その日、彼女は世界最強の1人となった
初めて、黒瀬怜衣です。基本アルファポリス様で活動していく予定ですが、小説家になろう様が初めて見た小説投稿サイトなので、こちらでも投稿したいと思います。宜しくお願いします
今日はいつもに増して町が賑わっている。とはいえ、小さい町だ。賑わっていると言ってもいつもより露店が多いくらいだが。
さて、今日町が賑わっているのには訳がある。今日は5年に1度の"属性保持者"発表会なのだ
"属性保持者"とは、【火】【水】【風】【土】【光】【闇】の六大属性の魔法使いの中で一番優秀だと神や天使様方、精霊様方に認められた者の事だ
ちなみに、一番優秀だと決めるためにみるのは単純な強さだけでなく、どのように応用するか、等も含まれる
今年は【火】の属性保持者が今日までの5年間で既に亡くなってしまっているから、新たな属性保持者が現れる事は絶対だ
故に、今年は新たな属性保持者は誰なのか、と多くの者が楽しみにしている
だが多くの者が、と前述したように、あまり楽しみにしていない者もいた。迷宮攻略を生業とする者のためにある冒険者ギルドでどの依頼を受けようか、と悩んでいるフードを深く被った少年もそのうちの1人だ
「ねぇ、この依頼受けたいんだけど」
「悪いけど、今日は属性保持者発表会だから依頼を受けさせられないし、迷宮にも入れられないわよ、リア」
「え」
おや、声を聞いたところ少年ではなく少女だったようだ。そして名はリアというらしい
「……貴方の権力でどうにかならない?フィア」
「どうにかなるわけないでしょ?私はまだ次期ギルド長候補ってだけなんだから。だいたい、何でそんなに迷宮に行きたいのよ?」
次期ギルド長候補、以外に大物だった。何故受付をやっているのか疑問でならない
「何でって……なんとなく」
「なんとなく……っ!?」
下手をすれば命を落とす迷宮になんとなくで入ろうとしていたとは……フィアと呼ばれた次期ギルド長候補も絶句している
「でも、特に理由がないなら町の真ん中の噴水のところで発表会を待ってればいいんじゃないの?」
「私が行ったら最終的に背が足りなくて何も見えなくなる」
確かに、リアの背は小さい。この町では噴水の辺りで神々の力によって5年間属性保持者となるもの達の姿が映される事になっているから、多くの人が集まり、リアは何も見ることが出来なくなるだろう
「ああ、確かにそうだね。それじゃあ屋根の上を歩けばいいんじゃない?」
「え?それいいの?……まぁ、そんなに興味はないからそれはいいかな」
「何で興味無いの?」
「だって……【火】の保持者が新しくなろうと別にどうでもいいから」
「ああ、なるほど……でも発表会、みた方がいいと思うよ」
リアはそう言われて首を傾げている。見ても何の得も無いのに何故見に行かなければならないのだろうか、と
「だってさ」
そこまで言ってフィアはリアの体を自身によせ、
「先代の【火】の保持者を殺したの、リアでしょ?だから【水】の保持者に選ばれるかもよ?」
と言った。リアはそう言われてフィアの顔を誰かに聞かれたらどうするつもりなんだと睨みつけながら納得した
そんなことは無いだろうと思うが、一応可能性としてはあり得る事だったからだ
「なるほど……なら、屋根の上でみようかな」
「うん!それがいいと思うよ!」
「それじゃあ、また後で」
カランカラン
そう言い残してリアはギルドから去っていった。……また、何故ギルドの扉にベルがあるのか、というのはこの町のギルド長がノリでつけただけである
「……かもって言ったけど、私は絶対に貴方が属性保持者に選ばれると思うよ」
「フィアさーんこっち来てくださーい!」
「いま行くよ!」
リアは本当に屋根の上に登って属性保持者発表会が始まるのを待っていた。ただ屋根の上にいるだけでなく焼き鳥を頬張っていることからそれを持って登ったのだろう。いったいどうやって登ったのか
『やっほー!10年ぶりだね人間諸君!!今日は5年に1度の属性保持者発表会だーー!』
突如、噴水のところに羽を生やしたテンションの高い者が映った。
『今回の発表は僕たち天使族が行うよ!前回は精霊達に譲ったからね!』
どうやら属性保持者の発表を行う者は毎回同じ訳ではないようだ
『今回変わるのは、【火】【水】【闇】の3つの属性保持者だーー!』
そういったとたん、何でそれを最初に言ってしまうんだとブーイングが起こったが、場は【水】と【闇】も変わるのかと驚きに満ちた
『そして変わっていない【風】【土】【光】の属性保持者に関しては割愛するよーー!』
流石にこれにはブーイングしか送られなかった。でもその天使はブーイングを気にしない
『まず始めに!新たな【火】の属性保持者の名は!!グローリア・フェール!!人間国の公爵令嬢にして迷宮初突破を繰り返した者だーー!!』
そう天使が言ったの同時に赤髪赤目の美女が映し出された。
『年は17!!よっていま!!属性保持者最年少記録を更新したーー!!』
『50年ぶりの記録更新だーーー!!』
『だがしかし!!次の記録更新は最も速く!!今代の【水】の属性保持者!!』
そして画面に映されたのは……リアだった
『その名はリア!!年は13という成人にも満たない年だーー!!』
「……え?何で私?」
噴水の辺りでは何であいつがっ!?と混乱に満ちていた。が、おそらく最も混乱しているのはリア本人なのだろう
『えっ!?何故なのかわかんないの!?君がしたこと考えれば当たり前だよ!?』
「ちょっと強い人を殺したくらいだよ??」
『ちょっと強い!?そんな扱い!?というか何で屋根の上にいるの!?』
……いや、最も混乱しているのは天使かもしれない。
「下にいたら何にも見えないから」
『えっ、ああ、なるほど??……そもそもどうやって登ったんだよ!!(ボソッ』
『ええと、取り敢えず!!【闇】の属性保持者を発表するよ!!』
どうやらもう諦める事にしたようだ
『【闇】の属性保持者は!!ってまた君!?【水】の属性保持者となったばかりのリアだーー!!初の2属性保持者です!!』
「こっちはホントに心当たり無いんだけど……」
『僕もよくわかんないよ!』
天使がまた君!?と発言していることから何かカンペのようなものを見ながら喋っているのではないかと予想される……まぁそれがどうしたという話だが
『ああ、もう!!僕は帰るよ!!じゃあね!!』
「絶対私が【水】と【闇】の属性保持者だってばれてるよなぁ」
あいつは何処に居るんだとリアのことを探しているもの達を屋根の上から見ながらリアはそう呟いた
「よし、町を出よう。あ、それならフィアに挨拶しとこうかな」
思い立ったが吉日、ということでリアはギルドに行くことにした。が、地上を歩くと絶対に多くの人に声をかけられるので屋根の上を走っていく
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!人、人が!」
「え!?何今の衝撃!?」
途中、リアが通った家に住んでいるのであろう人が悲鳴をあげていたり、リアが通ったことで家に衝撃が行ったことで驚かれたりしたがリアは気にせずにギルドに向かった
カランカラン
ギルドの扉のに降り、扉を開けた。が、その途端、満面の笑みを浮かべたギルド長が見えたからかリアはすぐに扉を閉めようとした。
だが、それは叶わなかった。まぁ、リアの細い腕では肉体派のギルド長に敵わないのは当然の事だ
「やぁリア君!何で逃げようとするのかな!?」
「お前に会いに来たわけじゃないから」
そう言って今度は自然な感じでギルド職員専用の裏口の方に行こうとする。が、又もギルド長に阻まれた
そんな事を5分程繰り返した後、リアが根負けし、ギルドに貴族や豪商が来た時ようの来客室でギルド長と話をすることになった。そこで既にフィアが待っている、と言われた事もリアが大人しくする決め手となった
そこではギルド長に許可される前にリアが座ろうとしてギルド職員Aと口論になったがフィアとギルド長に睨まれた事で諦めて帰った
「リア君!先程はうちの職員が失礼したね!」
「……別に。で、何のよう?」
「ああ、リア君、【水】と【闇】の属性保持者になっただろう?だから、先代の【水】か【闇】の属性保持者に襲われた時用に2人の情報を渡しておこうかと思ってね」
その返答にリアは面を食らった。先代、現役問わず、属性保持者に関する情報は基本全て隠匿されているからだ
「それいいの?」
「う~ん良くは無いんだけどね?下手に情報を隠匿して何かあった時他の無関係な人が被害を食らう可能性を考えると言っといた方がいいかな~って」
「ああ、そういうこと」
確かにリアは一見頭脳戦が得意に思われるが面倒になるとすぐに思考を放棄する傾向にある。故に面倒になれば無関係だろうが関係なく攻撃するだろう
「って事ではい、これ2人の資料」
そう言って、辞書か!!と思う程分厚い資料が渡された
「詳しい事はそれで見てもらうとして、ある程度2人に関して伝えておこうかな」
「まず先代の【水】の属性保持者の名前は分かるかい?」
「5年前の発表会は見てないから名前も顔も知らない」
そう、リアは前回の属性保持者発表会を見ていなかった。前からこういった事に興味が一切なかったのだ。見るだけ見とけばいいのに
「え、見てないのかい!?」
「?うん」
何故そこで首を傾げるのか。普通は見ている物だからどう考えてもギルド長の方が正しい
「え、え~と、それじゃあ先代の【水】の属性保持者の名前はルフィ。ハーフエルフだ。彼は平和を好むから基本君と衝突することは無いだろう」
「そして、先代の【闇】の属性保持者が問題なんだ。彼の名はアルス。彼はずっと自身の家族を探しているそうでね。関係があるかも知れないとなったらすぐにでも捕らえられる。……属性保持者であることに固執はしていないから、その点で衝突することは無いだろうが気をつけておくといい。ってどうしたんだい!?そんなに目を見開いて!?」
リアはアルス、という名を聞いたとき目を見開いた。何故ならその名はリアにとって馴染みの深いものだったからだ
「……何でもない」
「そう……かい?……それじゃあ私は取り敢えず部屋の外に出ておくよ!またね!」
詮索するなという圧を感じ取ったのかギルド長はすぐに部屋から去った
その途端、フィアが話しかけてきた
「リア、やっぱり、何処かに行ってしまう?」
「うん。此処にいれば町の人から孤立してしまいそうだから」
「そっか……」
「あっ、そうだ!!」
「今の【土】の属性保持者のフォルは私の兄さんなんだ。だからもし何かあったらフォルを頼って。そしたら私も其処に行くから!」
「!……わかった」
リアがフィアに向かって笑顔を向けた
「じゃあね、待た会おう」
そう言ってリアはギルドの窓から飛び降りて行った
「えっ!?ちょっとリア!!危ない事しないの!!」
「あはは!!大丈夫だよ!!またね!」
そうしてリアはこの町を去っていった
すみませんプロローグまだ終わってないです。数日以内に投稿します