こちらになります」
ほーらね。
アスカに先導されて、やって来ました奴隷屋さん。ハットン商会。
目の前にいるのが、主人のハットンさん。見た目だけは善良そうなおじさん。見た目だけとか失礼か。
広めの応接室で、相対しています。
「どのような奴隷をご希望ですか?」
「家事のできる奴隷の人を探してるんですが。良い人いますか?」
「家事ですか。女性の奴隷ですとほとんど家事は大丈夫です。なにか、他にご希望がありますか? 性的な目的のためとかありますと、一般奴隷契約ではなく別の特殊契約となりますので」
「そうですね、ある程度若い子で、覚えの良い子がいれば。性的な目的は、……ありません」
ちょっとは考えたよ。
「それでしたら、当店に三名ほどおりますので少々お待ちください」
そういって、ハットンさんが横に立っていた店員さんに何か言うと、店員さんが奥に引っ込んだ。その三人を連れてくるのだろう。
「お待たせしました」
しばらくして、さっきの店員さんが三人の奴隷の人を連れて来た。三人とも洗いたてのような白い貫頭衣を着てサンダルをはいている。
背の順に並んでいるようで、一番背の高い端の子だと俺よりちょっと低いくらい。一番低い子で、俺より二十センチくらい低い。因みに俺の身長は一メートル七十五だ。
顔立ちはどれも普通。残念だが、取り立てて美人の子はいない。いや、家事を頼むだけだから顔は関係ない。まあ、可愛いに越したことはないけど。
テンプレだと、ここは美少女が出てくる場面だろ。自分でもいやに引っ張るね。
「一番端が、イリーネ。十七歳です。値段は金貨九枚。真ん中が、サロメ。十五歳、金貨六枚、最後が、シャーリー。十三歳、金貨五枚です。では、イリーネから順番に自分の得意なことを言ってください」
「イリーネです。家事は全般に得意ですが 特に裁縫が得意です」
「サロメです。私も家事は全般に得意ですが、その中でも料理が得意です」
「シャーリーです。私は家事は全般的に得意というほどではありませんが、読み書きができます」
料理が得意なのは魅力的だが、読み書きできる子の方が伸びしろがあるか。まだ十三だし。
「三人はいったん下がってくれますか」
三人が店員さんに連れられて部屋を出て行った。
「お客さま、誰か気に入った子がいましたか?」
「はい、シャーリーさんをお願いします」
「畏まりました。シャーリーには支度をさせますので、その間に手続きをしてしまいましょう。
こちらの書類をよく読んでいただき、問題がなければ、こちらにサインお願いします。
……、はい、結構です。代金は金貨五枚ですので。……、はい、ありがとうございます。
その書類にも書いてありますが、確認のため、
奴隷の衣食住は、所有者の責任になります。
また、今回のような、一般奴隷契約の場合、奴隷に対して、性的な強制はできません。
奴隷に対して、最低年あたり小金貨一枚を給金として支払う必要があります。
これらに違反した場合は、奴隷は審議院に訴えることができ、しかるべき罰則が奴隷主に適用されます。
奴隷は、所有者の秘密を守る義務があります。奴隷がその義務に違反した場合は、所有者の訴えにより、審議院を通じ、死刑を含むしかるべき刑罰が発生します。
審議院は、訴えた所有者の秘密がたとえ非合法なものであれ、それにより訴追は行いません。
成人した奴隷の解放は、お買い上げの奴隷商会に於いて、所有者が任意で行えます。従いまして、所有者は未成年の奴隷が成人するまで衣食住の面倒を見る義務が生じます。
また、所有者はいつでも未成年の奴隷を解放することは可能ですが、お買い上げの奴隷商会がその奴隷の経済的自立性などを確認した上で、問題ないと判断する必要があります。
所有者以外の者が、奴隷を雇用することはできません。発覚した場合、その雇用者は厳しく罰せられます。これは奴隷の逃亡を防ぐための規則ですね。
まあ、大事なところは、奴隷の衣食住と給金のところですので、よろしくお願いします」
「すみません、審議院って何ですか?」
「審議院というのは、審議眼というスキルをもった審議官が、法を犯したとされる者が本当に法を犯したのかどうかを見極める所です。法を犯したことが分かれば、刑罰を執行する権限も持っています。とはいえ、現在わが国では審議眼をもった審議官がおりませんので、一般の裁判所と区別されていません」
「シャーリーが戻ってきましたね。シャーリー、あなたの新しいご主人に、ご挨拶しなさい」
小さな袋を抱えて、シャーリーが戻って来た。
「シャーリーです。よろしくお願いします。ご主人さま」
こうして俺は、シャーリーのご主人さまとなった。
シャーリーの短く切り揃えられた髪はやや赤みを帯びた茶髪で、顔には少しそばかすがある。体はやや細身。手足は長めなのでこれから背も伸びるのだろう。衣服はすぐに小さくなるだろうから、気にかけてやらないといけない。
シャーリーを新たに加え、ハットン商会を後にした俺は、シャーリーが家で生活するため必要なものを買うため、家具屋やら、衣装屋やら、雑貨屋やらを回っていった。
「シャーリー、俺の名前はショウタだ。こっちが、アスカ。アスカは俺の仲間で、ここのところ俺の秘書? そんなもんだ」
「アスカさまよろしくお願いします」
「うーん。アスカにさまはないな、アスカを呼ぶときは、アスカさんにしろ」
「かしこまりました」
「シャーリー、その小袋には、何が入ってる? 重いようなら俺が持とうか?」
「下着類と、わずかばかりの私物が入っています。軽いものですので、ご主人さまに持っていただく必要はございませんし、重いものでもご主人さまに持っていただくことはできません」
言葉が、固いなー。まあ、奴隷だったらそんなもんか。
「シャーリー、左手の『奴隷紋』? 入れ墨みたいだけど、大丈夫だった?」
「いえ、これは入れ墨ではありません。魔法で焼き付けられたもので、痛みはありませんでした。もしも私が奴隷から解放されれば、先ほどのハットン商会で痕も残さず取っていただけるそうです」
「そうなんだ」
買い物しながら、買ったものを適当に収納してたら、シャーリーも驚いていた。慣れてくれ。




