第08話 修羅場?きます。
人間関係で修羅場というものがある。その修羅場は特に男女の恋愛事に起こるようだが自分には起こることはないだろうと思っていたのだが・・・・・
(や、やっべぇ~)
学校に向かうバスの中に昨日告白してきた若松さんが居り、俺の隣には幼馴染みの霞が居る。
ここで問題です。昨日告白した男の隣に知らない女が居たらどうなる?
答えは・・・・・すいません、正直女性経験ゼロの俺にもわかりません。
でも、経験ゼロの俺にもわかることはある。隣に霞が居る状態を若松さんに見られたら間違いなく面倒なことになる。
その時俺の脳内で例えられた事態が再生された。
一、隣に知らない女(霞)が居るところを若松さんに見られる。
二、「その女は誰ですか!」
「告白した女の前でイチャイチャするなんて最低えす!!」
と、よくある恋愛漫画のような展開になる。
三、その現場に居た他の生徒が噂を広め始める。
四、女誑しの最低糞野郎の称号を授かる。
五、引きこもりになる最悪自さーーー
「死んでたまるか!!!」
「うわぁっ!」
急に叫んだせいで霞を驚かせてしまった。やばい、今の声で気付かれたかもしれない。俺はバックで頭を隠し出来るだけバレないように深く屈みこんだ。
「いきなり叫ぶからビックリしたじゃん!」
「すんません。」
「どうしたの?」
「・・・霞、お前に頼みがある。お前が頼みを聞いてくれなければ俺の今後の生死に大きく影響する。」
「・・・マジか。」
霞が真剣な表情で聞いてくる。
「・・・マジだ。」
俺も真剣な表情で答える。
「して、用件は?」
「今すぐ別の席に行け。」
「・・・超今更だな。」
確かに今更なのはわかってるわ。
「てか後五分で中高だろ、我慢しろ。」
(我慢できんから言ってんだよ。)
こいつその五分が俺の生死に関わっているのがわからんのか!
無い知恵をフルに使いこいつをどうにか退かそうと試みる。
「俺の一押しの漫画貸すから。」
「中二系ハーレムモノには興味ない。」
「家の猫あげるから。」
「アンタん所の猫ちゃん最近家に入り浸ってるから。」
おい、お前何人ん家にお邪魔してんだよ。そんなに家の猫まんまが不味いか。
「俺のプリンあげるから。」
「プリン一個で生死決まるのかよ安いな。・・・所でさ」
「安いとか言うなよ・・・・・なら奴の寝顔写真やるから。」
「もう着いたよ中高。」
・・・・・え?
窓を見るとバスは学校の前に停まっていた。そして若松さんはもう外に居た。
「で、アンタの生死は決まったの?」
「・・・・・うん、俺生きてて良いみたい。」
「アンタの生存ルート呆気なく決まったな。」
「呆気ないとか言うな!!」
俺だって思ってたけど思わないようにしてたのに!!
こうして俺の生死をわける修羅場?は呆気なく終わった。本当に呆気なかったな。