第22夜.噛み合わない攻防戦
「僕というものがありながら・・・、なんなんだ?華音、お前は俺の女だろう。」
聞きなれてきた声とともに降ってきたのは、セクシーな香りと、俺様な言葉だった。
他の人が言ったらきっとかなりの浮いてる感がある言い様なのに、朔夜さんが言うと全く違和感がない。
むしろ、ハマり過ぎててそこら中の人がハートを打ち抜かれているだろう。
もちろん私もその一人だから、他人なんて構っていられる状態じゃないんだけど。
朔夜さんの香りに包まれていたら、さっきまでの焦りや不安は嘘みたいに消えて、それよりなにより、朔夜さんに会えた安心感と嬉さのあまり、思わず抱かれた胸に擦り寄っていた。
それに満足したのだろうか、フッと笑ってさらにぎゅっと腕の中に引き入れてくれる。
「お、おいっ!誰なんだ、あんたは!よくも僕の銘崎さんを・・・っ 早く離れろっ!」
二人っきりの世界に浸っていると、すっかり忘れていた田中君が目の前で喚いている。
形振り構わず怒鳴り散らす田中君に再度恐怖を覚えて朔夜さんの上着の袖をきゅっと握ると、安心させるように私の背に回していた手でさすってくれた。
自然と互いに見つめあい、再び二人だけの世界に浸ろうとしていると、「いい加減に・・・っ」という田中君の声に邪魔をされてしまう。
今度こそは無視できないと観念したのか、朔夜さんはわざとらしくため息を吐くと、気だるげに口を開いた。
「では尋ねるが、あなたは一体華音の何なんだ?」
田中君は朔夜さんが反応したことに一瞬虚をつかれたようだったけれど、次の瞬間には気を取り直し、勝ち誇ったようにこう言った。
「僕は、銘崎さんの、恋人だ。」
これを聞くとすぐさま朔夜さんは、そうなのか、と確認するように視線を合わせてきたが、もちろんそんな事実は全く覚えがないので、ふるふると首を横に振って答える。
「私、田中君とお付き合いしたことないわ。」
朔夜さん信じて、という想いが顔にでていたのだろう。
ふっと目を細めた朔夜さんはそのまま額に口づけをくれた。
「そんな・・・っ!銘崎さんまで僕を裏切るのかい!?」
そんなこと言われたって。
どれだけ考えてみても、私には田中君と付き合っている覚えはないし、これまで付き合っていたこともない。
朔夜さんもいい加減うんざりしたように眉をひそめている。
そんな私たちに構うことなく、田中君はつらつらと悲壮な面持ちで語り始めた。
「銘崎さん・・・・・・、僕たち付き合っているじゃないか。始まりは忘れもしない、そう、あの時・・・・・・」
久々にドルチェ更新しましたー。
いやはや、お待たせいたしました。
前回の更新記録を見ると、九月・・・。
受験とはいえ、読者の皆様をお待たせしているのだから、もうすこしなんとかならなかったのか、自分・・・。
と、過去の自分に反省して、今回はちょっと長め。
最近、私立の受験がおわり、ちょっとだけひと段落。
あと二週間後に国公立前期を控えておりますが。
なのに、このタイミングで更新。勉強しろ。
四月までには更新が本格的に再開できると思いますので、それまでののろのろ更新はご理解くださいませ。