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第337話。コンタディーノ家とシエンツァ家のチュートリアルの結果。

名前…サリエル

種族…【天使(アンゲロス)

性別…男性

年齢…197歳

職種…【死霊術(ネクロマンシー・)(マスター)

魔法…【闘気】、【収納(ストレージ)】、【鑑定(アプライザル)】、【マッピング】など多数。

特性…飛行、【超位回復】、【自己再生能力】、【才能(タレント)死霊術(ネクロマンシー)隷属(スレイブリー)】など。

レベル…99


ベリアルの息子。

 ゲームマスター本部の会議室。


 ソフィア達が合流しました。


「席次は順不同です。適当に座って下さい」


「うむ。わかったのじゃ」

 ソフィアは、下座に着席しようとします。


「ソフィア様は、こちらに、おかけ下さいませ。私共が、そちらに移ります」

 私の近くに座っていたルフィナさんが言って、月虹(ムーンボー)のメンバーが下座に移りました。


「我としては、【ドラゴニーア】の民が軽んじられるような事がなければ、私事の時には、別に席次の上下(かみしも)には拘りはないのじゃが、まあ、せっかく譲ってもらったのじゃから、ありがたく座らせてもらうのじゃ」

 ソフィアは、改めて私の隣にやって来て、オラクルが取り出したハイチェアーにチョコンと座ります。


「グレモリー。子供達は?」


「フェリシアとレイニールは、ハリエットちゃん達に誘われて、映画館に行ったよ。今は不思議の国のアリスが上映されているんだってさ」

 グレモリー・グリモワールは言いました。


 あ、そう。


 次のチュートリアルの結果の確認は、コンタディーノ家の6人です。


 名前…ボニート・コンタディーノ

 種族…【(ヒューマン)

 性別…男性

 年齢…54歳

 職種…【農家(ファーマー)

 魔法…【闘気】、【収納(ストレージ)】、【鑑定(アプライザル)】、【マッピング】

 特性…【才能(タレント)農業(アグリカルチャー)指揮(ダイレクト)

 レベル…19


 コンタディーノ家の家長であるボニートさんは、ソフィア農場の農場長で、主に穀物の生産を担当しながら農場全体を統括しています。

 ボニートさんは、高い技能を持つ農業従事者として、先頃【ドラゴニーア】で制定された、マエストロ制度によって叙勲され、農業マエストロの称号を得ていました。

 熟練値を見ると、農業関連の数値がいずれもズバ抜けていますね。

 正に、農業の(たくみ)といった感じです。

 チュートリアルによって得た新たな【才能(タレント)】は、【指揮(ダイレクト)】。

 日頃から数百人の従業員を率いているのですから、順当ですね。

 特筆すべき事はありません。


 名前…ジリアーナ・コンタディーノ

 種族…【(ヒューマン)

 性別…女性

 年齢…51歳

 職種…【農家(ファーマー)

 魔法…【闘気】、【収納(ストレージ)】、【鑑定(アプライザル)】、【マッピング】

 特性…【農業(アグリカルチャー)】、【才能(タレント)調整(コーディネート)

 レベル…17


 ジリアーナさんは、ボニートさんの奥さんです。

 以前から持っていた【農業(アグリカルチャー)】の【能力(スキル)】に加えて、チュートリアルを経て【調整(コーディネート)】の【才能(タレント)】を得ていました。

 なるほど。


 名前…アルベルティーナ・コンタディーノ

 種族…【(ヒューマン)

 性別…女性

 年齢…32歳

 職種…【経理(アカウンタント)

 魔法…【闘気】、【収納(ストレージ)】、【鑑定(アプライザル)】、【マッピング】

 特性…【才能(タレント)経理(アカウンティング)

 レベル…15


 アルベルティーナさんは、ボニートさんとジリアーナさんの長女で、農場の経理を担当しているそうです。

 なので、チュートリアルを経て【経理(アカウンティング)】の【才能(タレント)】を得ました。


 名前…コジモ・コンタディーノ

 種族…【(ヒューマン)

 性別…男性

 年齢…29歳

 職種…【農家(ファーマー)

 魔法…【闘気】、【収納(ストレージ)】、【鑑定(アプライザル)】、【マッピング】

 特性…【農業(アグリカルチャー)】、【才能(タレント)先導(リーダー・シップ)

 レベル…14


 コジモさんは、ボニートさんとジリアーナさんの長男で、青果物や商業作物を担当しているそうです。

 以前から持っていた【農業(アグリカルチャー)】の【能力(スキル)】に加えて、チュートリアルを経て【先導(リーダー・シップ)】の【才能(タレント)】を得ています。

 長男坊ですから……さもありなん……という感じでしょうか。


 名前…デチモ・コンタディーノ

 種族…【(ヒューマン)

 性別…男性

 年齢…26歳

 職種…【畜産家(ハーダー)

 魔法…【闘気】、【収納(ストレージ)】、【鑑定(アプライザル)】、【マッピング】

 特性…【畜産(ハズバンドリー)】、【才能(タレント)献身(ディヴォーション)

 レベル…13


 デチモさんは、ボニートさんとジリアーナさんの次男で畜産と酪農を担当しています。

 以前から持っていた【畜産(ハズバンドリー)】の【能力(スキル)】に加えて、チュートリアルを経て【献身(ディヴォーション)】の【才能(タレント)】を得ていました。


 家畜の世話は、大変です。

 この世界(ゲーム)は、農業がイージー・モードなのですが、それは農産物に限った話。

 畜産は、地球のそれと、やるべき事が大差ないのです。

 まあ、ソフィア農場がある【ドラゴニーア】は、ソフィアが張る【神位結界(バリア)】の恩恵を受けていますので、飼育されている家畜達は病気に罹患(りかん)し難いですし、家畜伝染病の類も【神位結界(バリア)】が丸っと防いでくれます。

 しかし、それでも、デチモさんは、たくさんいる家畜達の個体個体を完璧に判別して……あの牛は乳の出が悪い……あの豚は産後体調が良くない……あの鶏は足に怪我をしている……あの羊は、そろそろ産気づく頃だ……と、常に気を配らなくてはいけません。

 出産の時期などになれば、デチモさんは寝ずの番をして分娩に備えるはずです。

献身(ディヴォーション)】の【才能(タレント)】が生えるのは当然なのかもしれません。


 名前…エンリコ

 種族…【(ヒューマン)

 性別…男性

 年齢…35歳

 職種…【博士(ドクター)

 魔法…【闘気】、【収納(ストレージ)】、【鑑定(アプライザル)】、【マッピング】

 特性…【農学(アグリカルチャー)】、【才能(タレント)研究(リサーチ)

 レベル…17


 エンリコさんは、アルベルティーナさんの旦那さんで、農学博士。

 日頃、ソフィア農場の手伝いをしながら、論文などを学会に発表したりしているそうです。

 農業学術の学会では、若手のホープとして注目されている存在なのだ、とか。

 とかく経験則に頼りがちになる農業の現場にあって、科学的なアプローチから考察し、ボニートさん達に助言できるエンリコさんの存在は貴重でしょう。


 エンリコさんは、お婿さんです。

 結婚の馴れ初めは、アルベルティーナさんが農業大学に通っている時に、大学院の研究室にいたエンリコさんを逆ナンして、そのまま()()して来たそうです。

 念の為に断っておきますが……捕獲……云々は、私の言葉ではなく、母親のジリアーナさんの言葉ですからね。

 エンリコさんは、以前から持っていた【農学(アグリカルチャー)】の【能力(スキル)】に加えて、チュートリアルを経て【研究(リサーチ)】の【才能(タレント)】を得ていました。


研究(リサーチ)】は900年前であれば、研究職系ならば、持っていても不思議ではない【能力(スキル)】でした。

 ユーザーからは、3つまでと限られている【才能(タレント)】の枠を1つ【研究(リサーチ)】で埋めるのは勿体ない、と言われるほど、ありふれたモノだったのです。


 しかし、現在、NPCに【研究(リサーチ)】持ちは多くありません。

 私とソフィアがオーナーを務めているアブラメイリン・アルケミーの研究者でも、全体の1割もいませんでした。

 少な過ぎます。


 これは、おそらく900年前のユーザー大消失以後、物理学や化学などの自然科学的研究分野が(すた)れてしまい、正しい学術ではない、信仰や宗教や形而上学と融合した偽科学が、世界(ゲーム)の常識となってしまっている事の弊害かもしれません。

 この辺りは、ソフィアやアルフォンシーナさんが、私やミネルヴァやグレモリー・グリモワールからのアドバイスを受けて、目下、急ピッチで教育改革を推し進めて改善に努めているところです。


 名前…ベルナデッタ・アグリコルトゥーラ・コンタディーノ

 種族…【(ヒューマン)

 性別…女性

 年齢…24歳

 職種…【令嬢(レディ)

 魔法…【闘気】、【収納(ストレージ)】、【鑑定(アプライザル)】、【マッピング】

 特性…【気品(エレガンス)】、【才能(タレント)交渉(ネゴシエーション)

 レベル…8


 ベルナデッタさんは、コジモさんの奥さんです。

 彼女は、【リーシア大公国】で大農園を営む貴族アグリコルトゥーラ家から嫁いで来た、ご令嬢でした。

 貴族の姫さまが平民の農家に嫁ぐとか、地球の感覚では意外に思えますが、ソフィア農場は現世最高神である【神竜(ソフィア)】の私有地。

 そこを管理・統括する立場のコンタディーノ家は、解釈のしようによっては、【神竜(ソフィア)】の直臣。

 神の直臣ならば、他国の王にも格式で劣らない名門一族という扱いになるそうです。


 実際、コンタディーノ家の長男であるコジモさんの元には世界中の王家や貴族家や豪商・富豪の類から縁談が舞い込んだのだ、とか。

 その中で、選ばれたのがベルナデッタさんでした。

 彼女が選ばれたのは、ベルナデッタさんの実家が大農園を経営している農業閥の貴族家だったからです。

 まあ、当時お人形さんみたいに可愛らしかったベルナデッタさんにコジモさんが一目惚れしたのが決め手だったようですけれどね。


 結婚当初は、お人形さんのように何も出来なかったベルナデッタさんも、今では、貴族社会で身に付けた社交術でソフィア農場の外渉を担い、商家や企業やギルドや……果ては貴族や王家ですら向こうに回して、バチバチと火花を散らして交渉出来るまでに逞しくなっています。

 なので、ベルナデッタさんは、以前から持っていた【気品(エレガンス)】の【能力(スキル)】に加えて、チュートリアルを経て【交渉(ネゴシエーション)】の【才能(タレント)】を得ていました。


 名前…コンシリア

 種族…【(ヒューマン)

 性別…女性

 年齢…23歳

 職種…【獣医(ヴェテラネリアン)

 魔法…【闘気】、【収納(ストレージ)】、【鑑定(アプライザル)】、【マッピング】など。

 特性…【(ヴェテラネリー)医学(・メディシン)】、【才能(タレント)看護(ナーシング)

 レベル…22


 コンシリアさんは、デチモさんの奥さんです。

 珍しい獣医さんでした。

 この世界(ゲーム)では、【獣医(ヴェテラネリアン)】は希少な職種(ジョブ)なのです。

 大学の獣医学部自体が、世界に数えるほどしかありません。

 家畜の病気などは、ほとんど人種の医師が兼業で診ているのが現状です。

 なので、畜産の専門医療は、かなり立ち遅れている印象でした。

 ソフィア農場に専門の【獣医(ヴェテラネリアン)】がいる事は、頼もしいですね。

 コンシリアさんは、以前から持っていた【(ヴェテラネリー)医学(・メディシン)】に加えて、新たにチュートリアルで【看護(ナーシング)】の【才能(タレント)】を得ています。


 私からチュートリアルの説明が終わるとソフィアから、コンタディーノ家に日頃の働きへの労いと賞賛が送られました。

 コンタディーノ家の面々は、感涙に咽び泣きながら、頭を下げています。

 自分達の主人で、国家元首で……なおかつ自分達の信仰する神様から直接慰労されて褒められたのですから、それは嬉しい事でしょう。


 さてと、お次は、シエンツァ家です。


 名前…ジリオ・シエンツァ

 種族…【エルダー・ホビット】

 性別…男性

 年齢…60歳

 職種…【(ヴァイス)社長(・プレジデント)

 魔法…【闘気】、【収納(ストレージ)】、【鑑定(アプライザル)】、【マッピング】

 特性…【洞察力(インサイト)】、【才能(タレント)業務(タスク・)処理(トランザクション)

 レベル…27


 ジリオさんは、ソフィア・フード・コンツェルンの最高執行責任者(COO)です。

 元は、サウス大陸西方国家【オフィール】商務省の高級官僚でした。

 ジリオさんは、女王に諌言(かんげん)し、投獄された経歴もある剛毅な気質の人です。


【オフィール】は、サウス大陸奪還作戦の最終盤、そのドサクサに紛れて兵を動かし【ムームー】の半分を自国の版図に組み込もうと画策する陰謀に加担しました。

 陰謀は、私が叩き潰しましたが……。

 その陰謀にはサウス大陸の東方国家【ティオピーア】も加担しており、陰謀の黒幕で首謀者は【アトランティーデ海洋国】のイングヴェ第2王子だったのです。

 その陰謀を知ったジリオさんは【オフィール】の国内で、女王に陰謀の背理を説き必死に()めさせようとしたのだ、とか。

 陰謀は失敗に終わり、【オフィール】の女王はクーデターに倒れました。

 なのでジリオさんは無事でしたが、女王に処刑されていてもおかしくなかったのです。


 生命を懸けて女王に意見するとか……本当に気骨がある役人ですね。

 なかなか出来る事ではありません。

 ソフィアも、その逸話を聞いてジリオさんの事を、いっぺんに気に入ってしまったのです。


 クーデターで女王が倒れ新しい政権が発足した後、ジリオさんは、牢獄から出されて新政権に参画する事を打診されました。

 ジリオさんは、有能な官僚だったからです。

 しかし、【オフィール】の新政権が、国際法や国際規範を蔑ろにする姿勢を見せていた為に、ジリオさんは再び、新政権の有り様を激しく批判しました。

 その結果、また投獄されそうになった為、ジリオさんは、今度は家族を連れて、隣国【アトランティーデ海洋国】に亡命。

 その時に優秀な人材を探していた、ソフィアとソフィア・フード・コンツェルンの最高経営責任者(CEO)であるヴァレンティーナさんから誘われて【ドラゴニーア】にやって来たのです。

 ジリオさんは、ヴァレンティーナさんの大学の同期でした。

 ヴァレンティーナさんの方が、かなり若いのですが、それはヴァレンティーナさんが何学年も飛び級しているからです。


 ヴァレンティーナさんもビジネスに関わる事は、【神格者】であるソフィアに対してでさえ臆せず意見を言います。

 もしかしたら……自分の意見を堂々と主張する……というのは、ヴァレンティーナさんやジリオさんなどの種族である【ホビット】に共通する性質なのかもしれませんね。


 とにかく、ソフィアとヴァレンティーナさんは、有能な人材を確保する事が出来た訳です。


 名前…シメネーラ・ビョルルンド・シエンツァ

 種族…【ダーク・エルフ】

 性別…女性

 年齢…50歳

 職種…【呪医(カニング・フォーク)

 魔法…【闘気】、【回復(リカバリー)治癒(ヒール)】、【収納(ストレージ)】、【鑑定(アプライザル)】、【マッピング】など。

 特性…【才能(タレント)調合(プレパレーション)回復(リカバリー)治癒(ヒール)

 レベル…23


 シメネーラさんは、ジリオさんの奥さんです。

 薬学の知識と【調合(プレパレーション)】の素養があるので、アブラメイリン・アルケミーで雇う事にしました。

 私がソフィアに頼まれたのです。

 シメネーラさんは、【オフィール】で【呪医(カニング・フォーク)】として働いていました。

呪医(カニング・フォーク)】は、町医者、兼、薬剤師のような仕事です。

【ドラゴニーア】では、医師、薬剤師は【ドラゴニーア】の国家資格がなければ開業出来ない法律がありました。

【ドラゴニーア】での資格を持たないシメネーラさんは、開業が出来ません。

 シメネーラさんは、独立心が強い自立した女性です。

 働き口をヴァレンティーナさんに紹介してもらおうとしました。

 なので、私がアブラメイリン・アルケミーの研究員という形で雇用する事にしたのです。

 アブラメイリン・アルケミーの主任研究員は、ファミリアーレのリスベットがしていました。

 リスベットは優秀でしたが、いかんせん経験が足りていません。

 ベテランのシメネーラさんが近くにいれば、リスベットも心強いでしょう。


「ビョルルンド……」

 ディーテ・エクセルシオールが首を傾げていました。


「ん?ディーテ、シメネーラさんの事を知っているの?」

 グレモリー・グリモワールが訊ねます。


「シメネーラさん個人の事は知らないわ。でも、ビョルルンド家は、【ユグドラシル連邦】の一翼を担う【ダーク・エルフ】の国【スヴァルトアールヴヘイム】の名門貴族家よ。何代にも渡って【スヴァルトアールヴヘイム】の宰相や大臣を輩出していたはず」

 ディーテ・エクセルシオールは言いました。


「へえ、ならシメネーラさん()貴族家の人なんだね?」

 グレモリー・グリモワールは訊ねます。


 ベルナデッタさんも貴族の、ご令嬢ですからね。


 何故か、ジリオさんとシメネーラさんは、青い顔をして(うつむ)いていました。


「でも、確か、ビョルルンド家の本家直系の娘が、【ホビット】族の男と駆け落ちしたって噂があるわね……」

 ディーテ・エクセルシオールが、ジリオさんを見つめます。


 それを聴いて、シメネーラさんは、小さく息を吐きます。


「ディーテ様の仰る通りです。私が、その駆け落ちした娘でございます」

 シメネーラさんは言いました。


「やっぱりね」

 ディーテ・エクセルシオールは言います。


「ディーテ様。どうか、お見逃し下さいませ」

 シメネーラさんは、跪いて懇願しました。


 ジリオさんも跪きます。


「ビョルルンド家のシメネーラ。あなた今、幸せ?」

 ディーテ・エクセルシオールは訊ねました。


「はい。家族3人、幸せに暮らしております」

 シメネーラさんは答えます。


「なら、私が、家庭の事情に口出しする事ではないわね。犯罪を犯して国外逃亡している訳でもないし。あなたが幸せなら、それで良いわ」

 ディーテ・エクセルシオールは言いました。


「「ありがとうございます」」

 シメネーラさんとジリオさんは深々と頭を下げて感謝します。


「ビョルルンド家と、【スヴァルトアールヴヘイム】の王家には、私から伝えておきましょう。シメネーラは、【調停者】ノヒト様の事業に携わっていて、夫のジリオは、【神竜(ソフィア)】様の事業に携わっている。これは、この上なく名誉な事だから、ジリオとシメネーラの結婚を祝福するように、って」

 ディーテ・エクセルシオールは、大岡裁きばりの温情裁定で、ジリオさんとシメネーラさんの結婚を後押ししました。


【エルフヘイム】や【スヴァルトアールヴヘイム】では、伝統的に異種族婚に消極的です。

 なので、ジリオさんとシメネーラさんは、駆け落ちしなければならなかったのでしょう。

 それは、多少の種族差別的な考えもあるかもしれませんが、本質的には、()()()()という合理的な考えから来ています。


 この世界(ゲーム)では、【(ヒューマン)】は、あらゆる人種と問題なく繁殖する事が出来ました。

 しかし、【(ヒューマン)】以外の異種族間では、出生率が極端に下がってしまうのです。

 つまり、【ホビット】族のジリオさんと、【ダーク・エルフ】のシメネーラさんが結婚すると、子供が産まれず子孫が絶えてしまう可能性がありました。

 なので、シメネーラさんの実家であるビョルルンド家は、2人の結婚に反対したのだと思います。

 幸運な事に、ジリオさんとシメネーラさんは、子宝に恵まれましたが、それは結果論。

 実家が結婚に反対したのも致し方ない面はあるのでしょう。


「ジリオさん、シメネーラさん。必要があれば、私からも口添えしますよ」


「我も、ジリオは必要な人材なのじゃ。【スヴァルトアールヴヘイム】には、我からも頭を下げてやるのじゃ」

 ソフィアは言いました。


「「ありがとうございます」」

 ジリオさんとシメネーラさんは頭を下げて感謝します。


 ディーテ・エクセルシオールは、【ユグドラシル連邦】では伝説的英雄ですし、また【神格者】である私とソフィアからも頼めば、【スヴァルトアールヴヘイム】の王家も、シメネーラさんの実家ビョルルンド家も、2人の結婚を認めざるを得ないでしょう。

 権威を利用して圧力をかけるのは、あまり好きではありませんが、こういう場合は良いでしょう。


 さてと、最後は、ジリオさんとシメネーラさんの一人娘……イフォンネッタさんのステータス確認ですね。


 名前…イフォンネッタ・シエンツァ

 種族…【ホビットとダーク・エルフの混血(ハーフ)

 性別…女性

 年齢…25歳

 職種…【医療(メディカル)魔法士(・マジシャン)

 魔法…【闘気】、【回復(リカバリー)治癒(ヒール)】、【収納(ストレージ)】、【鑑定(アプライザル)】、【マッピング】など。

 特性…【才能(タレント)回復(リカバリー)治癒(ヒール)

 レベル…11


 イフォンネッタさんは、魔法の高い素質を持っていました。

医療(メディカル)魔法士(・マジシャン)】とは、信仰対象への祈りや洗礼なくして魔法適性に自力覚醒した者を指す職種(ジョブ)で、高い素質がなければ発生しないレア職なのです。

回復・治癒職(ヒーラー)】は、守護竜への信仰心があり、神殿などで適切な指導を受ければ、NPCでも比較的簡単に魔法適性が覚醒しました。

 あくまでも、比較の話であって、素質がなければ誰でもという訳ではありません。


 しかし、守護竜への信仰を前提とせずに、【回復・治癒職(ヒーラー)】へと自力覚醒するのは、稀です。

 相当な潜在能力(ポテンシャル)がなければ無理でしょう。

 つまり、イフォンネッタさんは、天才です。

 私が多少指導をすれば、イフォンネッタさんなら、超高度な技術を持つ【医療魔法(メディカル・マジック)(・ミストレス)】にだってなれるでしょう。

医療魔法(メディカル・マジック)(・ミストレス)】は、守護竜への祈りの恩恵によるブーストが受けられず魔力的に厳しいという弱点はありますが、その代わりに医療行為全般に上方補正が掛かりました。

【超位】級にまで至ると、患者さんの寿命が尽きたのでなければ、例外なく死病や致命傷ですら完治させられるのです。

【超位】の【医療魔法(メディカル・マジック)(・ミストレス)】は医療行為に限れば、スペック上、グレモリー・グリモワールやアルフォンシーナさんを超える能力があるでしょう。


 これは、将来が楽しみな逸材ですね。


「ソフィア様、ノヒト様。私をファミリアーレに入団させて下さい」

 イフォンネッタさんが突然、爆弾発言をしました。

お読み頂き、ありがとうございます。

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・・・


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