第382話。グレモリー・グリモワールの日常…77…神前裁判。
チュートリアル終了時点。
名前…アリス・アップルツリー(アリス・イースタリア)
種族…【人】
性別…女性
年齢…14歳
職種…【貴人】
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】
特性…【気品】、【グレモリー・グリモワールの使徒】、【才能…善政、勇敢】
レベル…5
【サンタ・グレモリア】領主で辺境伯。
【イースタリア】領主リーンハルト・イースタリア侯爵の娘。
【ラピュータ宮殿】にミカエルという【改造知的生命体】を始めとする大勢の者達が集まって来た。
ナカノヒトが呼び寄せたらしい。
ミカエル達は、皆、顔面蒼白となり、集まるなりナカノヒトの前に平伏した。
この人達は、昨日ナカノヒトと戦って、こっ酷くやられた方の関係者だという。
ルシフェル勢は、その戦闘には関与していなかった。
ナカノヒトのデタラメな戦闘力を知っていれば、ルシフェル勢は、彼に攻撃を仕掛けたりなんかしなかったんだろうね。
ま、そもそもの話として、この【シエーロ】は特殊な場所なのだ。
5大大陸に連なるマップで、唯一、守護竜の直接統治を受けない領域……それが【シエーロ】なんだよ。
【シエーロ】は【創造主】の直轄地。
そして、ゲームマスターは、【創造主】の代理人。
対する【天使】達は、単なる【シエーロ】のハブ【門】の委託管理者に過ぎない。
つまり、【創造主】が世界最大の大企業の創業者でオーナーとするなら……ゲームマスターのナカノヒトは、同社の最高経営責任者。
対して、ルシフェルやミカエル達は、本社社屋のドア・マンや受付嬢のような立場。
本来なら、逆らえるはずもないのだから。
因みに、その例え話で言うなら、私は顧客だよ。
今回の件は、会社のドア・マンが本社社屋を訪れた顧客に対して、正当な理由もなく殺害しようとした構図。
絶対に、あり得ない状況なのだ。
閑話休題。
ルシフェル勢とミカエル側の関係性は、ちょっち複雑だ。
元は、ルシフェルとミカエルは、同一のヒエラルキーにあり、その時はルシフェルが天使長で、ミカエルは、その配下だったらしい。
その後、ルシフェルは、彼らの黒幕だった【知の回廊】に反旗を翻して下野し、ミカエルが天使長となった。
以後、ミカエル達は、永らく【シエーロ】の【天使】政府の中枢を占める立場だったけれど、内戦の反体制派だったルシフェルに降伏して、現在はルシフェルが天使長に復位しているらしい。
でも、ナカノヒトは、ミカエルに……ルシフェルは罪人となったのだから、天使長は再度ミカエルに権限移譲するように……と要望した。
ミカエルは、それを即座に受け入れている。
ま、ゲームマスターの要望って、即ち、強制命令だから、拒否権なんかないんだけれどね。
つまり今回のルシフェルの天使長復位は、1日天下だった訳。
何だか頭がこんがらがるよ。
これから、ナカノヒトによる、ルシフェル達への怖〜い裁定タイムが始まるのだ。
他人事だけれど、身震いするね。
ルシフェル達が……弁護人の立合い……を要求した。
ナカノヒトは、それを許可する。
すぐに、弁護人役が選任されて、ルシフェル達と相談を始めた。
ま、無駄だろうけれどね。
ゲームマスターって、要するに神様だ。
神前裁判で人種の弁護なんかが、どれほどの効果があるのか……って話だよ。
どんな御託を並べ連ねたって、ゲームマスターが白と言えば白、黒と言えば黒にしかならないのが、ゲームマスターの裁定なんだからさ。
私も含めて、この異世界に存在する全ての生物と非生物は、丸っと【創造主】の所有物。
そして、ゲームマスターは、その所有者である【創造主】の代理人であり、意思を代弁する存在なのだ。
一見、完璧に正当だと思われる行動であっても、【創造主】やゲームマスターが、それを見て、一言……ダメ……と言えば180度価値が、ひっくり返るのが異世界の唯一絶対の正義なんだからね。
理不尽?
そんな事はない。
運営のルールに反するユーザーがBANされたり、運営の意思に反するプログラムがデバッグされるのは、当たり前の事でしょ?
私は、そこら辺は、割り切って考えているよ。
「ルシフェル達は、グレモリー・グリモワールの従魔であった竜之介を不当に殺害しましたね。弁護人、あなたの依頼人の主張を代弁しなさい」
ナカノヒトは穏やかな口調で言った。
口調は穏やかだけれど、【神威】がビンビンに放射されている。
「【ラピュータ宮殿】は、【シエーロ】政府が、正当な対価を支払って合法的に接収致しました。にもかかわらず、【ラピュータ宮殿】に住み着いていた【ドラゴネット】の竜之介殿は、暴れ【シエーロ】政府側に多数の死傷者を出させたのです。従って、竜之介殿を殺害したのは、止むを得なかった。つまり、ルシフェル達は無罪である……と存じます」
ルシフェルの弁護人は、ナカノヒトの【神威】に当てられたのか、オエッ、と、えづきながら言う。
「竜之介は、グレモリー・グリモワールの従魔です。従魔は、主人の所有財産。ルシフェル達が、竜之介を保護せず殺害したのは、英雄の動産は全て保全しなければならない、と定めた国際法に明確に違反します。この際、竜之介が、グレモリー・グリモワールの私有地の外で暴れたのなら駆除は適法でしたが……竜之介が【ラピュータ宮殿】への侵入者に対して暴れるのは主人の別荘を守る従魔の本分を果たした当然の行動で、完全に適法です。なので、ルシフェル側が竜之介を殺害した事を正当化する根拠は全くありません。従って、ルシフェル側の主張は、全く考慮に値しません。また、竜之介の死体を剥製にして飾るという行為は、学術目的以外で行われた場合、生命を弄ぶ行為で極めて品性が下劣。また、主人であるグレモリー・グリモワールにそれを半ば見せ付け、グレモリー・グリモワールに、あえて精神的苦痛を与えた行為も非道極まりありません。よって、ルシフェル達による、グレモリー・グリモワールの従魔……竜之介の殺害と死体損壊は……有罪」
ナカノヒトは静かに言いました。
ゲームマスターの裁定……これ即ち最高裁判決。
つまり、この件に関しては呆気なく結審した。
ま、妥当な裁定だよ。
ルシフェル勢は、【ラピュータ宮殿】の管理・防衛の責任者だった竜之介と話し合って、平和的に接収を完了させる義務があった。
それをせずに、実力行使に及んだのは、ルシフェル勢の瑕疵。
その責任を竜之介に擦りつけるなんて不当だ。
「ルシフェルは、【ドライアド】のシャルロッテ・メリアスと、8人の【ハマドリュアス】達を不当に奴隷としましたね。弁護人、あなたの依頼人の主張を代弁しなさい」
ナカノヒトは穏やかに言う。
「【ドライアド】のシャルロッテ・メリアス女史とルシフェルは、正当な【契約】に基づいて雇用関係を結んだモノで、犯罪要件を満たしておりません。従って、ルシフェル達は無罪である……と存じます」
1人目の弁護人が、ナカノヒトの【神威】で潰れてしまったので、別の弁護人が言った。
彼も、奥歯をガチガチ鳴らして震えている。
「【アンサリング・ストーン】の前で、被害者と、被告の双方に証言をしてもらいます」
ナカノヒトは言った。
呼び出せれたシャルロッテは……脅迫されて、止むを得ず奴隷契約を結ばされた……と証言する。
【アンサリング・ストーン】は光らない。
つまり、シャルロッテの主張は、事実として確定した。
対するルシフェルは、【アンサリング・ストーン】の前で、相変わらず……【知の回廊】から守る為……という言い訳を述べる。
「どういう意図であったか、は、私は訊いていません。事実としてルシフェルからのシャルロッテ・メリアスに対する脅迫があったのか、なかったのか、を質問しているのですよ。ルシフェル、イエスかノーで答えなさい」
ナカノヒトは事務的な口調で、往生際が悪いルシフェルの自己弁護を、バッサリ、と切り捨てた。
ルシフェルは……【ハマドリュアス】達の生命を人質として、シャルロッテ・メリアスを脅迫して奴隷契約を強制的に結ばせた……と自白。
「ルシフェルは有罪。シャルロッテ・メリアスの境遇を知っていたのにもかかわらず、その不法行為を見て見ぬふりをした者達も全員有罪」
ナカノヒトは事務的に告げる。
ルシフェルは、力が抜けたような薄笑いを浮かべ始めていた。
ルシフェルは、今ようやく、自分が敵に回してはいけない絶対者と対峙している現実を悟ったのだろう。
おっせーよ……馬鹿じゃねーのか?
「最後は、グレモリー・グリモワールとディーテ・エクセルシオールに対して、殺意を持って不当に攻撃をした殺人未遂についてですね。弁護人、あなたの依頼人の主張を代弁しなさい」
ナカノヒトは、あくまでも穏やかな口調で言った。
この柔らかい佇まいが、余計に怖いね。
「グレモリー・グリモワール女史は、強大な魔力を収束し、危険な状態であった為、その脅威を抑止、または、制止する為に止むを得ず、魔法を使ったものであります。しかしながら、殺意はありませんでした。よって殺人未遂は無罪である……と存じます。これは、正当防衛が認められてもおかしくはないのでは、と考える次第でございます」
2人目の弁護人も潰れてしまったので、3人目がナカノヒトの前に立って言った。
「先制攻撃をしたのは、誰ですか?」
ナカノヒトは訊ねる。
「ベリアルだよ」
私は、ベリアルを指差した。
「なるほど。ベリアル、あなたは、グレモリー・グリモワールに対して魔法による先制攻撃をしましたか?また、殺意を持ってグレモリー・グリモワールを攻撃したのですか?」
ナカノヒトは訊ねる。
「黙秘します」
ベリアルは言った。
「【調停者】の裁定において黙秘は認められません。あくまでも黙秘するなら、最大限、黙秘者に不利な裁定を下す事が出来ますよ。答えなさい」
ナカノヒトは、静かに言う。
「……」
ベリアルは黙ったままだ。
「ベリアル。あなたのログを確認しました。グレモリー・グリモワールに対し、あなたが殺意を持って攻撃した、という記録があります。これを以って、あなたの証言として採用しますね」
ナカノヒトは、淡々とした口調で告げる。
「嘘だっ!殺意などない。これは、不当裁判だ」
ベリアルは激昂した。
でも、ベリアルの言葉に【アンサリング・ストーン】が光ったんだよね〜。
ベリアル……語るに落ちる……とは、オマイの事だよ。
「なるほど……ならば、こうしましょう。【超位】の【呪詛魔法】を撃って、殺意が認定されないのならば、私は、たった今から【シエーロ】の全【天使】に対して【超位】の【呪詛魔法】を撃ちます。それは、全く殺意がないもので、死者が出たとしても、それは単なる偶発的な事故ですので、悪しからず」
ナカノヒトは穏やかな口調で、物騒な事を言う。
「お待ち下さい。このベリアルは、私の責任において今すぐ処刑致しますので、そればかりは、どうか、お許し下さいませ」
ミカエルが慌てて、ナカノヒトの前に跪いて言った。
「ダメです。弁護人の主張に基づいて下された裁定ですので、もはや覆せません。責任は、ルシフェルとベリアルにあります。それから、ベリアル、あなたの用は済みました。煩わしいので、寝ていなさい。【超神位魔法……昏睡】」
ナカノヒトは【超神位魔法……昏睡】でベリアルを昏倒させる。
ベリアルは、グシャッ、と顔面から床に倒れた。
「ノヒト様。それは、あまりにも無体ではありませんか?」
ルシフェルが言う。
「無体?はい、そうですが、何か?そもそも弁護人による反論は、ゲームマスターによる裁定の場においては一切認められていません。つまり、これは茶番です。ルシフェル、あなたが、どのくらい反省する気があるのかという判断材料として、私は、弁護人の介入を許可したのです。その結果、あなたには真摯に反省する気が全くない事がよくわかりました。あなたに対する量刑は、死刑でも軽いみたいですね?」
ナカノヒトは微笑んで言った。
マジ怖っ!
「ノヒト。私は、こいつらの首なんかいらないよ。ルシフェルには子供とか孫がいるんだよね?その内の1人で、ルシフェルに剥製を作ってもらって、私の自宅に飾るよ。それから他の子供や孫達を、シャルロッテや【ハマドリュアス】達と同じように9人分奴隷として900年働かせるよ。それで、とりあえずは良いかな」
私は言う。
「グレモリー。それでは等価交換ではないですか。犯罪人のルシフェルの方が失うモノが多くなければ、刑罰になりません。なので、グレモリーの提案に加えて何か罰を考えなければいけませんよ。それを決めるのは、ルシフェル自身にやらせましょう」
ナカノヒトは言った。
「そだね。こいつは、あの【知の回廊】の半分しか知性がないんだから、そういう下劣な事を考えるのが得意そうだもんね?」
「もちろんです。あの【知の回廊】の半分しか知性がないのですから、品性の程度は、推して知るべしですよ」
ルシフェルは、もう借りて来た猫みたいに静かになった。
ミカエル側の関係者は、全員土下座している。
ベリアルは昏睡中。
弁護人達は、上から下から、戻したり、漏らしたり……。
「さてと……今までのは、ほんの冗談です。本当の裁定を下しますよ。【ドライアド】のシャルロッテ・メリアス、【ハマドリュアス】のカリュアー、バラノス、クラネイアー、モノアー、アイゲイロス、プテレアー、アンペロス、シュケーを脅迫し900年間不当に隷属させた刑罰として……ルシフェル、ベリアル、アザゼル、ルキフゲ・ロフォカレ、ルキフゲ・フォカロル、ベルフェゴール、アマイモン、サタナエル、アスモデウスはグレモリー・グリモワールの【眷属】とします。被害者が9人なので、罰を受ける者も9人です。不当に隷属される苦しみを生涯味わって下さい。【シエーロ】政府は、接収したグレモリー・グリモワールの2つの別荘を無償でグレモリー・グリモワールに返還する事。これは、グレモリー・グリモワールの従魔である竜之介を殺傷し、あまつさえ剥製にして飾るなどという不当な行為をした事に対する損害補償です。また、これに加えて、グレモリー・グリモワールとディーテ・エクセルシオール、両名に対して、それぞれ【ドラゴニーア通貨】で1億金貨の賠償金の支払いを【シエーロ】政府に命じます。グレモリー・グリモワールとディーテ・エクセルシオールを殺害しようとした236人の内【眷属】となる9人を除いた残り全員は、永久にゲームマスター本部の下僕として労役を科します。今回の戦闘により亡くなった者の死体は、全てグレモリー・グリモワールに所有権を認めます。以上」
ナカノヒトは、立て板に水のように早口で言う。
「き、厳し過ぎませんか?」
ミカエルが、恐る恐るという様子で言った。
「一体どの辺りが厳しいのでしょうか?私としては、温情判決を大盤振る舞いしたつもりなのですが?人種に対して、正当な理由なく【呪詛魔法】を用いて攻撃するだけで、永久アカウント停止対象案件です。ユーザーは永久BANですが……NPCがこの世界から永久BANされるという事は、つまり死刑。ベリアルは死刑となります。その他、ありとあらゆる罪状も、あなた達【シエーロ】の国内法では極刑相当ですよ。グレモリー・グリモワールとディーテ・エクセルシオールに攻撃を加えた者、または、その者達に協力した者、その全員を【シエーロ】国内法で死刑に処する根拠があります。また、シャルロッテ・メリアスと【ハマドリュアス】8人を、あなた達は900年間不当に奴隷としていました。これは、奴隷制を禁じている世界の理に反します。900年間という長さも問題ですが、仮にシャルロッテ・メリアスと【ハマドリュアス】8人の庇護者であるグレモリー・グリモワールが、今日、たまたま生存を確認に訪ねて来なければ、この不当な状態は永久に継続していたと見做されます。人権蹂躙も甚だしいですね?【天使】は、いつから蛮族に成り下がったのですか?ミカエル、ガブリエル、ラファエルが【知の回廊】に精神支配されていた事による影響は不問に付しましたが、この件は、全く関係ありませんよね?つまり取り締まらなければいけません。今現在、ルシフェルは天使長……つまり【シエーロ】政府の最高執行責任者です。そのルシフェルが、グレモリー・グリモワールとディーテ・エクセルシオールの殺傷を命じた。これは、【シエーロ】政府にも当然責任が発生します。対してグレモリー・グリモワールとディーテ・エクセルシオールは、世界の理から言っても、国際法から言っても、【シエーロ】の国内法から言っても、何ら違法行為はしていない。全て、正当な根拠を持った適法な行動でした。ミカエル……これらを鑑みて、私に与えられた権限を規定通りに最大限運用するなら、これだけの罪状が揃えば【天使】を種族ごと絶滅させる事も可能ですけれども、どうしますか?ミカエル、あなたは、この判決が厳し過ぎる、などと本気で言っているのですか?本気だとするなら、【天使】を種族ごと絶滅させる事も選択肢に含めて、もう一度裁定をやり直しますが、良いのですか?」
ナカノヒトは、ニッコリと微笑みながら言う。
「ノヒト、超怖ぇ〜……」
私は、少しだけルシフェルやミカエルに同情しちゃったよ。
「本当に……あの温厚そうなノヒト様とは別人みたい……」
ディーテが呟いた。
「恥知らずな事を申しました、誠に申し訳ありません……」
ミカエルは平伏して謝罪する。
「ミカエル。私は謝罪などは求めていません。あなたは、この判決が厳し過ぎる、などと本気で言っているのですか?と、質問しているのですよ」
ナカノヒトは、なおも詰問した。
「全く厳しくはありません。むしろ、温情と慈悲のある判決でございます。愚鈍な私が完全に間違えておりました。お許し下さいませ」
ミカエルは、平伏したまま言う。
ナカノヒトは、理詰めで相手の逃げ道を塞いで行くスタイルなんだね。
うーむ。
私とは、かなり性格が違うよね。
私は、言葉より先に魔法をブッ放す、感情的なタイプだ。
自我が分かれて個性が出て来た、とかっていうレベルではなく、私とナカノヒトには根本的な個体差があるよう気がするんだけれど……。
ま、良いか。
「そうですか。人種は誰でも間違いはするものですから、今回はミカエルの間違いを罪に問うような事はしません。では、あなたの責任において、刑罰、損害補償、賠償を確実に履行して下さい。今日中に完了して下さいね。遅延した場合は、ゲームマスターの判決に従わなかった罪が加わります。次は、温情は引っ込めて、冷徹な方の私を大盤振る舞いしますので、そのつもりで、死に物狂いで、やって下さいね。その苦労も刑罰の一部ですので、キチンと部下達に説明して、完璧に執行させて下さい。この判決に関して、不平不満を表すような【天使】が、今後1人でも現れたら、その時点で全【天使】を【シエーロ】の委託管理者から罷免します。わかりましたね?」
ナカノヒトは言った。
ナカノヒト……鬼だね〜。
「畏まりました」
ミカエルは、了解する。
裁判は閉廷。
ルシフェル達は、全員、拘束されたまま、ミカエル達に引き渡された。
ナカノヒトは、事後処理をミカエル達に丸っと投げっぱなしにするらしい。
あ、でも後で、私は、ルシフェル達を【眷属】化しなければならない。
あれ、自分の指先を切り落とすから、痛いんだよね〜。
ま、仕方がないからやるけれどもさ……。
「グレモリー。とりあえず、こんなところで、シャルロッテ達と、竜之介の事は許してあげて下さい。さあ、シャルロッテ達を陽当たりの良い場所に移してあげましょう。この【ラピュータ宮殿】は、もうグレモリーの物なのですからね」
ナカノヒトは、【神威】を切って言った。
「わかったよ。ディーテ、悪いんだけれど、フェリシアとレイニールとグレースさんを迎えに行って、先に、ミネルヴァの許可をもらってレストランに向かっておいてよ。あんまり夕飯が遅れると、ソフィアちゃんが可哀想だしね」
「わかったわ。ノヒト様、グレモリーちゃんをよろしく」
ディーテは言う。
「わかりました」
ディーテは、【ドラゴニーア】に向かって【転移】。
私とシャルロッテとナカノヒトは、森に向かって飛び立った。
お読み頂き、ありがとうございます。
ご感想、ご評価、レビュー、ブックマークを、お願い致します。
活動報告、登場人物紹介&設定集も、ご確認下さると幸いでございます。
・・・
【お願い】
誤字報告をして下さる皆様、いつもありがとうございます。
心より感謝申し上げます。
誤字報告には、訂正箇所以外の、ご説明ご意見などは書き込まないよう、お願い致します。
ご意見などは、ご感想の方に、お寄せ下さいませ。
何卒よろしくお願い申し上げます。




