表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真・巻き込まれ召喚。 収納士って最強じゃね!?  作者: 山口遊子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

200/238

第200話 アトレア王家2


 アトレア王の居館(きょかん)貴賓室(きひんしつ)で一夜明けた翌朝。


 運んでもらった朝食をアスカと食べ終え、お茶を飲みながら(くつろ)いでいたら、きのうのカニスさんがやって来て、


「陛下がお二人にぜひお礼したいと申しておりますのでおいでください」と告げられた。


 アスカと連れ立って先導するカニスさんの(あと)について昨日のアトレア王の病室に入ったとたん、寝間着(ねまき)の上にガウン羽織(はお)ったままのアトレア王に、


「目が覚めた後、事情を聞かされ、すぐにでも二人にお会いしてお礼したいと思っていたのですが、侍女たちに止められてこの部屋を出ることができず申し訳ない」


 といって、頭を下げられてしまった。


「いえ、こちらとしても、条件を出してのことでしたから、そのことはお気になさらずに」


「陛下、陛下もお二人も、そちらにお掛けになってお話をどうぞ」


 部屋の隅にはソファーと足の短いテーブルがあり、そのテーブルを挟んで三人で腰を掛けた。


「非常に微妙な話ですので、できれば、陛下お一人にお話したいのですが?」


「ハンナ、カニス、席を外してくれるか。心配はいらない。なにせ、エリクシールの大錬金術師さまたちだからな」


 部屋にいた女性二人が頭を下げて部屋を後にしたところで、


「あらためて、私はアデレート王国で子爵を(たまわ)っております、コダマと申します」


「同じく、子爵を賜っております、エンダーです」


「陛下、実は、5年前陛下の長女殿下が行方不明になられたとか?」


 (うなず)くアトレア王。


「その、長女殿下の特徴ですが、左の背中、肩甲骨(けんこうこつ)の真ん中あたりに、3センチほどの(もん)が刻まれていませんでしたか? その紋はアトレア王家の紋と同じ丸の中の二本の百合の花」


「確かに娘の背中に王族であることを示す魔法紋(まほうもん)を刻んでいました。どうしてお二方はそれを? まさか?」


「はい。いま、アデレード王国の王都セントラルにあるわたしたちの屋敷で長女殿下を保護しています」


「なんと! それは、まことですか?」


 うなずく俺。


「よかった。ほんとーに、よかった。わたしが死の間際(まぎわ)から助かったのみならず、娘まで……」


 後ろの方の言葉は涙声だった。


「……それで、娘は?」


「はい、元気にしています。いまはこのアスカが勉強を見ています」


「そうですか。ありがとうございます」


「長女殿下は、いえ、殿下はいま名前をラッティーと名乗っています。われわれが保護する前はそれなりに苦労していたようです」


「そうでしたか。ラッティーですか。女性の名とは思えないような名前ですが、わたしが探し出してやることができなかったばかりに苦労をかけたんですね」


「それは今となっては致し方(いたしかた)ありません。いまのラッティーは、いたって明るく(ほが)らかな良い子です。それで、いったんラッティー、いえ、殿下のことはおいておいて、陛下のご病気はどうも、毒物によるものではないかとわれわれは思っています」


「毒物? 毒物ですか?」


「エリクシールをお飲みになった現在では陛下の体に薬物の痕跡はないのですが、昨日陛下にエリクシールを服用していただいた際、陛下の口元に確かに毒物の痕跡がありました。心当たりはございませんか?」


「心当たりとは、私に毒を盛る人物ということですか?」


「はい」


「お恥ずかしい話ですが、思い当たるのは、私の弟だけです。ご存じかもしれませんが、娘が失踪(しっそう)する前後で弟と王位を争っていまして、いま弟は、母のもとで蟄居(ちっきょ)しています。蟄居中ですから、この館に入ることはできませんし、街の中を自由に移動もできません」


「分かりました。それでは、陛下のお母さまはどうでしょう? 陛下のお母さまから何か飲食物をいただいてはいませんか?」


「まさか、母がわたしに? 弟を溺愛(できあい)していた母のこと。可能性がないわけではないか」


 アトレア王の深いため息が聞こえたが、ここは、聞かなかったことにするしかないな。


「母は数日に一度、この部屋にやって来て、滋養(じよう)に良いというせんじ薬を持って来てくれていました。私は2週間ほど前に意識をなくしたようなのですが、意識のなくなる少し前にもその薬を飲んだことを覚えています。私が意識をなくした後のことは分かりませんが、ハンナかその他の者に母が言いつけて吸い口か何かで私に飲ませた可能性は有ります」


「今のところ、そのせんじ薬が毒物であったかは確証は有りません。昨日、お世話の女性のかたにうかがったのですが、今日の午前中にも陛下のお母さまがいらっしゃるとか。できれば、物陰(ものかげ)からでも構いませんから、陛下のお母さまを拝見させていただけないでしょうか?」


「それくらいはかまいません。では、ベッドの脇に衝立ついたてでも用意させましょう」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ