桜の散る朝
主人公 田道 快 (たみち かい)
散歩好き 自分の中での理想が高すぎて青春というものを味わえていない
彗星の降る夜とありますが星関係の話が出てくるのは後半のあたりです。詳しくは活動報告をご覧ください
窓の外から小鳥がさえずっている。
下の階から漂う小麦の香ばしい香り、そう今日は4月5日、春の真っ只中。
そして今日、俺は中学3年になろうとしている。ついにこのときが来たのだ。
思春期と青春の間といういい感じの時期を期待してネクタイを締める。
ドアノブを固く握ってドアを開く。
外は桜が散り始めている。さあ今日からが俺の新しい学校生活だ。
…………なんて茶番は置いておいて俺はボテボテと歩き出す。理想の青春なんてない。
自分の理想が高いのは分かる。
だがしかしそれは一つの噂話を聞いたときからもっと絶望するべき状況に変わったのだ。
いくら幼稚園で幼馴染がいたとは言え小学校まで、ましてや受験した中学も同じとはさすがに気が引ける。
しかもうちの学校は家から電車で10分もかからない場所にあるのだ。
これほどの立地条件と真ん中より少し上の偏差値を考慮して受けたというのに……全く、なんでこんなことになるのだろうか。
そう思いながら改札を通る。
なぜだ。なぜ同じなのだ?乗る電車まで同じ?いくらなんでもそれは聞いていない。
「ねえ、話聞いてる?おーい、快?」
と俺の横でわめくのは、身長156センチ、体重※※キロの女子、川越千秋だ。
そう、面倒な幼馴染とはこいつだ。幼稚園、小学校、極めつけに中学とまでなぜ同じなんだ。
「んで、何の話だっけ?」
「だからさぁ快、地球の環境問題は変な思想を持ってる人が原因で拡大されてるわけじゃん?」
こいつ、小学校の頃はてんで社会がダメだったくせに道徳のことになるとやけに考えが深いな。
「ずいぶんと哲学的なことを言うなぁ、例えば?」「そうだね。地球温暖化は自分の資産が欲しい変なやつらが勝手に企んでるだけじゃん?いわゆる陰謀論なのさ!」
自慢げに腕を組んでいく千秋を横目に
「………お前の言っていることが陰謀論だろう」
すると千秋は眉にシワを寄せて
「えぇ?なんでぇ?」
電車から降りて改札を出る。
外にはうっとうしいくらいの桜が咲いている。
俺はおそらく期待をしすぎていたのだろう。
アニメで見たような友人や恋人ができると思っていた。
そして胸を揺るがされる展開などを仲間たちと一緒に切り開いていくのだ。
これは大きな過信であった。
「アニメみたいな展開があれば俺の青春も良くなと思うんだけどなぁ」
「…何急に言ってんの?キモいよ?」
「人の夢にあーだこーだ言うんじゃない」
そうして学校の門をくぐった。
調子に乗って書いた作品です。少しでも面白いと思ってくれると幸いです。




