第11話 GW三日目、試合前です。
大変お待たせしました。
「気を付け、礼!」
「 「よろしくお願いします!!!」 」
いつものようにグラウンドに挨拶をし、ゴールデンウィーク三日目の練習が始まった。少人数で出来る練習が思い付かず、結局二日間同じメニューをしてしまった。
しかし、今日の練習は違う。
「今日は試合するんだから、しっかりアップしろよ。俺ちょっと陸上部に挨拶行っから、織田後は頼んだぞ!」
「ハイ!」
俺は織田に後の事を任せ、陸上部の所へ向かった。
今日の試合は中高の一種の行事の様なもので部員が少なく更に中々試合が出来ない部活は、この様に他の部に頼んで練習試合をするのだ。
今日の試合はこっちは陸上部から六人借り九対九で行い、フィールドは通常の三分の二の大きさ、ボールが外に出た場合サッカー部スローインで陸上部はキックインでの再開(なお直接ゴールは無し)、試合時間は前後半二十五分、そして、もし女子が点を決めた場合、三点獲得出来るというバラエティー企画の様なルールがあるのだ。
「まぁ、女子が点獲る事は中々ないからあんまり考えなくてもいいけど、問題は誰をこっちに入れるかだよな~」
二年生は無しにして一年の、そして出来ればそこまでうまく無い人がこちらとしては練習のしがいがあるのだけど、さてどうしよう。
等と考えていると後ろからーーー
「先輩、おはようございます。」
と最近(まだ復帰して二日だけど)聞き慣れた声が聞こえた。皆さんおわかりだろう、勿論声の主はあの娘だ。
「おはよ、若松さん。」
挨拶を済ませると若松さんは俺の隣に並び、松葉杖を使って歩く俺の歩幅を合わせ歩き出した。
「藤原さんに用ですか?」
「うん、今日の試合でそっちから誰を貰おうかと部長代理こと藤原さんと取引をね。」
「なら慎重に取引しなきゃですね。」
「うん、って言っても二年生をこっちに入れる気はないから一年生を貰うつもりだけどね。」
「なるほど・・・・」
若松さんは何かを考える様に俯いた。
まさか、「私をチームに入れて下さい。」とは言わないだろうな。
けれど若松さんが放った言葉は俺の考えとは逆だった。
「・・・・・でしたら、私は敵チームの方が良いかもしれませんね。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「あ、あの、どうかしましたか?」
「あ、いや、こう言う時「私をチームに入れて下さい。」って言うと思ってたから。でも何で?」
「先輩には言ってませんでしたが、私小中サッカーしてたんです。」
「・・・・・・マジで?」
「・・・・・・はい、しかもレギュラーでした。ですから私は敵の方が色々と良いと思うのですが・・・・・」
確かに小中とサッカーをしているなら体力もあるし、自分がレギュラーだったことを言うくらいだから自信があるんだろう。
「・・・・・わかった、そこまで言うなら若松さんは敵だね。」
「はい、よろしくお願いします。先輩のチームをケチョンケチョンにしますね!」
若松さんの言葉には自信に満ちたものだった。
てか、ケチョンケチョンって言い方可愛いな!
「おう、来なさい。返り討ちにしてくれる!」
(あぁ、こんな自信満々な奴と戦ったらメッチャ燃えるんだろうな。)
その時、俺は自分が怪我をしていることを悔やんだ。
ーーーーー
ーーー
ーー
「ーーーっと以上が今回の作戦だがこれでいいか?」
「 「はい!」 」
試合五分前、ポジションと動きの確認を済ませる。
「あ、そういや言い忘れてた。」
「 「???」 」
「この試合に負けたらペナルティーで八キロ走ったら。」
「 「・・・・・・・はぁぁぁ!!!」 」
部員三人の声が見事に揃った。
まぁ、そうなるよな。試合の後に長距離走なんて鬼畜の所業だろう。
「でもお前らまだマシだぜ。俺らん時、二十キロやらされたんだから・・・・・嫌なら勝て!勝てば今日の練習は試合だけだからな!!!てか、マジでお願い。お前らが勝たなきゃ俺もペナルティーやんなきゃだから!!!」
「走りたくねぇ!!」
「てか、岩瀬さんには何のペナルティーがあるんすか?」
「・・・・・・・・・・俺のはいいの!さっさと行ってこい!!!」
「何か納得いかねぇ・・・」 「走りたくねぇ・・・」 「とにかく勝つぞ!」
言えるかよ、俺への罰ゲームが『グラウンドの中心で○を叫ぶ』なんて!!!
何にせよ、こうして対陸上部との試合が始まった。




