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Simulated Reality : Breakers1【black版・完結】  作者: 高瀬 悠
【第一章 第三部(下)】 オリロアンの聖戦女(ヴァルキリー)【後編】
332/333

幸せの選択【18】

もうダメだ眠い眠すぎる……⊂⌒´⊃ -ω-)⊃

かと言って明日は明日でめんどくさいので今日投稿しました


 2026/05/10 18:29



 ──ん?


 意識を取り戻して、俺はゆっくりと目を開いていった。

 エレベーターが落ちていく時に、あの落下する浮遊感の中でどうやら俺は気絶してしまったようだ。


 ……。


 目を開いた時に最初に視界に飛び込んできた風景は、緑生い茂る短草と土臭さが残る大地の上だった。

 異世界とも思えるような、不思議な深い癒しの森の中、その大自然の大地に。

 俺は倒れた状態で出現したようだ。

 うつ伏せて顔だけ横になった視界の中で、なんだかどこかで見覚えのあるような懐かしさを感じる。


 あれ……? 俺、この場所どこかで見たことがある。


 目覚めた思考の中で、俺はその場からゆっくりと体を起こした。

 まるで夢の世界へ移動してきたかのように、神聖で深い癒しの森の中へと一変した風景に、俺は思わず感嘆の声をあげながらその場を立ち上がる。

 服装を見下ろしてみて、あの時おっちゃんと一緒に女装した修道女服の衣装を着こんでいる。


 ──と、いうことは。


 振り返ってみて。

 それが俺の中で確信へと変わった。

 開かれた小さな場所にぽつんと育つ、一本の樹木。

 その樹木の根本に置かれたあの時の花束。

 いったいどういう原理で、再びこの世界のこの場所へ戻って来られたのかは分からないが。


 ……。


 その樹木へと近付き、俺はそっと手を伸ばして樹木に触れる。

 自分の中で、ここがシミュレーションの世界ではないことを確認したかったからかもしれない。

 たしかにこの手に感じる木の感触。

 肌を優しく凪いで行く風を感じて、俺は樹木を見上げた。


 ……。


 ざわざわと、木々が擦れて葉を揺らし。

 木漏れ日の中でたしかに本物の、実感する大地の温もりを感じる。

 俺をここへと導くために、向こうの世界から助け出してくれたかのように。

 まるで "お帰り" と出迎えてくれて包み込んでくれているかのような、そんな優しくも温かな母の面影を感じるように。


 ……。


 静かに目を閉じて。

 俺はその樹木に、そっと額を軽く当てて呟く。


 ただいま。この世界の、俺の母さん……。


 あの時おっちゃんと一緒にここへ来た時とはまた違う心境。

 向こうの世界での試練を体験して、俺の中で何かが変わったような気がした。

 毎日繰り返される平凡で退屈な向こうの世界での日常。

 流されるままに、見たモノ聞いたモノをそのまま受け入れるだけで、本当に俺は何も行動してこなかった。


【K君って、何事に対してもどこか全部受け身ですよね。

 Jが言っていたように、どうして調べようとか確認しようとか思わないんですか?

 話を聞いている限り、過去に戻っているという感覚をそのまま受け入れている感じですよね】


【せや。いつまでも一人で電車に乗って同じ駅をぐるぐる回って悩むよりも、今ここでみんなに話して解決した方がええで。言うてみぃ】


 偽りの自分を曝け出すのが怖くて、誰にも何も相談できず。

 俺はこの世界で自分の正体を隠し続けてきた。


【君に期待した僕が馬鹿だったよ】


【いや、何を期待したのか知らないが戦力にならなくて……その】


【そういう意味じゃなく、君が本当のことを話してくれると期待した僕が馬鹿だったという意味さ】


 最強の力を持っているのに、その扱い方も知らず。

 大切な人たちが失われていく様を何も出来ずにそのまま受け入れていた。

 どうすればいいかをずっとおっちゃんに頼りっぱなしで、その指示すらも疑うことなくそのまま受け入れてしまっていた。


【だからか? 誰に何言われたのか知らんが、自分はゲームの駒で都合の良いように利用されている。そう思い込んで、緊張感なくこの世界で過ごし、他人事のように楽観し、騙され、拉致られ、事件に巻き込まれて、終いにはこの世界と契約、監禁暮らし、他人に責任転嫁して俺を恨みながらジ・エンド。それでお前の人生は満足か?】


【神だか黒騎士だか魔王だかクトゥルクだか何だか知らないが、こんな最強の力なんてこの世からなくなっちまえばいいんだ! 俺がドブでも川でもトイレでも火山にでもどこの底にでも放り捨ててやるよ! 本当にゴミクズな力だよ、クトゥルクなんて!

 こんなカスじみた力さえくれなきゃ、俺はおっちゃんに振り回されず、現実世界で悠々自適に生きていけたんだよ! こんな──こんなゴミみたいな世界なんて、俺に言わせればクソったれだ! ゴミ箱があればゴミ箱に叩き込んでやりたいくらいだ!】


【その理由が知りたい? でも知らない方がお兄ちゃんにとっては幸せなことなんだよ?】


【だからいったいなんなんだよ、この現象!】


 いざ一人になった時。

 俺はおっちゃん無しではどうしていいかも分からなくて、タイムリミットとなる9月13日が近付いてこようとも、どうすることもできなくて何かが起きても動揺してばっかで何の解決方法も分からなかった。

 だから俺はあの時、訳も分からず研究所の奴らに拉致されて監禁された。


【まだ現状を理解出来ていないみたいね。あなたの帰る家なんてどこにも無いの。

 ここがあなたの家。この部屋があなたの人生の全てなの。

 元々あなたはこの研究所で生まれ、この部屋の中で育ち、そして被験者Kとしてシミュレーション内の疑似生活の中で生かされ続けてきた──言わば、クローン人間ってところかしら。

 それがやがて自我を持ち始めて、研究中に何らかのクラッシュ事故により、あなたは忽然とこの部屋から姿を消して行方不明になっていた。

 これがあなたの真実。理解できるかしら?】


【そ。私は予言師巫女シヴィラ様に創られた形無き存在。

 それは同時にクトゥルクの力によって生かされているだけの存在でもあるの】


【だ・か・ら、お兄ちゃんの体を借りてクトゥルク様が動くしかなかったってことね】


 体を乗っ取られている間は俺の中に記憶はない。

 それはつまり、俺が俺で無くなる瞬間ってことなんだよな?


【ねぇK。あたし達、絆の仲間でしょ?

 絶対、あたし達のことを忘れたりしたらダメだからね。分かった?

 何か悩んだり困ったことがあれば、またこうやって集まって話して解決していけば、絶対あの未来は変えられるから】


【未来は……変えられる?】


【そうですよ、K君。私たちはこのミサンガの絆で結ばれた仲間です】


【気になることがあれば何でも相談してええんやで、K】


【あたし達を信じて、K】


【これはコードネームなんかじゃない。この世界での、お前の本当の名だ。

 その名こそが俺とチヅルとの間に生まれた子の証明であり、家族であることの絆だ。

 誰が認めなくてもいい。別の名で呼ばれてもいい。

 お前はあの部屋が無くなったことで()てられた気持ちになっているかもしれないが、お前と俺たちとの繋がりは部屋なんかじゃない、この名前だ。

 形には残せなかったのかもしれないが、この名がお前の心の中にある限り、お前は俺たちの大事な息子だ。

 これからも、永遠にずっとだ】


【……K。これが俺の本当の名前?】


 どこまでが真実で、どこまでが嘘か。

 誰が本当のことを言って、誰が嘘をついているのか。

 どちらの世界が本当で、どちらの世界が偽りのシミュレーションの世界なのか。

 それの確証すらも得られないままに、俺は結局この世界へ逃げてくることになった。

 でもそれで結果的に良かったのかもしれない。

 大事なのは誰を信じて誰を疑うべきとかじゃないんだ。

 どちらの世界が本当の世界だろうと、俺にとってはどちらの世界も本物だと信じ続けることが大切なんだ。

 そう。

 これまでの体験は、俺にとって足りなかった何かを気付かされたような感じがして、一回り成長できたように思う。

 守らなければいけない大切なモノ。

 みんなから守られているだけじゃダメなんだ。

 俺自身が行動して、そして誰かを守れるようにならなければいけないんだってことに。

 ふと、俺の背後から一人の足音が聞こえてくる。


「Bonjour.

 お久しぶりですね、少年。運命を受け入れる覚悟は出来ましたか?」


 ……。


 振り返れば。

 見覚えのある一人の英国風貴族紳士が俺へと歩み寄ってきていた。

 頭に被っていたシルクハットをちょいと掲げて持ち上げ、爽やかな紳士的笑みを向けてくる。


「今の君になら、あの時と同じ質問が出来そうだ。

 "君はシヴィラの予言をどう思うかね?"」


 ……。


 俺は、彼──ミランの言葉に口を閉ざしていた。

 返事の代わりに鋭く睨み据える。

 ミランが面白がるように微笑し、両腕を大きく広げる。


「君が9月13日に死ぬのは偶然ではなく必然。それが予言師巫女シヴィラから予め定められた運命論。

 しかしシヴィラ自身もまた、その目で見たあの世界の出来事をそのまま君に伝えただけに過ぎない。

 それでは彼女の口から出る予言とは、道化の戯言か? 真実を知る者からの警告か? 巫女としての託宣か? あるいは未来を見透す女からの宣告? それとも──女の嫉妬と僻みからくるただの(でたらめ)か?

 さぁ答えてもらおうか、少年。向こうの世界での出来事を体験し、運命の9月13日から脱出できた君なら、この問いかけに答えられるはずだ」


 ……。


 全てのことを思い返して、俺は表情を変えることなくミランに問いかける。

 

 俺が向こうの世界で体験してきたことは、全て偽りでありシミュレーションの世界だって言いたいのか?


 クスリ、と口元を綻ばせ。

 ミランが笑う。


「君が迷えば、君の中のクトゥルクの力も共に迷う。そんな疑いのままに力を使い続けて、シヴィラに対抗できると思っていますか?

 彼女の予言は的確的中。狂わせることはとても難しいだろう。誰もが彼女の手の上で踊るしかない。

 だからこそ自分を信じるしかないのですよ、少年」


 ……。


 俺の中で蓮花の言葉が蘇る。


【それは違うよ、お兄ちゃん。もし制御せずにみんなバラバラの意志で個々として生きる世界になってしまったら、この世界は本物になって私は必要なくなる。

 そうなってしまったら、この世界はクトゥルクの力無しでは余計に維持できなくなってしまうんだよ。

 維持できるのはどちらか一つの世界だけ。

 お兄ちゃんはその世界に肉体ごと留まらなければならないの。

 クトゥルクの力を失った世界はやがて滅びを迎える。いつかは消えてなくなるしかない運命なの。

 予言師巫女シヴィラ様はその未来を予見してクトゥルク様に伝えたんだけど、クトゥルク様は耳も貸さず相手にしなかった。

 まるで全部このことを知っていたかのように……。

 お兄ちゃんは結局どちらの世界を選び、留まるつもりでいるの?】


 ミランが両腕を下ろし、大地に手持ちのステッキを突くと、それを支えにしながらシルクハットを目深に被る。

 その口元に意味深な笑みを浮かべながら、


「クトゥルク様がシヴィラの話に耳を貸さなかったのは、未来を知っていたのではなく自身で導き出した答えを信じていたからこそです。

 しかし、最強の力を持つが故にその慢心は、他人の言葉は全て過ちだと否定し、己の心に独裁者を生む。

 私の言葉すらも耳を貸さなくなってしまった時のように……」


 ……。


 シルクハットから手を離し、ミランがステッキを後ろに姿勢を正す。

 そして言葉を続ける。


「君にも同じ運命を辿ってほしくない。──私はそう信じています。

 そしてブラック・シープにも同じことが言えます」


 ……おっちゃんにも?


 俺は首を傾げる。

 

「えぇ。君は気付きませんでしたか? 彼が何かの迷信に囚われて君に言っていたことを」


 迷信?


「そうです。ブラック・シープは君にこう言っていましたよね?

 "向こうの世界なら、お前がクトゥルクの力にもルシファーとしての運命にも翻弄されることなく、幸せに暮らしてくれるはずだと信じているからな"と」


【こんなことを口にしたくはなかったが、お前にはクトゥルクの力がある。

 あまり長居されると正直気が気でならない。

 俺のちょっとした気の緩みで、お前が誰かに誘拐され、そのまま失ってしまうのが怖いんだ。

 さらにこの世界に居続けることで、お前の中のルシファーとしての人格が覚醒してしまうんじゃないかって不安もある。

 そうなれば、お前を今よりももっとずっと苦しめてしまうことになるんじゃないかってな。

 だからお前を向こうの世界へ戻すことは、お前の為でもあり、お前に過酷な運命を強いてしまった親としての責務だと思っている。

 向こうの世界なら、お前がクトゥルクの力にもルシファーとしての運命にも翻弄されることなく、幸せに暮らしてくれるはずだと信じているからな】


 思い出して。

 俺は眉間にシワを寄せて顔を顰め、首を傾げるとミランに問い返した。


 だから何も知らないままの方が俺にとっては幸せだってことなんだろ?


 クスリと笑ってミランは首を横に振り、否定してくる。


「大事なことはそこではありませんよ、少年。

 彼が考える幸せの理論が、君の本心を無視して向こうの世界へ戻すことが幸せであると結論付けてしまったこと。

 本当の幸せというのは、君自身がその幸せだと思う場所を決め、その意見を尊重することなのです」


 俺の、本当の幸せ……?


 その問いかけに、ミランが何かを思い出して微笑してくる。


「君がこの世界を去った後、私は彼の覚悟を確認するため、こう告げました。

 "彼がこの世界へ二度と戻れなくなるというのは、あなた自身の手で我が子を葬るのと同じことだ" と。

 共にこの世界に居たいと君が願ったのにも関わらず、彼は幸せの迷信に囚われ、君を向こうの世界へと送り出した。

 君がこの世界での真実を知った上で向こうの世界へ行くことが、果たして幸せなことなのでしょうかと、私はそう思いますけどね。

 それを知った時の彼のあの焦りようから出た行動は、今までの彼らしくない無鉄砲で隙だらけな行動でしたよ。

 ずっとクトゥルク様とともに隠し続けていた偽造キーコードを、こうも簡単に犠牲にしたのですから」


 ……。


【えぇ。本来なら開発者以外は知らないはずのキーコードをなぜかアイツは知っていたの。それを使ってこの世界に侵入してきていたことを、私は今まで気付けなかった。サイレントのかかったキーコードなんて本当に有り得ないわ。それなのに……。

 今回はアイツも相当焦ったんでしょうね。そのキーコードを犠牲にしてまでお兄ちゃんのことを助けようとしていたんだから】


【じゃぁ俺にどうしろって言うんだ!

 向こうの世界で俺はもう死んだんだ!

 帰ったって俺に居場所なんてもうどこにも無いんだよ!

 なんでそんなことも分かってくれないんだ?

 この世界で唯一の家族からも拒絶されてしまったら、俺はどこへ帰ればいい?

 どこが俺の本当の居場所なんだよ!

 俺なんて──

 俺なんて最初から生まれてこなければ良かったんだ!】


 ミランが言葉を続けてくる。


「彼は君に、もう一度この世界へ戻ってきてほしいと願っています」


 ……。


 その言葉を聞いて、俺の目から一筋の涙が零れ落ちる。


「しかしそれは必ずしも君にとって幸せな世界になるとは限りません。

 もしかしたら向こうの世界が良かったと後悔する日が来るかもしれない。

 この世界へ戻るということは、あなたは一生、クトゥルクの力とともに茨の道を突き進み続けることになるということです。

 この先の未来で、君を待つのは孤独なのかもしれません。

 それでも君は、この世界へ戻りたいと願いますか? ──孤独と戦いだけが全ての、この世界に」


 ……。


 俺は袖口で目元の涙を拭うと、気分を変えてミランへと向き直り、微笑する。


 そんなの分かりきった答えだろ?

 当然じゃん。俺は戻るよ、この世界に。

 だけど向こうの世界へも俺は戻る。

 俺さ、やっぱり生きたいよ……。

 もっともっと、大人になるまでずっと生きていたい。

 たとえどんなに悲惨な運命が待ち受けていようとも、俺はこの運命に抗ってみせる。


 そう告げて。

 首元にかけていた筒型のペンダントを外して片手に持った。

 ミランへ向けてそれを掲げて見せる。


 この中には俺の大切なモノが詰まっている。

 どちらかを選べなんて、そんな残酷な結末を俺は選べない。

 だから両方守るんだ。

 言葉だけじゃなくて、もっとちゃんと、俺自身がみんなを守れるように強く──もっと強くなりたい!


 ミランが微笑してくる。

 あの深海の底のダンジョンで俺たちを襲ってきた時のように。

 挑発的にシルクハットの目深に被って顔を隠し、落ち着いた声音で答えてくる。


「良き志ですね、少年。あの時とは違う目をしている。

 弱気な心根ではクトゥルクの力に自我を奪われますが、そのくらいの勢いがあれば、この先もあなたの中の白き光が消えることはないでしょう」


 そう言って。

 ミランが俺に片手を掲げて差し出してくる。

 その手に握られた俺の腕時計。


 あ、それ──


「今の君に使えるクトゥルクの魔法は二つだけです。

 一つは、この『逆周回時計(タイム・ラグ)』。

 そしてもう一つは、向こうの世界で覚えた『ダズリング・フラッシュ』。

 その扱いには充分に気を付けてください。君にとっては何気ない魔法でも、周囲にとっては危険且つ迷惑な魔法ですから」


 言葉とともにフッと。

 腕時計がミランの手から離れて宙を移動し、俺のところへとやってくる。

 ペンダントを首にかけ直して、俺はその腕時計を両手で掴み、受け取った。


 ……なぁ、ミラン。


 俺は今までずっと疑問になっていたことを訊ねる。


 教えてくれ。お前は俺の敵なのか、それとも味方なのか?

 ダンジョンでは俺たちを襲ってきたのに、なんで急に俺たちを助けようとしてくるんだ?


 その問いかけに、ミランが微笑する。

 何かを否定するように人差し指を振りながら、


「敵、味方で私を判断するのは危険ですよ。

 私は私の目的の為だけに従い、そしてクトゥルク様に関することだけに動いているだけです。

 今回の件はブラック・シープから偽装キーコードを奪い破壊すること。──それが私の目的でした。

 そして君は君で、向こうの世界で大切なモノをその手に掴み、その口から結論を述べただけ。

 得られしモノがあるからこそ、私は君の前にいつだってその姿を現しますよ、少年。

 この先をどうするかは君が考えて、そして好きな道を選んでください。

 クトゥルクの魔法は、きっとあなたの望みに応えてくれるはずです」


 ……。


 クルリと俺から背を向けて。

 ミランはどこかへ立ち去っていく。

 霧のように、その姿を掻き消しながら、


「Adios, 少年。またどこかでお会いましょう」


 ……。


 ミランが居なくなり、俺は森の中で一人、樹木を背に佇む。

 ここは一度来たことがある場所。

 戻る方法さえも、おっちゃんのやり方を見ていたから分かっている。


 ……。


 何かを思い出したかのように、俺はもう一度、筒型のペンダントを首元から外して手に取った。

 筒を開けて中身を取り出す。

 一つは、向こうの世界へと戻れるリ・ザーネの魔法陣が描かれた紙きれ。

 そしてもう一つは、赤子の俺とその両親が写った家族写真。

 二つのアイテムをそれぞれ左右の手に比べるようにして持ち上げて目前に掲げ。

 俺は次なる選択の道を選んだ。


***********************


 → 向こうの世界へと戻れるリ・ザーネの魔法陣が描かれた紙きれを選択した場合は下記タイトルの作品名へ移動してください。

   (今後作品シリーズにて新しく公開予定です。お待ちください)

   ▶ 『Simulated Reality : Breakers2 【現実世界・日常編】』


***********************


 → 赤子の俺とその両親が写った家族写真──おっちゃんの居るこちらの世界へと移動するを選択した場合は下記タイトルの作品名へ移動してください。

   (今後作品シリーズにて新しく公開予定です。お待ちください)

   ▶ 『Simulated Reality : Breakers2 【Dark版・覚醒編】』


 2026/05/10 23:23


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