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第41話:乙女に神風の舞い降りて04


「ガルル……!」


 アリアが僕の腕に抱きついて牽制した。


「お兄ちゃんはアリアの!」


「……それは駄目!」


「ちんちくりんは黙ってなさい」


 かしまし娘は互いに視線で丁々発止。


 世はまさに乱れに乱れた乱世……つまり戦国時代。


 股間の剣でどこまで立ち向かえるだろう?


 そんな気は毛頭ないけどね。


「ところで」


 なので話題を変える。このままだと僕の悪癖たる状況に流されてしまうことを憂慮せざるを得ない。


「フォースの魔術指導の件なんだけど……」


 黒色の瞳をミシェルにやる。ミシェルは肩をすくめた。


「多少なりとも魔素魔力変換効率は上がりましてよ?」


「そなの?」


 今度は黒色の瞳をフォースにやる。


「……うん。……まぁ。……そこそこに」


 ならいいんだけどさ……。


「元々変換効率の要領が悪かっただけでコツさえ覚えれば才能を開花させうるタイプですわね。なによりパワーお姉様の妹御ですもの。サラブレットの血に間違いはありませんし、伸び代の大きさは他に類を見ませんわ」


「……ミシェルには……感謝しています」


 ぽつぽつとフォース。


「何か使って見せてよ」


 特に他意なく僕は言った。


「……いいけど」


 フォースは湯面に手を添えて固定。


「ボイスボム」


 と呪文を唱えた。変化は激的。発生は唐突。フォースの手から波紋が発生した。バシャッと水面が跳ねる。音の重ね合わせによる衝撃。基準世界から持ち込んだ理屈だ。講義した甲斐があった。


「オリハルコンが緑色を示す通り、フォースは風の素質を持っていますわ」


「緑が風?」


「当然でしょう?」


 ……当然なんだ。


 僕の世界で僕はオリハルコンなんて見たことないからわかんにゃいにゃ。ていうかソレならオリハルコンが黒色を示す僕はいったい何の属性なのよ?


「もしかして色相による魔力の質の判別を知らないのですか?」


 そりゃまぁ……。


 んなもん基準世界では聞いたこともない。


 裏上泉文書にも載ってなかったし。


「十二色相環って知ってます?」


「あー……」


 中学の美術の時間に習ったようなそうでないような。


「それが何?」


「この世界を構成する四大元素に通ずる概念です」


 ……と言いますと?


「火の属性に親和性を持つ魔術師がオリハルコンに魔力を通せば赤みを帯びます。水の属性に親和性を持てば青色に。風の属性ならば緑色に。土の属性ならば黄色に。それぞれオリハルコンの色に表現されるのですわ」


 七十八へぇ。


「じゃあパワーがオリハルコンの色を紫に変えるということは……」


「はい。赤と青の中間。即ち火と水の複合属性を持つ証明ですわね」


 ミシェルのダイレクトストーカー……サラマンダーはミシェルの魔力によって赤色をしていた。つまりミシェルは火の属性と親和性が高いのだ。


 同じく燈の国の女王陛下たるオレンジ。あのちんちくりんはオリハルコンを深紅に彩らせていた。こちらも火の属性と親和性が高いのだろう。実際オレンジのダイレクトストーカー……レーヴァテインは凄まじい炎の魔術を連発してのけた。


 色によって属性が計れるというのは何なんでしょうぞ。水が青で、緑が風。


「ふむ……」


 浴室の天井を見る。そして疑問。


「じゃあ僕の黒色は?」


「系統外属性ですわね」


 にゃに?


「白色や黒色や灰色や金色や銀色……その他十二色相環に該当しない色をオリハルコンに映す魔術師は四大属性とは全く関連性の無いワンオフ魔術との親和性の高い証拠ですの」


 まぁ実際『剣』の魔術に特化した僕ならばそうだろう。


 それで黒色か。


 神風の漆黒バディを思い出す僕だった。


「ともあれ」


 ミシェルによる閑話休題。その指がフォースの生み出した風を示す。


「この程度の魔術ならワンワードで発現できるほどには成長しました」


 良かこと良かこと。


「…………」


 僕は苦笑して湯船に浸かるのだった。


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