第333話。チェレステ女王の即位・戴冠式。
名前…ラグエル
種族…【天使】
性別…女性
年齢…195歳
職種…【医療魔法師】
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、【超位回復】、【自己再生能力】、【才能…回復・治癒、看護】など。
レベル…99
ルシフェルとラファエルの娘。
サウス大陸【ムームー】。
王都【ラニブラ】王城。
私達は、大挙して【ラニブラ】に到着しました。
【ムームー】の国家宰相であるキアッフレード・プルヴィレンティさんが、私達の饗応に当たってくれています。
まず初めに、レジョーネが王城の、守護竜の間、という名が付いた最も格式が高い壮麗な部屋に案内されました。
私達の後で、各大陸の首席使徒……次に各国に元首クラス……というふうに格式順に控え室に案内されて行くそうです。
レジョーネが通された、守護竜の間、は、女王が御する玉座の間よりも格式が高い、【ムームー】で最も重要な要人を接遇する場所です。
いわば、神の専用部屋。
実は、レジョーネは、この部屋を以前から……自由に使って下さい……と、キアッフレードさんから、言われていました。
まあ、豪華過ぎて気が休まりませんし、必要もないので、今まで使う事はありませんでしたが……。
因みに、【ドラゴニーア】の竜城のソフィアの寝室は、この部屋より広くて豪華です。
私は、その部屋には立ち入った事はありませんが、ソフィアの脳に共生するフロネシスとパスが通じていますので内部を見て知っていました。
あそこは、とんでもない部屋です。
飛行場くらいの広さがありました。
部屋の広さが、竜城の区画の容積と計算が合わないので、多分、亜空間フィールドになっているのだと思います。
その広大な寝室の真ん中に、ソフィアの巨大なベッドが置いてありました。
ソフィアが【神竜】形態に現身しても、ゆったりと眠れる100mはあろうかというベッドです。
そこで、ソフィアは、いつも人化した小さな幼稚園児の姿で寝ていました。
私は庶民気質が染み込んでいるので、あんな部屋で寝起きしたら、逆に落ち着かないと思いますね。
ゲームマスター本部の自分のオフィスでさえ、広過ぎて持て余し気味です。
閑話休題。
しばらくして、ファヴ、ウィルヘルミナが守護竜の間にやって来ました。
彼らは、私達とは別行動で【パラディーゾ】で、何やら、チェレステ女王の即位・戴冠式に関連した神事なるモノを執り行っていたのです。
「ファヴ。お疲れ様」
「なのじゃ」
ソフィアが言いました。
「お疲れ様です」
ファヴは答えます。
おや?
ファヴの背後に控えるウィルヘルミナが、大切そうに冠を持っていました。
「その冠は、もしかして?」
「はい。チェレステに与える王冠です。この王冠のクラウン・ジュエルに祝福を与える神事を【パラディーゾ】で行なっていました」
ファヴは、言います。
ふーん。
そのような事が行われていたのですね。
チェレステさんの王冠はティアラのようなタイプでした。
チェレステさんは【ドラゴニュート】ですから、角が生えています。
頭をスッポリ覆うタイプの王冠は被れませんからね。
王冠のクラウン・ジュエルは、【竜石】と呼ばれる、この世界で最も美術的価値があるとされている宝石です。
漆黒の石で、透明感があり、内部に銀河のような模様が浮かんでグルグルと渦巻いていました。
神秘的な宝石です。
何でも……守護竜にしか創り出せない物質……なのだ、とか。
900年前のゲーム時代、この【竜石】は、ごく稀に市場にも出て来る事がありました。
目玉が飛び出るほど高価なのですよね。
買った事はありません。
しかし、ダイヤモンドなどと同じ、単なる宝石の類であり、魔力親和性などでは【魔法石】に性能面で大きく劣る為、ユーザーが、この宝石を有り難がる事はなく、専らNPCが欲しがる贅沢品という位置付けでした。
オークションなどでは、ほとんど全て、各国の王や皇帝などが買い求めていたと記憶しています。
ユーザーにとっては超高額で換金可能なアイテムとして、守護竜の降臨イベントで、もらう事が出来ました。
しかし、守護竜降臨イベントで、【竜石】をもらうユーザーは、ほとんどいません。
他の用途には、あまり役に立たない単なる換金アイテムですからね。
守護竜を降臨させて【竜石】をもらうなど勿体ない……他の選択をして、強化に繋がるような高位階の魔法をもらったり、冒険に役立つような高性能の【神の遺物】をもらう方が、ずっと良いからです。
ただし【竜石】には……守護竜の祝福により、持ち主に幸運を与える効果が付与される……という設定がありました。
ウィルヘルミナが持つ王冠を【鑑定】で見ると、やはり……幸運値が上がる……というアイテムの説明が表示されています。
なるほど。
あの設定は、設定集に記述された単なる文章だけのモノではなく、実際のギミックとして効果を発揮するモノでしたか……。
私も知りませんでした。
さてと、式次第によると、そろそろ呼ばれる頃でしょう。
「ファヴ様、ソフィア様、リント様、ノヒト様、皆々様……どうぞ、ご入場を、お願い致します」
近衛竜騎士の方が、私達を迎えに来ます。
「さあ、行くのじゃ」
ソフィアが先頭に立って、歩き出しました。
・・・
【ラニブラ】王城。
玉座の間。
私達は、玉座の間に繋がる控え室で待機しています。
先に、オラクル、ヴィクトーリア、ティファニーは、別の入口から玉座の間に入場して行きました。
つまり、この控え室にいるのは、私、ソフィア、ファヴ、リント、トリニティ、ウルスラ、ウィルヘルミナ。
やがて、私達は、順番に呼び込まれました。
ソフィア、ファヴ、リントは、このタイミングで、守護竜形態に現身します。
「英明なる【妖精女王】……ウルスラ様」
「高貴なる【調停者】代理……トリニティ様」
「慈愛の女神、ウエスト大陸守護竜、【サントゥアリーオ】国家元首……【リントヴルム】様」
「理知の神、サウス大陸守護竜、【パラディーゾ】国家元首……【ファヴニール】様」
「至高の叡智を持つ天空の支配者にして現世最高の女神、セントラル大陸守護竜、【ドラゴニーア】国家元首……【神竜】、ソフィア様」
「【創造主】の御使……【調停者】、ノヒト・ナカ様」
本来、チェレステさんが座るはずの玉座は高台から取り払われ、そこには祭壇のようなモノが設えてありました。
祭壇の下に、トリニティとウルスラが並びます。
祭壇の上、中央にソフィア、左右にファヴとリントが並びました。
で……私は?
座席が用意してありませんし、床にバミリもしてありません。
ノヒト様は、ソフィア様の後ろでございます。
アルフォンシーナさんが【念話】で教えてくれました。
ありがとうございます……助かりました。
私は【念話】で、お礼を伝えます。
ソフィアがデカ過ぎて、何も見えん……。
私は、パスを通じてトリニティの視点で会場を見渡しました。
玉座の間の低い場所には、たくさんの要人が居並んでいます。
席次は、格式順。
列席者は、全員、跪いていました。
最前列には、各大陸の首席使徒クラスが居並んでいました。
セントラル大陸の大神官アルフォンシーナさん、サウス大陸の大巫女ローズマリーさん、ウエスト大陸の法皇ティファニーもそこにいます。
初めて見る、ノース大陸の大祭司と、イースト大陸の大僧正もいました。
ノース大陸の大祭司は、ディーテ・エクセルシオールの娘さんです。
後列には、各国の元首クラスが勢揃いしています。
ゴトフリード王、マクシミリアン王、リーシア大公、エクストリアなどは、ここにいました。
チラホラと空席がありますね。
【サントゥアリーオ】の女王となる予定のディオクレスタさんは……まだ即位前なので出席資格がない……というのは、リントから聞いています。
ディオクレスタさんは、女王の格式ではなく、一貴族として後列の方に並んでいました。
他にも【ザナドゥ】や、【ヨトゥンヘイム】は、招待されたものの欠席。
しかし、国家元首の全権代理として大使は参加しているようでした。
この世界では、礼を失すれば戦争の口実となる事もあり得るので、いくら仲が悪い国同士でも最低限の外交マナーは守る訳です。
【ティオピーア】や、【オフィール】などは、国交断絶されているので、そもそも招待がされていません。
さらに後列には、各国の王家の人々や、リーンハルト公爵やアリス侯爵などの各国の貴族が居並びます。
だいぶ後ろの方で、グレモリー・グリモワールと2人の養子、それからディーテ・エクセルシオールと4人の【ハイ・エルフ】の古老達の姿も見えますね。
んー、オラクルとヴィクトーリアの姿が見えませんが……。
あ、いたいた。
私達のいる高台の直下の位置で、跪く各国要人に向き合うように立っていました。
どうやら、ソフィアの従者という扱いになっているようです。
ティファニーは、こちらではなく、法皇の位置なのですね。
なるほど。
「皆の者、起立を許す」
ファヴが厳かに言いました。
居並ぶ要人達が、立ち上がります。
「【ドラゴニーア】神竜神殿の【高位女神官】チェレステ、此れへっ!」
ファヴが言いました。
「はい」
チェレステさんが、玉座の間の後ろの扉から入場して来ます。
チェレステさんの背後には、宰相のキアッフレードさんと、【ムームー】近衛竜騎士団長のゼイビアさんが続いて歩いて来ました。
キアッフレードさんとゼイビアさんは、高台の手前で左右に分かれて、壁際に整列する【ムームー】の官僚達と、近衛竜騎士団の列に並びます。
チェレステさんは、高台の正面階段を、一歩一歩、噛みしめるように登って来ました。
最上段に登ったチェレステさんは、ファヴの前に跪きます。
「守護竜たる【ファヴニール】様に謹んで申し上げます。私、チェレステは、世界の理と法を守り、【ムームー】女王の職責を忠実に遂行し、全力を尽して【ムームー】の国民の生命と財産を守ることを厳粛に、お誓い致します。【誓約】」
チェレステさんは宣誓しました。
「よろしい。チェレステを【ムームー】女王に任ずる。【指名】」
ファヴは、チェレステさんを女王に指名します。
【鑑定】で見ていると、ファヴが【指名】した瞬間にチェレステさんのステータス表示が以前のモノと変わりました。
私がチェレステさんと初めて会った……つまり秘書官さんと呼んでいた時のステータスは……。
名前…チェレステ
種族…【ドラゴニュート】
性別…女性
年齢…50歳
職種…【高位女神官】
魔法…多数。
特性…飛行、【神竜の使徒】、【才能…業務処理】
レベル…45
こうでした。
で、チェレステさんが【ムームー】の新女王となる事が決まった……つまり【ドラゴニーア】でアルフォンシーナさんに付いて帝王学研修が始まった時のステータスは……。
名前…チェレステ・ムームー
種族…【ドラゴニュート】
性別…女性
年齢…50歳
職種…【女王】
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、【ファヴニールの使徒】、【才能…業務処理、威風】
レベル…45
こうでした。
因みに、これはグレモリー・グリモワールによってチェレステさんがチュートリアルを受けた後のステータスです。
そして、ファヴに【指名】された、今のステータスは……。
名前…チェレステ・ムームー
種族…【ドラゴニュート】
性別…女性
年齢…50歳
職種…【女王】
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、【ファヴニールの使徒】、【才能…業務処理、王威、王権】
レベル…45
と、成っています。
ふむふむ、なるほど。
つまり、同じ【女王】でも、ファヴ(守護竜)の【指名】を受ける前の手続き上の女王格と……ファヴ(守護竜)の【指名】を受けた後の王権神授された女王格では、【王威】と【王権】が得られるか、どうか、という違いがある訳ですね。
このタイミングで、最後まで控え室で待機していたウィルヘルミナが王冠を持って入場して来ました。
ウィルヘルミナは、跪き、王冠をファヴに差し出すように捧げ持ちます。
ファヴが王冠を【理力魔法】で空中に浮かべ……ゆっくりと、チェレステさんの頭に被せました。
守護竜の巨大な手では、王冠が小さ過ぎて、持ち難いからでしょう。
すると、チェレステさんの周囲に光の粒子が降り注ぎました。
おー、何だか、神秘的な光景です。
これは、ファヴが、チェレステさんに祝福を与えているのですね。
ソフィア、リント、ウルスラも、チェレステさんに祝福を与えていました。
ならば、私も祝福してあげましょう。
「【祝福】」
私は、守護竜や妖精が持つ種族特性としての祝福を持っていないので、魔法による【神位】の【祝福】を詠唱しました。
私……【祝福】って、初めて使いましたよ。
ゲームマスターの業務では、大概、【神の怒り】とか【最後の審判】とか殺伐とした物騒な魔法ばかり使って来ましたからね。
こういう平和な魔法も、たまには良いでしょう。
ん?……ノヒトよ、其方、今、何をしたのじゃ?
ソフィアが【念話】で訊ねて来ます。
ん?……【祝福】ですが、何か?
私は【念話】で訊ね返しました。
ノヒトよ……それは、【神位魔法】の【祝福】じゃろう?……効き目が強過ぎるのじゃ……我ら守護竜も、そんな強力な祝福は行えぬ……ホレ、見てみよ……チェレステは、存在が【聖格】に昇華してしまったのじゃ。
ソフィアは【念話】で伝えて来ます。
あ……詠唱魔法での【祝福】は、一般の設定上は【超位】が最高でした。
守護竜や妖精の祝福は、最高位が【神位】ですが、それは【任意発動能力】扱い……。
つまり、詠唱魔法の【神位祝福】は、守護竜ですら持っていません。
ソフィアの言うところによると……【任意発動能力】の【神位】の祝福よりも、詠唱魔法による【神位祝福】の方が強力……。
ははは……これは、もしかして、またやらかしてしまいましたか?
ミネルヴァ……不味い事になりました……どうしましょう。
私は【念話】で、ミネルヴァに助けを求めました。
チーフ……【超神位魔法】ではなく、たかが【神位魔法】です……何も問題はありませんよ。
ミネルヴァは【念話】で答えます。
あ、そう。
ならば良し。
ソフィア……問題ありません……これは、つまりサービスです。
私は【念話】でソフィアに伝えました。
そうか……有難い事なのじゃ……チェレステに変わって礼を言うのじゃ……ノヒトよ、ありがとう。
ソフィアは【念話】で、言います。
いえいえ、どういたしまして。
私は【念話】でソフィアに伝えました。
ん、待てよ……私しか使えない詠唱魔法の【神位祝福】を行使したら、チェレステさんは、【聖格者】に昇華したのですよね?
私には、まだ、この上に【超神位魔法】による【祝福】もあるのですが……。
これは……私は、今、とんでもない発見をしてしまったのでは?
ミネルヴァ……もしかして、ですが……【超神位魔法】の【祝福】を行使したら、人種を【神格】に昇神させたり出来るのでは、ありませんか?
私は【念話】でミネルヴァに訊ねました。
【神格】は、生まれながらの位階ですので、後天的に昇神するなどという事は設定上あり得ませんが……種族の【器】の限界を超えた強力な【聖格者】を生み出せると推定します……おそらく、人種に行使すれば、基礎戦闘力のベースで、トリニティやルシフェルのクラスにまでは強化されるでしょう。
ミネルヴァは【念話】で伝えて来ます。
んー……あのさ、なら、トリニティに【超神位魔法】の【祝福】を行使したら、どうなるのかな?
私は【念話】で訊ねました。
計算します……おそらく……トリニティは、基礎戦闘力ベースで、ファヴさんやリントさんに比肩する存在になりますね。
ミネルヴァは【念話】で伝えて来ます。
うわー、マジか……トリニティを強化したいのですが……やっても良いですか?
私は【念話】で、ミネルヴァに、お伺いを立てました。
トリニティは、既にゲームマスター代理です……トリニティに対する【超神位魔法】の行使は承認します。
ミネルヴァは【念話】で伝えて来ます。
あ、そう。
なら、後で、やりましょう。
しかし、基礎戦闘力ベースで守護竜並みに強化されるとか……半端ではありません。
ソフィアは、守護竜の12倍(ソフィア10倍+フロネシス2倍)ですので別格ですが……。
【超神位魔法】の【祝福】……平和な魔法どころか、超ヤバいですね。
これは、大発見です。
ただし、トリニティの基礎戦闘力が守護竜並みにブーストされても、即ち、強さがファヴやリントと同等にはなり得ません。
【神格】でないトリニティは、【神位魔法】が使えないからです。
しかし、【超・超位魔法】を瞬時に10連発とか、撃てるようになるのではないでしょうか……。
もはや、魔力切れなどを心配せず、ズンドコ、ズンドコ、強力な魔法を撃ちまくれます。
途轍もなく強化されるのは、間違いありません。
【神位祝福】も【超神位魔法……祝福】も軽々しくやるべきではありませんね。
チュートリアル以上に慎重な運用をしなければいけないでしょう。
とりあえず、トリニティに【超神位魔法……祝福】を行使する事は決定。
これは、ゲームマスターの遵守条項がありますので、現状、他の者に使う事は出来ません。
一段劣る【神位祝福】を、ファミリアーレやグレモリー・グリモワールに行使してみましょう。
この時、私は、一つの疑問……というか、興味を抱きました。
ミネルヴァ……もしもソフィアに【超神位魔法……祝福】を行使したら、どうなるのでしょうか?
私は【念話】で、ミネルヴァに訊ねます。
設定上、変化はないと推定出来ます。
ミネルヴァは【念話】で答えました。
つまり、ソフィアは、既に基礎戦闘力が限界値までカンストしているから、ですか?
私は【念話】で訊ねます。
それもありますが、それだけではありません……【祝福】とは上位者が下位者に与える恩恵です……チーフとソフィアさんは同格……【祝福】の仕様から言って、ソフィアさんには最上位階である【創造主】しか【祝福】での影響を及ぼせないと推定出来ます。
ミネルヴァは【念話】で答えました。
なるほど。
ゲームの設定上、理に適った推論です。
ならば、ファヴやリントは?
私は【念話】で訊ねました。
おそらく強化されるでしょう…………ファヴさんや、リントさんの位階は、チーフやソフィアさんより一段が下がります……つまり、チーフの【祝福】は、ソフィアさん以外のプレイヤー・キャラには全て影響を及ぼせると推定されます。
ミネルヴァは【念話】で答えます。
なるほど。
確かに、ウルスラの祝福も、私やソフィアには効果がありませんでした。
しかし逆ならば……効果はある……という理屈なのでしょう。
ファヴやリントは、どのくらい強化されますか?
私は【念話】で訊ねました。
【神位祝福】は施行してみなければわかりませんが、おそらくは微増でしょう……【超神位魔法……祝福】は最大でも10倍には満たないだろうと推定します……この推定の根拠は、ソフィアさんのステータス値を超える強化は、ゲーム設定上あり得ないからです。
ミネルヴァは【念話】で答えます。
わかりました……ミネルヴァ、ありがとう。
私は【念話】で礼を言いました。
チーフ……守護竜を強化するのは慎重に検討して下さいね……守護竜は人種の庇護者……チーフは世界の理の管理者であり執行者……場合によっては、チーフと守護竜は、利害が対立する事もあり得ますので……もちろん、チーフが、ゲームマスター権限を行使して、どうしても、と言うなら、私は無条件で従いますが。
ミネルヴァは【念話】で懸念を伝えて来ます。
ミネルヴァ……わかっていますよ……現状、トリニティ以外に【超神位魔法】の方の【祝福】を行使するつもりはありません……ソフィア達を仮説に持ち出したのは、純粋に考察の為です……心配しないで下さい。
私は【念話】で伝えました。
わかりました。
ミネルヴァは【念話】で伝えて来ます。
私とミネルヴァが、【念話】で、やり取りしていたのは、0コンマ数秒。
私とミネルヴァは、情報処理と演算の能力が高いのです。
「新たな【ムームー】の女王、チェレステ。立ちなさい」
ファヴが命じました。
「はい」
チェレステさんが答えて、立ち上がります。
ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!
その時、王城の外で、砲撃音が響きました。
トリニティが身構えます。
トリニティの思念からは、臨戦態勢を取った事が伝わって来ました。
トリニティ……心配いりません……礼砲です……21回の空砲……つまり、女王の戴冠を伝える合図です……今、チェレステさんが、女王に即位したという、お触れを【ラニブラ】の国民に伝えているのです。
私は【念話】で伝えます。
そうでしたか……存じませんでした。
トリニティは【念話】で答えました。
即位・戴冠式は終わりました。
私達、【神格者】から、順に退場して行きます。
何だか、晴れ晴れとした気分ですね。
兎にも角にも、こうしてチェレステさんは、ファヴから王権神授されて、【ムームー】の女王に即位・戴冠したのです。
お読み頂き、ありがとうございます。
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・・・
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何卒よろしくお願い申し上げます。




