第365話。グレモリー・グリモワールの日常…60…グレモリー陣営のチュートリアル。
グレモリー陣営のチュートリアル・リスト
(最初の参加者)
1……フェリシア
2……レイニール
3……ディーテ・エクセルシオール
4……イーリス・リンデゴード
5……ヨサフィーナ・エクストレーム
6……クラーラ・ホルムグレーン
7……ロヴィーサ・グランフェルト
8……アリス・アップルツリー
9……グレース・シダーウッド
10…スペンサー・サイプレス
11…パーシヴァル・コンラード
12…オスカー
13…ウィリアム・キャメロット
14…ケネス
15…ザック
16…ハビアー
17…ナイジェル
18…イェーツ
19…ジェレマイア
20…キャリスタ
21…ルパート
22…ケイト
23…ローレン
24…モリー
25…ピオ
26…ナディア・ライプニッツ
私達は、全員で【サンタ・グレモリア】に【転移】した。
「ようこそ、【サンタ・グレモリア】へ」
私は、両手を広げて言う。
みんなは、ノー・リアクション。
くっ、外したか。
神殿の聖職者が、突然出現した大人数の見慣れない人達に多少困惑気味に集まって来た。
私は事情を説明する。
私は、スマホでチャット通話を開き、チュートリアルに参加する人達を【アリス・タワー】に招集した。
政務・公務に影響を及ぼさないように、留守番役を立てて、引き継ぎをさせる。
チュートリアルに参加させるつもりだったトリスタンは出かけていて、ナカノヒトと約束した午後3時までには間に合わない事が分かった。
戦争が始まるので、トリスタンは現在【イースタリア】城壁外の集落に暮らしている人達を飛空船団を率いて、【イースタリア】の城壁内に輸送して回っている。
安全な場所に避難させる目的だ。
ま、【イースタリア】の城壁内が、どのくらい安全なのかは微妙なところだけれど、城壁の外よりはマシだろうからね。
この避難作戦は、トリスタンから頼まれて、私が資金を提供し商業ギルド所有の商船を買い取って民間人の輸送に使用している。
本来なら、【イースタリア】の領主であるリーンハルトがやるべき事なんだけれど、アイツは戦争の準備で忙しいし、予算もない。
そもそも、リーンハルトも、リーンハルトの部下の官僚も脳筋バカの武人上がりばっかりだから……商業ギルドから商船を買い取って流用するなんて知恵は回らなかったんじゃないかな?
それに、中立組織の商業ギルドの方から……ウチの商船を使って住民の保護に使いませんか?……なんて気を利かせ言って来てはくれないからね。
これは商業ギルドが薄情な訳ではない。
彼らだって、戦争で無辜の民を犠牲にしたくはないはず。
ましてや、各ギルドの幹部以外の職員は、基本的に地元採用。
家族や友人を助けたいに決まっている。
ただし、ギルド国際条約で、特定の国に肩入れ出来ないのだ。
中立を標榜する立場上、商業ギルドの方からは船舶の利用を打診出来ないし、仮にリーンハルトから……無償で船を供出してくれ……などという命令があっても従えない。
しかし、商業ギルドの所有する商船を適正価格で買い取るという交渉ならば、受け入れられる。
これは純然たる商売であって、売却した船舶が、どのように使用されるかなどは商業ギルドは一切関知しない。従って、戦時の中立を侵さない……と言い訳出来るからだ。
私も、【サンタ・グレモリア】以外の住民を助けるという発想がなかった。
これは、トリスタンのファインプレー。
トリスタンは、優秀だよ。
トリスタンが間に合わないのは、仕方がないね。
トリスタンのチュートリアルは、また今度の機会にしよう。
「ねえ、ノヒト。チュートリアルを受けさせたい者に、現在、妊娠している子がいるんだけれど……妊婦さんがチュートリアルに挑戦しても安全かな?」
チュートリアルに参加させたい妊婦とは、フロレンシアだ。
「おそらく大丈夫だとは思います。チュートリアルの復活ギミックは【闘技場】の強化版です。劣化版の【闘技場】の復活ギミックは、妊婦にも胎児にも有効に働きますので。ただし、チュートリアルでは前例がないので確証はありません。【シエーロ】に向かえば、私よりゲームの仕様に詳しい者がいますので、彼女に確認してからの方が良いかもしれませんね」
ナカノヒトは言う。
チュートリアルの復活ギミックの方が、【闘技場】の復活ギミックより強力だ。
【闘技場】の復活ギミックは……死亡→復活……がコストなしで行われるけれど、装備品が破損したら元には戻らない。
チュートリアルなら、装備品も丸っと元通りだ。
また、痛みにかんしてはチュートリアルでは緩和されるという設定だけれど、【闘技場】では緩和されない。
ただし、ナカノヒトもチュートリアルの復活ギミックが妊婦さんと胎児に効果を発揮するのかまでは確証がない、と。
確かに、チュートリアルはユーザーを対象としたイベントだ。
ユーザーには繁殖機能はない……つまり妊娠しない。
ユーザーには妊婦さんはいないのだ。
前例がないのは当然だね。
なるほど。
ん?
ゲームマスターのナカノヒトより、ゲームの仕様に詳しいモノ?
【知の回廊】かな?
彼女?
アレは、コンピューター的な物だよね?
性別はないと思うんだけれど……。
ま、良いか。
つまり、フロレンシアも今回は保留。
さてと、トリスタンとフロレンシアの代わりに誰をチュートリアルに参加させようかな?
ナカノヒトとの約束で、今回は26人が定員だ。
うーむ。
なら、当初はチュートリアルに参加させるつもりではなかった牧童のルパートと、メイド長キャリスタさんにしよう。
つまり、今回チュートリアルに参加するのは……フェリシアとレイニール……ディーテ……イーリスさん、ヨサフィーナさん、クラーラさん、ロヴィーサさんの【ハイ・エルフ】の古老達……【サンタ・グレモリア】辺境伯のアリス……アリスの重臣であるグレースさん、スペンサー爺さん、パーシヴァルさんの3人……元コンラード家執事で現【サンタ・グレモリア】官僚の責任者であるオスカーさん……元【ブリリア王国】第3王子で現アリスの家来のウィリアム……駅馬車隊長のケネスさん、副駅馬車隊長のザックさん……領軍副官のハビアー爺さん……衛士長のナイジェル爺さん、副衛士長のイェーツ爺さん……料理長ジェレマイアさんとメイド長キャリスタさん夫妻……牧童のルパート……【サンタ・グレモリア】の聖職者で病院スタッフの中心メンバーでもあるケイト、ローレン、モリーの3人……世界銀行ギルド副頭取で、私の参謀をしてくれているピオさん……私の【眷属】のナディア……の計26人だ。
「ほお〜、この街は、なかなか良いの〜。それに、何やら既視感があるのじゃ」
ソフィアちゃんが神殿の窓から【サンタ・グレモリア】を見降ろして言う。
「【タナカ・ビレッジ】と、どこか似たような雰囲気がありますね」
サウス大陸の守護竜である、ファヴ君が言った。
「それじゃ!城壁や堀の規模や建築様式がソックリじゃ。あの鋸壁の狭間が細く、U字型に揃えられておる所などは、全く同じじゃ。尖塔の型も同じじゃ。ノヒトとグレモリーは、同じ建築学派のようじゃな?」
私とナカノヒトは、元同一自我なので、造るモノが似るのは、当然と言えば当然。
私は、ナイアーラトテップさんから、いつも……グレモリーさんの建てる建造物は豆腐建築ですね……って言われていた。
ならば、私とナカノヒトの建築様式を名付けるなら、さしずめ豆腐様式だね。
アリス、スペンサー爺さん、パーシヴァルさん、ピオさんが、ナカノヒト達を迎える為にやって来た。
「よ、ようこそ、おいで下さいました。【神竜】様、【ファヴニール】様、【調停者】ノヒト・ナカ様。自由街【サンタ・グレモリア】の辺境伯を拝命しておりますアリス・アップルツリーでございます」
アリスは恭しく礼を執る。
アリスは綺麗なカーテーシーで挨拶をしながら、かなり戸惑っている様子。
ま、突然、【神格者】が3柱も訪問して来れば、そういう反応になるよね。
「ソフィアじゃ」
ソフィアちゃんが手を上げて言った。
「【ファヴニール】です。僕の事は、ファヴ、と呼んで下さい」
ファヴ君は言う。
「よろしくお願いします。私も、ノヒト、と呼んで下さいね」
ナカノヒトが微笑んで言った。
「か、畏まりました」
アリスは、多少、顔を引きつらせながら言う。
「ソフィア様、ノヒト様、お久しぶりでございます。ファヴ様、お初に、お目にかかります。世界銀行ギルド副頭取のピオでございます」
ピオさんが挨拶した。
そう言えば、ピオさんは、ナカノヒトと面識があるような事を言っていたよね。
「うむ、久しいの」
「お久しぶりです」
「始めまして、ファヴです」
それぞれ、略式儀礼で簡単な自己紹介をして、と。
「グレモリー様。あのう……艦隊は?」
アリスが、怖ず怖ずと訊ねた。
「今日の夜までには持って来れる事になったから、安心して良いよ。こっちの様子は、どう?」
「あ、はい。マクシミリアン王陛下の方は、ノラリクラリと上手く時間稼ぎをしているようです。朝便の駅馬車でやって来た治療を希望する患者さんは、ご指示の通り、入院してもらっています」
「あ、そう。マクシミリアンの優柔不断さは、こういう時には役に立つね。患者さんは、私が後で診るよ」
「お願い致します」
「じゃあさ、ノヒトは、私がチュートリアルをやっている間に、こっちの事は、適当にやっちゃって良いからね」
私はナカノヒト達に向かって言う。
ナカノヒトは、私がチュートリアルをしている間に、【サンタ・グレモリア】の城壁強化などをしてくれる事になっていた。
戦争が始まろうとしている現状、それは有り難い申し出だっから、一も二もなくお願いしたのだけれど……。
これは、何か、お礼をしなければならないね。
ゲームマスターに借りを作ったままなのは、よろしくない。
「わかりました」
ナカノヒトは頷いた。
「アリスは、ノヒト達のサポートと、村人……あ、街人さん達に広報と周知。グレースさんは、チュートリアルに参加するメンバーを集めて説明する。じゃあ、よろしく」
「ノヒト様のサポートとは?何をすれば良いのでしょうか?」
アリスが訊ねた。
「ノヒトは、今から【サンタ・グレモリア】の防衛力強化をしてくれる。必要な物事があれば、ノヒトから依頼があるだろうから、アリスにその対応を任せるよ。ノヒトの指示は、私の指示だと思うように、良いね?」
「畏まりました」
「ソフィアとファヴは、【タナカ・ビレッジ】にいるファミリアーレを【ドラゴニーア】に帰還させて下さい。トリニティは、【サンタ・グレモリア】の防衛警戒を」
ナカノヒトが、矢継ぎ早に指示を飛ばす。
「わかったのじゃ」
「わかりました」
「仰せのままに」
ソフィアちゃん、ファヴ君……他ナカノヒト陣営のメンバーは行動を開始した。
トリニティさんは、尻尾で反動をつけて、シュルッ、と神殿の窓から飛び出して、バサッ、と翼を広げて上空に舞い上がる。
トリニティさんは、幻のレア・キャラ……【エキドナ】だった。
公式設定集に、その存在は示されているけれど、エンカウント率が少ないから、私は遭遇した事はない。
動画サイトで姿が見れたけれど、一瞬だけだった。
【エキドナ】の戦闘力はクッソ強い。
不意を突かれれば、私も簡単にやられるだろう。
もちろん、トリニティさんからサインは貰ってある。
トリニティさんには、ねじくれた2本の角と、口の上下4本の鋭い牙と、皮膜状の翼と、脚はなくて蛇のような尻尾があるから、外見のパーツ1つ1つは多少おどろおどろしい。
でも、造形のバランスが取れているからなのか、全体の容姿は美しい生き物だと思えた。
トリニティさんは、ナカノヒトに【調伏】された従者らしい。
ただし、【超位超絶級】のユニークNPCである【エキドナ】は、【神位】級の【調伏】でも【抵抗】される可能性が高いらしい。
つまり、私には【調伏】は殆ど不可能なレベルで難しいだろうね。
ま、そもそも【遺跡】で【エキドナ】とエンカウントする事自体が超絶レアなんだけれどさ。
「グレモリーちゃん、私は、病院の患者さんを治療して来るわね」
ディーテが言った。
「ありがとう、ディーテ。なら、そっちは頼むよ」
ディーテは、病院に向かう。
私は、アリス達を連れて、【アリス・タワー】に【転移】した。
・・・
【アリス・タワー】の1階ホール。
私は、チュートリアルについて簡単な説明をする。
とりあえず……能力を向上させられる【創造主】からの試練的なモノだ……と言ったら、すんなり受け入れられた。
異世界の住人に対して、ゲームの設定を説明する時は、【創造主】とか守護竜とか、とにかく神様を持ち出せば、ほとんど丸く収まるんだよ。
異世界には神様が実在するからね。
「アリス、スペンサー爺さん、ピオさんは、留守番で、先発グループのチュートリアルが終了し次第、交代でチュートリアルをしてもらうよ。【サンタ・グレモリア】の統治責任者を全員いっぺんに不在にするのは不味いからね」
一同は頷いた。
私は、ナカノヒトと約束した、原則を全員に【契約】させる。
それから、全員の転移適応を調べた。
問題なし。
そうこうしていると、ナカノヒトが戻って来た。
「グレモリー。神の軍団1個小隊の移動を完了しましたよ」
ナカノヒトは言う。
「ありがとう、ノヒト」
私はナカノヒトに、【サンタ・グレモリア】の公職者達を紹介した。
ナカノヒトは、全員と丁寧に挨拶をしてくれる。
「グレモリー。では、防衛体制の構築をしてしまいますね」
ナカノヒトは言った。
「うん、頼むよ。じゃあ、私は、チュートリアルに行くから。諸々、よろしく」
「はい。こちらが終わったら、【ラウレンティア】に迎えに行きます。午後3時に神殿の礼拝堂で」
「午後3時、【ラウレンティア】神殿礼拝堂……了解」
「ふふ……」
ナカノヒトが笑う。
「何?」
「いや、そのスケジュールを復唱して確認する癖。私も同じです」
「あ、そう。ま、当然でしょう?」
「はい」
私とナカノヒトは、2人して笑った。
「さてと、出発するよ」
私は、チュートリアルに参加するメンバーに向かって言う。
一同は頷いた。
私は、【ラウレンティア】港に停泊するサンタ・ルチア号に向かって【転移】する。
・・・
【ラウレンティア】。
サンタ・ルチア号の船内。
おっと、クラッ、と来た。
【転移】は魔力をバカ食いする。
【サンタ・グレモリア】と【ラウレンティア】までという長距離、この人数、既に今日2往復目……さすがに、魔力がキツイか……。
私は【ハイ・エリクサー】を一気飲みする。
瞬時に魔力が満タンになった。
これ、凄い性能だね。
これは、ナカノヒトから大量に買った。
無料で良い……って言われたけれど定価で購入している。
金銭関係はキッチリしたい……特に相手がゲームマスターの場合はね。
サンタ・ルチア号の船長さんが、やって来た。
「グレモリー様。ノヒト様より、ご連絡がありました。定時で出航しても構わない……との事。当船は、間もなく出航致します」
船長さんは言う。
「わかった。ありがとう。私の方は大丈夫だから、出航しちゃって。航行の安全を祈るよ」
「ありがとうございます。また、来月に【サンタ・グレモリア】に参ります。グレモリー様にも、幸運がありますように」
船長さんは敬礼した。
私達は、【ラウレンティア】港に降り立つ。
私、フェリシアとレイニール、ディーテ達【ハイ・エルフ】達で手分けをして、飛べない人達を輸送して【ラウレンティア】港から、【ラウレンティア】の中央神殿に向かった。
・・・
【ラウレンティア】中央神殿。
ナカノヒトかソフィアちゃんから話が通っているらしく、私達は、神殿の聖職者の人達から出迎えられ丁重に遇された。
挨拶と、お礼を言う。
私は、すぐに【ラウレンティア】神殿に転移座標を設置した。
サンタ・ルチア号は出航してしまったので、これをしておかないと【ラウレンティア】に戻って来れなくなるからね。
さてと、早速チュートリアルを開始する事にした。
不安そうな顔をしている人もいるけれど、たぶん問題はないだろう。
チュートリアルをクリア出来なかった、というユーザーの話は聞いた事がないからね。
チュートリアルの入口である転移魔法陣から、みんなを、順番に送り込んで行く。
グレモリー、湖畔の厩舎をキブリの分も建てるけれど良いかい?
ナカノヒトから【念話】で訊ねられた。
ノヒト、許可するよ。
私は【念話】で伝える。
チュートリアルが終わった【ハイ・エルフ】の古老達は、一旦【サンタ・グレモリア】に送り届けた。
【サンタ・グレモリア】の防衛戦力を手薄な状態にはしておけない。
何かあっても、最強のナカノヒト達がいれば、何も心配はないのだろうけれど、【サンタ・グレモリア】の防衛は、第一義的に私の陣営の能力でやるべきだ。
ナカノヒトに頼るのは、私が最善策を取って、それでも足りない時だけ。
スマホにデータ通信が送られて来た。
ナカノヒトからだ。
今度は何だろう?
何かのリストだ。
ん?
これは、つまり、ナカノヒトがやってくれるっていう事かな?
【サンタ・グレモリア】の都市開発。
住宅地の拡張整備。
【サンタ・グレモリア】内の公共交通の整備。
近郊の都市【イースタリア】までの自動運転地下鉄。
サンタ・グレモリア・スクエアの建設。
【サンタ・グレモリア】の産業開発。
農場拡張整備。
稲作の水田化。
クイーンの農業指導。
ウオヴォ・マエストロの養鶏指導。
水産事業の一元集約化。
干物工場拡張整備。
練り物工場拡張整備。
急速冷凍施設整備。
缶詰工場建設。
マリオネッタ工房。
【自動人形】工場建設。
スマホ工場建設。
浮遊移動機の工場建設。
アブラメイリン・アルケミー。
【ハイ・エリクサー】の製造ライン整備。
イーヴァルディ&サンズ。
造船所建設。
【砲艇】の製造ラインの開設。
【対地対空自走砲】の製造ラインの開設。
……くらいでしょうか?……どう思いますか?
ナカノヒトから【念話】で訊ねられた。
色々と造ってくれるみたいだね。
うーむ。
ま、やってくれるなら、頼もうかな?
もちろん、後で対価を支払うよ。
ナカノヒトには借りを作りたくないからね。
よく、わからないモノもあるけれど、丸っと任せるから、思いっきりフルスイングしてくれて構わないよ……でも、それ全部一気に出来ちゃうの?
私は【念話】で伝えた。
一気には、無理ですね……今日の3時まで、それに加えて1日ほどあれば出来るでしょう。
ナカノヒトは【念話】で言う。
それにしても1日半で、それ全部出来るのか……ゲームマスターって、チート過ぎない?
私は【念話】で伝えた。
そうですね。
ナカノヒトは【念話】で言う。
あはは……なら、全部お願い……優先順位は、任せるよ。
私は【念話】で伝えた。
では、農地の拡張と、住宅地の拡張辺りから着手します……それで、まだ余裕があれば私の会社の工場を造ります。
ナカノヒトは【念話】で言う。
うーん、工場の従業員の確保がね……魔法が使えるのが私だけだし、こっちの労働者の識字率は、クッソ低いんだよ……とても、そんな高度な製品を扱うラインの作業には従事出来ないと思う。
私は【念話】で伝えた。
もちろん、プロトコルと【自動人形】・シグニチャー・エディションを投入しますよ……シグニチャー・エディションならラインの管理だけでなく、人材の指導と育成も出来ますので。
ナカノヒトは【念話】で言う。
本当!シグニチャー・エディションって、あのクワランタと同じモデルでしょう?……凄いね……ありがとう。
私は【念話】で伝えた。
あと、港の位置を少しずらしても構いませんか?
ナカノヒトは【念話】で訊ねる。
あー、造船所を造るんだったね?
私は【念話】で確認した。
はい、スペースが足りません。
ナカノヒトは【念話】で言う。
なら……領軍の訓練場を潰して、港とターミナルとドックと造船所のエリアにしちゃって良いよ……で、訓練場は新しく造っておいてくれない?
私は【念話】で伝えた。
了解です……街区は、一辺1kmの正方形、城壁は高さ20m、堀は幅50mに規格統一すれば良いのですね?
ナカノヒトは【念話】で確認する。
そだよ……出来れば、回廊……つまり街道に面して西側に等間隔で新街区を造って行って欲しいんだけれど、出来る?
私は【念話】で訊ねた。
なるほど、輸送効率を考慮してですね……時間的にはギリギリですが、やりましょう。
ナカノヒトは【念話】で言う。
よろしく。
私は【念話】で伝えた。
・・・
私はチュートリアルが終わった人達に順次、泉の妖精からもらった【贈物】の説明をする。
聖職者のケイト、ローレン、モリーの3人は、私の期待通りに【回復・治癒】の魔法に覚醒した。
これで【サンタ・グレモリア】の病院の能力は飛躍的に向上するね。
ケイト、ローレン、モリーの3人は、魔法適性が高かったので、当初から目をかけて医療の技術と知識を丁寧に指導している。
やがて魔法が覚醒した時を見越してだ。
将来的には、彼女達3人が他の聖職者や医療スタッフの指導にも当たれるようになれば良いね。
そこまでは、私が責任を持ってキチンと育成してあげよう。
チュートリアル後の説明を終えた人達は、【サンタ・グレモリア】に送り届け、代わりに留守番組の、アリス、スペンサー爺さん、ピオさんを迎えに行きチュートリアルを受けさせた。
人員の輸送効率は上がっている。
ディーテと【ハイ・エルフ】の古老達も【転移】に覚醒したからだ。
なので、私がナカノヒトから買った【ハイ・エリクサー】をガブ飲みする必要はない。
ナカノヒトの会社が製造する【ハイ・エリクサー】は副作用が全くない優れ物。
【鑑定】で見ても、そのように表示されている。
でも、高価だから節約出来るのは有り難い。
こうして、正午前、予定より早くチュートリアルは、規定の人数を終了した。
お読み頂き、ありがとうございます。
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活動報告、登場人物紹介&設定集も、ご確認下さると幸いでございます。
・・・
【お願い】
誤字報告をして下さる皆様、いつもありがとうございます。
心より感謝申し上げます。
誤字報告には、訂正箇所以外の、ご説明ご意見などは書き込まないよう、お願い致します。
ご意見などは、ご感想の方に、お寄せ下さいませ。
何卒よろしくお願い申し上げます。




