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099 今日は帰るに帰れない

アクセスありがとうございます。

 女子たちを部屋へ戻した。ただ、夜中に起きた時にお腹が空いている可能性もある。


「すみません。軽食って、今からお願いできますか?」


 グランピング場のスタッフに相談するが、さすがに時間も時間だ。食事を用意してもらう余裕はなかった。


「食材だけなら、お渡しできますが……」


「それでお願いします。俺が作ります」


 食パンをもらい、卵サンドとハムレタスサンドを作り、それを保冷庫に入れて、扉に張り紙をしておく。


『お腹が空いたら食べてください』


 これで大丈夫だろう。



「健司、女子たちに悪いが、明日そのまま被害届を出した方がいいかな?」


「女子たちも被害届を出すなら、一度は警察署へ行く必要があるからな。被害届を拒否しない限り、連れて行った方が女子たちの負担は少ないだろう」


「そうか」


「女子たちの方は、2度聞く内容もほとんどないだろうし、詳しく話すのは俺と翼だけだと思う。隼人も撮影していたけど、大したことは聞かれないだろうな」


「それなら、全員が揃っている方がいいか。一応、明日起きてから聞いてみよう」


 明日の予定を軽く立ててから、俺たちはのんびり過ごすことになった。しばらくして、寝ようと思った……のだが、アドレナリンのせいか、目が冴えていた。


「そういえば、お前、刺されたところ大丈夫か?」


 俺が健司の腕を見る。応急処置はしてもらっているが、ナイフが刺さったことに変わりはない。


「刃の入り方もよかったし、強い痛みはないから、縫う必要もないんじゃないかな? 応急処置もしてもらったけど、病院に行って診断書を作ってもらわないとな」


「そっか。怪我の診断もしてもらわないとな」


「翼もだぞ」


「俺は腕を少し切っただけだから、大丈夫だと思うけどな」


「それでも診てもらった方がいいだろ、それに被害届を出すし、裁判になるだろうから、診断書を書いてもらった方がいい」


「そうだな」


 そこで、ふと思う。


「女子たちも、一応医者に診てもらった方がいいんだよな?」


「多分だけど、診てもらった方がいいだろうな」


 健司は少し考えてから続けた。


「そこらへんは、紹介してもらう予定のグランピング場の親会社の顧問弁護士に話を聞いてもいいかもな」


「ああ……」


 この施設のトップが直接来たわけではない。でも、従業員から連絡がいき、親会社まで話が伝わったことで、弁護士に相談できるルートができた。


 今回の件は、俺たちだけの問題じゃない。施設内で起きたことでもあるから、色々と相談に乗ってもらえることになっている。


「そうだ。親に連絡しておくかな」


 そう考えていたところで、部屋の扉が開いて、女性の1人が起きてきた。


「3人とも、ありがとね。少し眠ったら、ちょっとだけ余裕ができたかな」


 ぎこちない笑顔だ。それでも、警察が来ていた時よりは、明らかに顔色がいい。


「無理して起きなくてもよかったのに」


「なんか目が覚めちゃって。何か話してたの?」


「明日のこととか、病院のこととかかな」


「えっ!? 怪我したの? あれだけ殴られたんだから、怪我をしていてもおかしくないよね……2人とも平気そうだったから、大丈夫だと思ってた……」


「あ~、俺たちの怪我自体は、大したことないぞ」


 そう言ってから、健司は少し考える。


「問題は、女子たちの精神的な負担の方だよ。トラウマになっても、おかしくないからな。しっかりと医者に診てもらった方がいいって話してたんだ」


「そうなんだ……」


「あと、今から家に電話しておこうと思ってたところ」


「あっ……私も連絡した方がいいよね」


「余計な心配をさせるだけかもしれないけど……連絡するか?」


 女性は少し悩んでいる。俺は、その間に父親へ連絡して、今回の件について話した。


『明日、迎えに行くから待っていろ』


 と言われた。


 女性も結局、家に電話することにした。


『迎えに来たいけど、車をこの娘に貸したから、車がない』


 と言われたらしい。そこで、俺は父親にもう一度連絡する。父親から、その女性の家族に連絡を入れてもらうことになった。これで、明日は一緒に来るだろう。


「レンタカーは、どうするか?」


 俺が聞くと、健司が答える。


「それは、俺が乗ってくからいいわ。怪我っていっても大したことないし、一番、精神的負担が少ないだろうからな」


 こいつは、ダンジョンで筋トレ代わりに戦っているくらいの筋肉だ。体力面でも精神面でも、俺たちの中では一番余裕があるように見える。


「とりあえず、寝れなくても、そろそろ休もうか」


「そうだ。張り紙、見てくれた?」


 女性に声をかける。


「保冷庫の中にサンドイッチを入れてあるから、お腹が空いたら食べていいからね。他の女子にも伝えておいて」


「うん。起きてたら伝えるね」


 それもそうか、今寝ているのなら、わざわざ起こして伝える必要はない。


「じゃあ、おやすみ」


「おやすみ」


 女性が部屋へ戻っていく。俺たちも、ようやく横になる……今日はいろいろありすぎた。


 楽しいはずだったキャンプが、とんでもない1日になってしまった。


 それでも、全員が無事だった。怪我も、今のところは大きなものではない。明日は警察署へ行って、病院にも行く。


 そして、その後は……もう一度、みんなで話をする必要があるかな?


 そんなことを考えながら目を閉じた……今度こそ、眠れるといいんだけどな。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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