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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第二章 おつかい騎竜
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21.残光

「じゃあまたあそぼーね。キュロちゃん!」

「次こそは特訓だよ。リーフェ――って、大丈夫?」


『う、うん。だ、大丈夫だよユニィ』


 ちょっとだけ。ちょっとだけはしゃぎすぎたかな?

 やっぱりあの時の連続三角飛び? ――いや、激しく動いたこともそうなんだけど、本当にきつかったのはソニアを乗せたことかな。まっすぐ走っただけだけど、落とさないように支えながらの動きにはやっぱり無理があったみたい。

 僕もユニィも「無理だから」って初めは断っていたんだけど――あの上目遣いの目線での「お願い」は反則だと思うんだよね。もしかしてソニアのスキルかな?


『そうだ。そういえば――』


 僕は()()()の言葉で思い出した。サギリとマーロウとの約束を。


『今度スキル検証するから、僕たちの村においでよ』


 ユニィも僕のスキルを使えるようだし、一緒に検証した方がはかどるからね!



 ――――――


「――はぁっ!」


 一振りでゴブリンを薙ぎ払う。その剣は淡い光を纏っている。


『破邪』――これが僕が持つユニークスキル。伝説の勇者が持っていたスキルであり、持っているだけで『勇者の卵』として持てはやされるスキルだ。

 とはいえ、酒場での話題(酒の肴)となるだけのスキルではない。敵を薙ぎ払う時にも、今日あの騎竜に使ったように回復にも使える。汎用性の高いスキルなのだ。


「それにしても――数が多いですね」


 この調子だと、本当に200匹はいそうな雰囲気である。

 ()()ブロスさんの言うことなので、話半分に聞いていたが、この状況ならあと1か月ももたず近くの村は呑み込まれていただろう。

 例えゴブリンの様に弱い魔物といえど、数というのはそれだけの脅威となるのだ。


「今度一杯おごってくださいね――ブロスさん」


 ――人助けのためにこの村に来たとはいえ、少し働かされすぎですから。


 そして再び。

 残光が円弧を描く。


 ――――――


 微睡みの中。僕はいつものように進化樹を眺めていた。


『『勇者』かぁ――』


 ――実は、僕達脚竜族にも『勇者』と呼ばれるクラスがある。それが4回進化の『ブレイブラプトル』だ。


 ただ――『ブレイブラプトル』の場合は、スキルで周囲の士気を高めたりとか、どちらかというと勇猛なイメージだ。

 今日スキルを使ってもらって分かったけど、勇者のお兄さんとは全く違う――と思う。

 何というか、お兄さんのスキルはこうキラキラしてて――そう。キラキラしてて、澄んだ水のようにキレイなのだ。


 どちらかというと――僕は視線を走らせる。

『ホワイトラプトル』からの進化先の一つ。3回進化の『ホーリーラプトル』。

 こっちの方がイメージにぴったりだ。うんうん。


 ――ふわぁ。


 何だかイメージが一致したら眠くなってきちゃったよ。おやすみー。



 ――でも。

 なんで僕はあの勇者のお兄さんのことが――気になって――いるん――だろ――

 僕の疑問は微睡みの中に溶けていく。


 2章第2エピソードはここまでです。

 2章はあと3エピソードの予定。

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