第327話。ファミレスの王者。
本日2話目の投稿です。
【シエーロ】中央都市【エンピレオ】。
カティサークは、【知の回廊】の上空に停泊しています。
そこから私と月虹は、【知の回廊】最深部に【転移】しました。
・・・
【知の回廊】最深部。
【ワールド・コア】ルームのエントランス。
私は、月虹のメンバーを、魔力登録します。
それから、皆で【ワールド・コア】ルームに入りました。
・・・
【ワールド・コア】ルーム。
「デカっ!アレって、まさか【魔法石】?」
ペネロペさんが【ワールド・コア】を見上げて言いました。
月虹の他のメンバーも、絶句しています。
「宇宙最大の【魔法石】……【ワールド・コア】です。私達、ゲームマスターは、彼女をミネルヴァと呼んでいます」
「ミネルヴァです。皆さん、ようこそ」
ミネルヴァが言いました。
「「「喋った……」」」
月虹のメンバーは、驚愕します。
「ミネルヴァは知的生命体で、種族は知性体です。つまり、ミネルヴァは、生きています」
「生きている……ミネルヴァ様は、神様ですよね?」
ペネロペさんが怖ず怖ずと訊ねました。
「はい、【創造主】のフジサカより、【神格】を頂いています」
ミネルヴァは、答えます。
月虹のメンバーは、顔を見合わせて薄ら笑いを浮かべて、頷き合うだけ……。
どうやら彼女達は……想像を超える事実は、そういうモノなんだ……と、丸っと飲み込む事にしたようです。
ソフィア達は、ケーキ・バイキングや、カフェなどにいるようでした。
私は、ミネルヴァに指示して、皆をゲームマスター本部の会議室に集合させました。
・・・
ゲームマスター本部。
会議室。
大所帯が集まって、各々が自己紹介をしました。
守護竜が3柱、首席使徒が2人というメンバー構成に、驚く人達が数人……後は、皆、お互いの事情は、だいたい知っています。
さてと……食事を、どうしましょうかね。
皆の希望を訊いて……私達は、大人数で同じ店に入る事にしました。
私は自由行動でも良かったのですが、【調停者】の本拠地である【ワールド・コア】ルームを初めて訪れた人達は、内部を自由にウロつくのは、まだ緊張感があるようです。
皆で食事会をする会場に決まったのは、意外にもファミレスでした。
ファミレスですか?
事前に……今晩の夕食は、私の奢り……と宣言しています。
財布を開く私に遠慮しているのですか?
別に、もっと高級店でも構いませんよ。
違う?
ファミレスが良いのですか?
あ、そう。
【ワールド・コア】ルームのレストラン・ガイドを一読したペネロペさん達がファミレスを強く希望しました。
【ワールド・コア】ルームのファミレスには、サラダ・バーがあります。
何でも、遺跡で狩りをしている最中や移動中は、あまり生野菜が食べられなかったので、その反動なのだ、とか。
また、コンタディーノ家の面々は、夕食は食べてしまった後。
農家の夕食は、概して早い時間帯ですからね。
彼らは、早寝早起き。
概ね、日の出から日没までが、1日という感覚なのです。
そんな夕食を済ませたコンタディーノ家の面々にも、ドリンク・バーやスナック・フードや豊富なデザート・メニューがあるファミレスは、好都合。
レジョーネとファミリアーレも、ファミレスに異存なし。
アルフォンシーナさんは、たまには庶民的な店の雰囲気を味わってみたいのだ、とか。
ゼッフィちゃんは、アルフォンシーナさんの選択ならば、どこにでも付いて行く、と。
【天使】達は、ファミレスという飲食業態自体が物珍しく、興味津々という様子でした。
まあ、【ワールド・コア】ルームのファミレスは、一流の材料を使い、一流の調理技術を持つ【コンシェルジュ】が料理を作ります。
メニューは庶民的なモノばかりですが、味は、どこの高級レストランにも劣りません。
私は、ミックス・グリルと大盛りライスに、サラダ・バー&スープ・バー&ドリンク・バーの三冠王セットを注文しました。
これは、贅沢ですね〜。
私は、個人的にファミレス・メニューのチャンピオンは、このミックス・グリルだと思っています。
【ワールド・コア】ルームのファミレス・メニューには、一応、ステーキなどもありますが、ステーキを食べたければ、ステーキ・ハウスに行けば良し。
ファミレスならば、やっぱりミックス・グリルが王者ですよ。
ミックス・グリルは、私的には、ハンバーグ、チキン、ソーセージが定番。
しかし、ポークソテーが入ったり、ステーキが入ったりとバリエーションは多彩。
【ワールド・コア】ルームでは、グリル料理から、3品目を選ぶ事が出来ました。
頼めば、海老フライやメンチカツなどにも変えてもらえますが……グリルとディープ・フライは、違う調理法ですから、揚げ物は、違う気がします。
私は、迷わず、ハンバーグ、チキン、ソーセージを選びました。
何となく、この3種がザ・ミックス・グリルというような気がしますし……私的には、これがシックリ来ます。
あくまでも、私的には、ですけれどね。
他の皆も、好きな物を好きなように注文しています。
ジリオさんとボニートさんが何やら2人で意気投合して、ジョッキ・ビールと、唐揚げと、山盛りフレンチ・フライを注文していました。
あー、これから、チュートリアルなので、ほどほどに……。
注文が終わると、ソフィアとウルスラ、ファミリアーレ……そして、ペネロペさんと、ラファエルがドリンク・バーにダッシュ。
ファミリアーレは、最近は時々、息抜きに【ワールド・コア】ルームのファミレスに来ているようです。
ソフィア、ウルスラ、ラファエルは、単に……ジュースが飲み放題なら、たくさん飲まなければ損だ……という考え。
ペネロペさんは、思考が、中学生なので、ドリンク・バー・ダッシュは、基本らしいです。
私は、後からユックリとドリンク・バーを利用しますよ。
まずは、サラダ・バーとスープ・バーをもらいに来ました。
今日のスープは、ミネストローネとクラムチャウダーですか……まずは、ミネストローネですかね。
程なくして、皆の料理が揃いました。
さてと、頂きましょう。
先ずは、サラダ・バーを頂きます。
うん、瑞々しい。
次なるは、ハーブ・チキン。
ソースはトマトソース。
美味い。
ライスと交互に頂きます。
それから、主役のハンバーグ。
ソースはデミグラス。
やや、軽めのデミですね。
美味い。
ライスが進みます。
お代わりを頼みました。
ライスの、お代わりが来る間にスープを頂きましょう。
コンソメベースのミネストローネです。
落ち着く味です。
ライスのお代わりが到着。
残るは、極太ソーセージ。
粒マスタードを塗って頂きます。
パリッパリで、中身はジューシー。
美味い。
さてと、メインを食べてしまいましたが、せっかくなので、サラダ・バーとスープ・バーを、お代わりしましょう。
トリニティが……私の代わりに、サラダとスープを取りに行ってくれる……と言います。
いえいえ、サラダ・バーの醍醐味は自分で選ぶところにあるのですよ。
レタス、キュウリ、ブロッコリー、アスパラガス、剥き枝豆、ワカメ……。
うーむ、何だか緑ばっかりですね。
別に食べたくはありませんでしたが、彩りに、プチトマトと、コーンを少し足しました。
私がサラダ・バーを選びながら盛り付けていると……。
ペネロペさんと、ハリエットが競い合うようにして、サラダ・バーを何度も何度も、お代わりしていました。
こらこら、2人とも、サラダ・バーの前で立ち食いしないで、自分の席まで戻って食べるように。
お行儀が悪いですよ。
2人は、サラダを山盛りにして、自分達の席に戻って行きました。
あの2人、何だか似ているのですよね。
ペネロペさんはガサツ……ハリエットは粗忽。
しかし、2人とも戦闘の才能が高く、それぞれのパーティ(クラン)のエースで、魔法剣士。
ただし、似ていない部分もあります。
ペネロペさんは、ああ見えて実は知能指数が高く、頭脳明晰。
優秀な魔法職は、馬鹿には務まりませんからね。
ハリエットは、残念ながら、頭は、少々アレです。
私が保護者役として、少し心配になるくらいに……。
まあ、ペネロペさんも少女の頃は、考えなしに行動して、よく失敗していたそうですから……ハリエットも成長して経験を積めば、多少マシになるのかもしれません。
きっと、たぶん……そうだったら良いなぁ……。
しかし、ハリエットにとっては、残念な、お報せがもたらされました。
ルフィナさん曰く……ペネロペさんは、小さい頃から、スポーツも学業も超優秀だったのだそうです。
たぶん、天才、とかいうレベルなのだ、とか。
勉強などはしなくても、授業を聞いて、教科書を一度読めば、全て記憶してしまうそうです。
そのおかげで、ペネロペさんは家庭が貧しかったのにも関わらず、奨学生として優秀な学校に進学出来て、実家が裕福だったルフィナさんや、キトリーさんと出会ったそうなので……。
ハリエット……残念。
いやいや、頭脳の出来と人生の幸せは、別に比例しませんからね。
ハリエットだって、きっと大丈夫です。
私が、一生懸命頑張って、あなたの将来は何とかしてあげますよ。
さてと、サラダ・バーですよ。
ドレッシングは、先程は和風だったので、今度はイタリアンにしてみましょうか……。
どの辺りがイタリアンなのかは、よくわかりませんが、日本人的には、これはイタリアン・ドレッシングです。
スープは、今回はクラムチャウダー。
うん、こちらも美味しそうです。
・・・
食後。
女性陣は、皆、ファミレスの豊富なデザートやスイーツを注文します。
別腹……という奴ですね。
私は、コーヒーを飲みます。
「ペネロペよ。此度の遠征は、どこに行っておったのじゃ?」
ソフィアがプリンが乗ったチョコレート・サンデーを食べながら訊ねました。
「【ニダヴェリール】に、私達の装備を造ってくれた鍛治の名人がいるんですよ。そこで、装備をメンテナンスしてもらって、帰りに【バラウール遺跡】で少し稼いで、【ミズガルズ】を東西に横断して、セーラの実家に寄ってから、【スヴェティア】経由で戻りました」
ペネロペさんが説明します。
【ニダヴェリール】とは、ノース大陸の西方にある【ドワーフ】の国。
【バラウール遺跡】は、【ニダヴェリール】に接したノース大陸南西にあります。
【ミズガルズ】とはノース大陸の南方にある【人】の国。
【スヴェティア】はセントラル大陸の北方の国でした。
「なるほど。何か変わった事はあったか?」
ソフィアは、訊ねます。
「えーと、何か、あったっけ?」
ペネロペさんは、ルフィナさんに訊ねました。
「【ミズガルズ】が少しピリピリしていましたね。何だか【ヨトゥンヘイム】の方がキナ臭いからだとか。どうも、戦争を警戒しているようです」
ルフィナさんが言います。
「なぬっ!アルフォンシーナ、それは誠か?」
ソフィアは、アルフォンシーナさんに訊ねました。
「はい。どうも、【ヨトゥンヘイム】が【ミズガルズ】と【エルフヘイム】の国境線に軍備を集結していたのは、本当のようです。彼らは……訓練だ……と言っていましたが」
アルフォンシーナさんは、答えます。
「ふむ、以前に【ヨトゥンヘイム】が【ユグドラシル連邦】に侵攻した時も、三か月あまり国境近くで訓練と称して軍を動かし、油断を誘っておいて、突如攻め込んで来たのだったのじゃな?」
ソフィアは言いました。
「はい。【巨人】族の常套手段です。しかし、現在は【ヨトゥンヘイム】は軍を退いたという情報を掴んでおります。ソフィア様とノヒト様が【ウトピーア法皇国】の国体を瓦解させ、【ウトピーア】に変えてしまった情報を聞き、【ヨトゥンヘイム】は戦争を仕掛ければノヒト様の介入を招く、と恐れたのだと思います」
アルフォンシーナさんは説明します。
「うむ。あれは、ノヒトの査察の結果なのじゃが……タイミング的には、【ウトピーア法皇国】が【ブリリア王国】に攻め込んだのと、時を同じくしたのじゃ。【ヨトゥンヘイム】としても、侵略をすれば【ウトピーア法皇国】のように滅亡の憂き目に遭うかもしれぬ、と考えたのじゃろうの」
ソフィアは言いました。
「えっ!ノヒト様とソフィア様が【ウトピーア法皇国】を滅ぼしたのですか?あれは、【リントヴルム】様が復活されて、【ウトピーア法皇国】に神罰を与えた、という話だったのですが」
ペネロペさんが驚きました。
「うむ。表向きは、そういう事にしているのじゃ。じゃが……実際は、ノヒトとグレモリー・グリモワールによる共同作戦じゃ。【ウトピーア法皇国】の人権蹂躙は、目に余るモノがあったからのう。それから、外交の公式の立場では、我は、ノヒトについて行っただけじゃ。何もしてはおらぬ」
ソフィアは言います。
セントラル大陸の守護竜であるソフィアが、ウエスト大陸の【ウトピーア法皇国】滅亡に関与しているとなると、外交上、疑念を誘発しますからね。
まあ……ウエスト大陸の守護竜リントから協力を依頼された……と言えば、手続き上の問題はありませんが……。
・・・
食事会は、お開き。
チュートリアル組を残して、その他のメンバーは、それぞれ【転移能力者】に伴われて帰還して行きました。
今夜、日付変わって0時には、満月の周期スポーンが、あります。
その為に、レジョーネには、仮眠を取ってもらう必要もありますからね。
アルフォンシーナさんとミカエルは、顔合わせを済ませたので、今後は、頻繁に情報交換をする事になるでしょう。
その為に、私は両陣営のトップ同士を会わせて紹介したのです。
実際に、食事中、アルフォンシーナさんと【熾天使】達は、同席して、色々と話し合っていました。
【天使】は、ゴリゴリの脳筋で、戦闘狂ばかり。
強さを認めた相手に対しては敬意を払い、侮ったりする事はありません。
アルフォンシーナさんは、気骨ある見事な戦いぶりで【熾天使】の1人に完勝しました。
【天使】も、アルフォンシーナさんの事を敬服しているようです。
今後、双方共に真摯な交流と協力を行ってくれる事を期待しましょう。
私は、チュートリアルに参加する【樹人】6人、ジリオさん一家3人、コンタディーノ家8人、月虹6人をカティサークに乗せて、【ラウレンティア】に向かって【転移】しました。
お読み頂き、ありがとうございます。
ご感想、ご評価、レビュー、ブックマークを、お願い致します。
活動報告、登場人物紹介&設定集も、ご確認下さると幸いでございます。
・・・
【お願い】
誤字報告をして下さる皆様、いつもありがとうございます。
心より感謝申し上げます。
誤字報告には、訂正箇所以外の、ご説明ご意見などは書き込まないよう、お願い致します。
ご意見などは、ご感想の方に、お寄せ下さいませ。
何卒よろしくお願い申し上げます。




