↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/237

偵察者ゴーレム

 カタンの町を抜け、俺達の宿営地が有る空き地へと到着すると、"九ノ一"の面々によって既に昼食の準備は完了していた。

 どうやら、俺の予想した様に俺達の到着を待ちかねて居た様で、アンが軽装甲機動車まで駆け寄って来るなり、文句を言う。


「ジョー兄い、遅いよ。何か有ったのか、心配で連絡しようとしてたんだよ!」

「悪かったな、ゴメン。冒険者ギルドで少し時間を取られたんだ」

「冒険者ギルドへ寄ってきたの?」

「ああ、コロニちゃんにオークの討伐の証しを、全部採取しろって言われてね」

「オークの討伐の証しって、オークの右耳を採取してたの?」

「そうだよ。全部で138体だった」

「随分と大きな群だったんだね。そう、ジョー兄いが討伐の証しを採取するなんて……」

「初めてだね。オーガやワイバーンの素材回収は、ギルさん達に全部して貰ったけど、自分で討伐の証しを採取するなんてね」

「判ったよ。心配したけど、みんな怪我も無かった様だし、良かったよ。アタイ達、お腹空いたんで、早くご飯にしようよ」

「ああ、ごめんよ。良し、みんな下車して、お昼ご飯にしよう」

「「「「はい」」」」


 俺の言葉で、軽装甲機動車から全員が降りる。

 コロニちゃんも、ロックの膝の上から飛び降りて、そのまま空き地へと走って行く。

 向かう先は、同じ狼人族のウメさんの所だ。

 やはり、同族の女性が、母親の姿と重なるのだろうか。

 コロニちゃんの姿を見つけると、ウメさんも笑顔で迎えて、そのまま抱き上げている。

 そして、二人の姿を見つけると、犬人族のヒタキさんも笑顔でウメさんからコロニちゃんを受け取る形で抱き上げた。


 ウメさん、ヒタキさん、そしてコロニちゃんの尻尾は、左右に激しく振られており、とっても微笑ましい。

 そして、コロニちゃんは二人に手を繋がれて、水場まで行き石鹸と水で手を洗ってもらい、そこから設置されたテーブルへと三人は歩いて行く。

 後ろ姿だけでも、尻尾の振られる様子で、楽しげな様子が見て取れるのは、狼人族、犬人族ならではだ。

 そして、洗濯や干し物などの作業をしていた他の"九ノ一"の面々も、次々と仕事を止めて食事の準備が住んでいるテーブルへと集まって来る。

 俺達も、手を水と石鹸で洗い、早足にテーブルまで行き折りたたみ式のパイプ椅子へと着席した。


「みんな、遅くなってごめんね。それでは、昼食にしましょう。頂きます」

「「「「「いただきます!」」」」」


 昼食は、スベニ風お好み焼きだ。

 狼人族の郷土料理であるが、それは西住小次郎大尉が彼らへ伝えた事に由来する。

 スベニ風は、スベニのソースが使われており、より元の世界のお好み焼きに近い。

 それに加えて、スープとサラダが添えられており、具だくさんのスープも美味しい。

 狼人族であるコロニちゃんも、恐らくは母親に作ってもらった事があるのだろう、慣れた手つきでフォークを使って食べている。

 口の周りに、スベニのソースが付いてしまうと、それを両脇に座っているウメさんとヒタキさんが、布で綺麗に拭う。

 もう、すっかり姉妹の様な食事の情景で、とても微笑ましい。


 食事が終わり、食後の休憩で、全員がお茶を飲む。

 俺だけは、お茶ではなくコーヒーなのだが、誰も飲ませろとは言わず相変わらず人気は全く無い。

 俺は、ブラックでコーヒーを飲むので、砂糖やクリームは使わないため、それをカップへ入れてお湯で薄めコロニちゃんへ飲ませてみると、とても嬉しそうな表情だ。

 甘い飲み物など、恐らく殆ど飲む機会も無かったのだろう。

 本当に美味しそうに、尻尾が小刻みに振られながら飲んでいるので、どうやら気に入った様だ。


 食後のお茶の時間も終わり、午後はどうするのかをアンに尋ねる。


「アン、午後はどうする? 古代遺跡都市の探索へ行ってみるかい?」

「うん、アタイも行って見たいから、行っても良い?」

「ああ、いいよ、行っておいで。俺とロックは、此処でゴーレムの動作試験をするから、行けないけど」

「うん、じゃあ行くよ。ガイドはコロニちゃんで良い?」

「もちろんだ。良いよね、コロニちゃん?」


 コロニちゃんは、笑顔で何度も頷く。


「じゃあ、コロニちゃんの保護で、ナークも行ってくれ」

「……判った」

「「私たちも同行して宜しいでしょうか? 主様」」

「うん、ウメさん、ヒタキさん、宜しく頼むよ」

「「はいっ」」

「"九ノ一"の人達も、行ってみたい人は遠慮しないでね。サクラさんも行ってみれば?」

「はい、主様。それでは、昨夜の夜警を行った者は休みを取り、他の者で行かせていただきます」

「判った。人数が多いから、軽装甲機動車じゃ乗り切れないね。96式装輪装甲車を使って良いよ。ナーク、操縦は任せる」

「……任された」

「ベルもまた行ってみるかい?」

「私は、夕食の準備などをしましゅから此処へ残りましゅ」

「判った、ミラはどうする?」

「私は、お兄ちゃんと一緒に、此処に居ります。お怪我をされた場合は、直ぐにお戻り下さい」

「そうだね。まあ、このメンバーなら問題は無いだろうけど、気を付けてね。あっ、そうだ。オークの巣は異臭が強烈だったんで、防護マスクを持って行ってくれ。使い方はナークが知ってる」

「オークの巣は臭いんだよ。アタイも討伐依頼で何度か行った事があるけど、鼻が曲がりそうだったよ。あの臭いが防げる装備があるなんて、さすがジョー兄いだよ」

「後5個しか無いから、ナークとコロニちゃん以外は、5名分だけど……」

「主様、我ら"九ノ一'は、鍛錬を積んでおりますので、心配はご無用にございます」

「えっ、鍛錬って臭いに対する鍛錬もしているの?」

「勿論にございます。それが"九ノ一"にございます」

「そうなんだ。まあ、無理に我慢することも無いだろうから、嗅覚の優れている獣人のみんなに使ってもらうと良いよ」

「有り難いご配慮、傷み入ります」

「うん、じゃや96式装輪装甲車に積んで置くね。ナークとコロニちゃんは、午前中に使ったのを持って行ってね」

「……判った」


 コロニちゃんも、頷いてナークと共に軽装甲機動車の後部スペースへ積んである防護マスク4型を入れた収納袋を取りに向かった。

 俺は、その間に防護マスク4型を無限収納(インベントリー)から召喚して、96式装輪装甲車へ積んで置く。

 合わせて軽装甲機動車から、ゴミ袋の束も移動させて置いた。

 使い方は、ナークが知っているので、討伐の証しを回収した場合に役立つだろう。

 討伐報酬の事は、アンにもコロニちゃんを頭数にいれて均等配分とする様に言うと、アンは笑って「判ったよ」と了承した。


 ナークの操縦する96式装輪装甲車が、古代遺跡都市へ向かうのを見送り、俺達は回収してきた守護者(ガーディアン)ゴーレムとガーゴイルもどきのテストを行う事にする。

 俺は、無限収納から指揮者(コマンダー)ゴーレムや三種類の守護者ゴーレム、そしてガーゴイルもどきを取り出した。

 指揮者ゴーレムは、待機状態の屈んだ姿で現れ、既に胸の扉は観音開きで開いた状態だ。

 ロックが、地面に接地している右手の掌に飛び乗り、俺もそれに続いて掌に乗る。

 するとと、ゆっくりと腕が上昇しはじめ、胸の位置まで上がるのを待ち、俺達二人は開いた胸の中へと乗り込んで行く。


 俺達が指揮者ゴーレムに乗り込むと、ゆっくりと胸の扉が閉じて行き、ロックが操縦席に座り込むと、目の前にホログラフィックの様な空間画像が表示された。


「どれから試験してみますか?」

「先ずは、ガーゴイルもどきからやってみよう。どうやれば眷属化出来るの?」

「簡単です。配下にしたぃゴーレムを指揮者ゴーレムで触るだけです」


 そうロックは言うと、指揮者ゴーレムの手の指で小さなガーゴイルもどきを壊さない様に慎重に触った。

 すると、大きな空間画像の横にある小さな空間画像へも画像が表示される。

 大きな空間画像に映し出されている画像は、夜間画像と違いカラー表示なのでガーゴイルの目が光っているのも確認でき、その発光色は鮮やかな青緑(シアン)だ。

 すると、ロックが驚いた様に言う。


「ジョーさん、この小さなゴーレムは、本当に飛べるのですね!」

「ああ、ガーゴイルの情報が頭に流れて来たんだね。そして、やはり俺の予想どうりだったな」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

連載中:『異世界屋台 ~精霊軒繁盛記~』

作者X(旧ツイッター):( Twitter_logo_blue.png?nrkioy) @heesokai

  ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[一言] ガーゴイルに手榴弾か88mm擲弾を持たせ上空から 爆撃のできるかも?擲弾の安全装置は風車式の ボルトだからギリギリまで緩めて落とせば大丈夫だよ? 88mmで重ければ60mmでも良いかも?若し…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。