魔術国へ
リアは師匠に行くことを勧められた魔術国と先程までいた国の国境となっている山、つまり師匠の屋敷がある山を抜けたところで野宿?をしていた。ちなみに野宿?と言っているのは……
「よし!完成!」
林に囲まれた湖があるところで何故か簡易的なログハウスのような物を【闇】魔法のうちの一つ、【マジックボックス】で取り出し、そこに他者からは見えないようにする結界を張ったからだ
「ここなら湖があるから水の確保は簡単だし、いい場所だね」
水の確保とかも考えていたようだ。はっきり言って意外である
「さて、狩ってきたウルフ達の肉捌こうかな♪」
そう言って肉を捌き始めた。銀髪にオッドアイの美少女が鼻歌を歌いながら肉を捌く様子ははっきり言ってホラーではないだろうか。恐ろしい
そんなこんなでこの1日は終わった
リアが例のログハウスの中で熟睡している最中、湖に2人の獣人の影が映った。その獣人たちは痩せ細っていて足と手に鎖が巻かれていた。また、その獣人たちは耳のかたちからして猫の獣人だろう。
2人の獣人のうち、小柄な方の獣人が、リアの張った結界の前で立ち止まった
「ここ……けっかいがはられてる?」
「結界??1週間前に来たときはそんなものなかっただろ?気のせいじゃないのか?」
そう背が高い方の獣人に否定され小柄な方が背が高い方の獣人に詰めよった
「ルリ、そんなことまちがえないよ!!それに!こんなにいっぱいで、きれいなまりょくをまちがえないよ!!」
「悪かった悪かった。ルリを疑ってるわけじゃないんだよ!?問題は!何でこんなところに1週間前に来たときはなかった綺麗な魔力が大量にあるのかって話だ!!愛しい妹であるルリを疑うはずがないだろう!?」
妹であるルリを疑うはずが、ではなく愛しい妹であるルリを疑うはずが、と言っているという点からかんがえるにこいつはシスコンなのだろうか
そしてそこから2人は口論をしだし、その声に気づいたリアが起きてログハウスの中から外を確認した
リアは外の様子を見てけっかいのことがのバレていることをを疑問に思ったが、それよりもリアが驚いたのは小柄な方、つまりルリから神職者の気配がすることだ。だが、もし本当に神職者なら奴隷がつけられる鎖をつけられるはずがないな、と考え直した。が、
「わたし、しんしょくしゃなんだよ!!だいじょうぶだよ!!」
本人から神職者だという自白が来てしまった。リアは頭をかかえている
「面倒事に合っちまった」
「ん?今この結界らしきものの奥から声が聞こえなかったか?」
「うわ、バレた」
リアはよっぽど関わりたくないらしい
「おい!!何者だ!!」
「仕方がない」
そう言ってリアはまず、ログハウスをみて驚かれないように【マジックボックス】でログハウスをしまい、その後で結界を解いた
「初めまして、野宿したいだけの属性保持者です」
「属性保持者だって!?デタラm「まって!!ほんものだよ!!」え」
どうやらルリの方は真実だと気づいたようだ
「本物……?」
「うん。今の【水】と【闇】の属性保持者」
「2つの属性!?」
「ああ、はじめての2属性保持者らしいね」
「おにいちゃん!!なにうたがってるの!!ひれふさないと!!」
そう言われルリに押さえつけられる形で2人が土下座した。それをリアは困ったように見ている
「普通に接してくれると嬉しいんだけど……」
「そのようなわけにはいきません!!」
そう言って普通に接してくれ、駄目だ、という言い合いになりかけたときだった。2人のお腹がなったのは
グゥゥゥゥ
その音にどう返していいのかわからないリアと恥ずかしさで何も言えなくなった2人によって沈黙が走った。その静寂を打ち破ったのは……
「お腹空いてるの?」
リアだった
「「……」」
「無言止めて怖い」
怖いとは……流石リアのことを知るものたち全員から人と関わるのが下手だと断言された人だ。2人の獣人も怖いと言われてどうすればいいのか戸惑っている
「「……」」
「だから無言止めてって……」
今度はリアが涙目になってきている。何故それで2人が困惑していると気が付かないのか
「え、え~と。取り敢えず何か食べ物作ろうか??」
その言葉に2人は目を輝かせた。リアが明らかにほっとしている。そんなに怖かったのだろうか?
「それじゃあちょっと待ってて!!」
「「え??」」
リアは何とか意志疎通?が出来たのが嬉しいのか2人の困惑に気づかずに湖の方に行ってしまった
「何なんだ……本当に何なんだあいつ……?」
「えっと、ぞくせいほじしゃさまだよ!」
「そういう話じゃ……いや、うんそうだな……」
こいつ……シスコンなのにどう考えても苦労人だ
「あ」
「どうかしたの?おにいちゃん?」
「俺らまともに自己紹介してなくね……!?」
「あ」
そう、実はこの3人、まともな自己紹介をしていない。自己紹介と言えばリアが「野宿したいだけの属性保持者」と言っていただけでお互いの名前も知らない。最初からコミュニケーションなど取れてなかったのだ
そしてこの間、リアは魚……の姿をした魔物と戦っていた
「この魚しぶといなぁ」
「ん?それ魔物……魚じゃねぇよ……あ!?つかそれこの湖の主じゃね!?そいつ殺さないでください!!」
「え?」
やはりこのシスコンは苦労人だ
リアに事情を説明し、例の湖の主を殺すのは思い止まってくれた。ナイスシスコン。……とまぁその事はさておき、リアが湖の主と戦い始める前に捕獲していた魚を焼きながら自己紹介をすることになった
「私はリア。出会ってすぐにも言ったけど、【水】と【闇】の2属性保持者。よろしくね」
「わたしはルリです!よろしくおねがいします!」
「俺はレン。よろしく……お願いします」
よろしく。だけで済まそうとしたシスコンがルリに睨まれてお願いしますを付け足した。かわいそうに。それからどうやらシスコンの名前はレイというらしい。やっと名前が判明した。ここまで長かった……というか長すぎではないだろうか。出会ってからから既に数時間は経過している
「ていうかマジで属性保持者なの?」
「嘘だとしたらそんな嘘ついてなんになるの?」
「え?え~と、人に信用される?」
「今、私は信用されてないじゃん」
そう言われると確かにその通りだな、と納得してばつが悪そうにしている
「……ごめんなさい」
「別にいいよ?あ!そろそろ食べてもいいんじゃない?」
「おさかなさんたべたい!」
「そうか!じゃあおさかなさん食べようか!」
「こいつシスコンか??(ボソッ」
数分後、2人が魚を食べ終えた。数十匹はいたのに、もう一匹もいない。よほどお腹が空いていたのだろう。そしてリアは2人が食べ終えたことを確認し、本題に入ることにした
「さて、貴方たちに聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「何だ?」
「そっちのルリって子、私が姿を見せる前に神職者だって言ってたよね?何で神職者が奴隷用の鎖を着けてるの?」
「っ!!」
「?どれい??」
今回からこのくらいの量で更新していく予定です