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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第七章 結実
305/308

293.「微睡む騎竜の進化日記」

『そう言えばそうだった。サギリのせいで大事な用事を忘れるところだったよ』


 俺の言葉に、ようやく真面目な顔になるリーフェ。

 まぁ、大方の予想はついているんだがな。


『あの本、一体何なんだよ』『ようやく身を固める気になったのか?』


 ――ん? 話がかみ合わないな。

 サギリの方を見る。

 一緒に来たということは――そういう事だと思ったんだが。


『私もリーフェと同意見ね。あれじゃあまるで、私が乱暴者みたいに思われるじゃない』


 一瞬だけ考えて――二竜(ふたり)が何のことを言っているのか、思い当たる。


『もしかして、10年前の大魔討伐を題材に書いた()()か?』


『そうだよ。その()()だよ! 多少の脚色ならともかく、事実とかけ離れたことを書いちゃだめでしょ。何だよ「ツノうさおばさん」とか「魔竜」とか僕がモテないとかって』


 それは――と反論しようとして、思いとどまる。

 代わりに俺は、大きく頷いた。


『まぁ物語として構築するんだから、そのぐらいは脚色の内だろ。脚色の。それにだな――』


 サギリに顔を向ける。


『俺はリーフェから聞いていた内容を基に書いたんだからな。乱暴者に見えるってんなら、俺じゃなくてこいつ(リーフェ)に言えよ』


 ――本当は。

 当時リーフェが寄こしていた手紙は事実の羅列でしかなく。

 内心考えていた事なんかは、俺の想像(脚色)でしかないがな。


『ちょっとどう言うことよ』『事実そのものじゃないか』


 狙い通り、小突き合いを始めた二竜を観察する。

 本当に――こういう息ぴったりなところなんだがな。

 深く溜息を吐く。


『喧嘩するんなら外でやってくれよ』


『あんたが元凶でしょ!』『何言ってんだよ!』


 ――本当にな。

 この分じゃあ、続きを書いているとか――口が裂けても言えないな。



 部屋中に響き続ける罵声に――俺は天井を見上げた。




 ――――――


 一般には。

 その物語は、数ある大魔討伐録の中でも「異聞」として認知されていた。

 大魔討伐に騎竜が同行していたという当時の記録はあるものの、この物語においては、肝心の討伐部分の記述に「魔竜」という()()()()()()()が記されていた為だ。


 故に――歴史家がこの物語を顧みることは無かった。


 その物語の続きとされる、とある原稿が発見されるまでは。

 その原稿「微睡む騎竜の進化日記」が四天の一――『絶対記憶』を有したとされる「賢者」により記されたものと判明するまでは。


これにて本物語は完結です。

(設定等を記したAppendixは後日追加する予定ですが、本編は完結です)


ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。

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