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彼女  作者: 伊勢崎みや
3/3

滅び

ラストです。

よろしくお願いします。

 私はこのままでいいのかと自問をした。ただ彼女のことを観察するだけでいいのかと悩んだりもした。そして私はある決断をすることにした。勇気を振り絞って彼女に告白することだった。

 彼女はいつでもそこにいるから呼びつける必要はなかった。私は私の最大限なオシャレな格好をして彼女に会うことにした。


「あなたをずっと観察していた時、ある感情が芽生えました。どうやら生まれて初めて恋をしたようです。こんな僕ですが、どうかお付き合いしてはくれませんか。」

 私は緊張のあまり声が震えながらも自分の思いを彼女にぶつけた。

 しかし、彼女は私の愛の告白に対して口を開くことはなかった。何の反応もしないのである。もしかしたら、唐突なことでびっくりしているのではないかと思った。


「突然にこんなことを口走ってしまって申し訳ありません。でも、もう自分の感情を隠しながらあなたのことを観察することに耐え切れなくなったのです。ですから、どうか返事をいただくことはできないでしょうか?」

 彼女はやはり黙ったままであった。


「そうですね。今急に返事をしろといっても困りますよね。それでは明日返事をお聞かせください。それまで待っていますから。」

 そうして記念すべき私の初めての告白が終了した。

 翌日、もう一度彼女に返事を聞きにいった。しかし、またしても答えてはくれなかった。それではまた明日と言って私は彼女が返事してくれる日を待ち続けた。

 何日も何年も月日がたった。彼女は一向に返事をしてはくれなかった。でも、私はずっと待つことにしていた。彼女のことを手放すなどしたくはなかったからだ。


「そろそろ返事をする気にはなりましたか。私はだんだんと老いてきております。でも、どうしてもあなたとお付きあいしたいのです。どうでしょうか。」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


 彼女の反応はなかった。私はついに声を荒らげてしまった。


「いい加減返事をしてはくれませんか。返事しないのはまだ許せますが全く私の言ったことに対して反応をしめしてはくれませんよね。どうしてですか。そんなに私のことが気にくわないですか。」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「わかりました。あなたがそういう態度であるならば私にも考えがあります。」


 そういって私は彼女にピストルをつきつけた。どうやら私は気が狂い始めてきたのだ。


「どうですか、怖いでしょう。さあ返事をしないと撃つぞ。これは脅しでも何でもないからな。」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「ああそうか。残念だよ君を撃たなければならないなんて・・・・これがラストチャンスだ。どうか返事をしておくれ。」

 私は涙まじりに彼女に問いかけた。

 そのとき、最後の最後に彼女が反応を示してくれた。彼女は大きく揺れ始め、その揺れは以前のものと比べものにならないほど揺れていた。


「ようやく私の呼びかけに反応してくれたのですね。」

 私の眼から一滴の雫が落ちていた。私のことに反応してくれたことにうれしさのあまり泣いていたのだ。


 そんな最中、街から人々の叫び声が聞こえてきた。


「おいあんた何しているんだ、早く宇宙船にのれ。この地球はもうダメだ。マグマがふき出してきてあと10時間で地球は滅亡だ。」


「いいんです。私はここに残ります。だってやっと彼女が私の呼びかけに答えてくれたのですから。彼女がなくなるのであれば、私も彼女と一緒に死ぬことにします。」


「彼女ってなんだよ。」


「私はずっと愛し続けてきました。地球という素敵な彼女に。」




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