第318話。朝のあれこれ。
名前…ウーラ
種族…【ドワーフ】
性別…女性
年齢…15歳
職種…【技師】
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】
特性…【才能…器用】
レベル…7
ソフィア&ノヒト(コンパーニア)傘下マリオネッタ工房所属で、主に【自動人形】部門を担当。
孤児院出身者。
異世界転移45日目(10月15日)。
早朝。
リマインダーのアラームが鳴りました。
ふぅ、ここまでですね。
私は、片付けを始めました。
内職で造った【自動人形】・シグニチャー・エディションは、半分を【超級飛空航空母艦】エクスプローラーの建造担当、兼、クルーとして投入し、もう半分をグレモリー・グリモワールへ納入する為に【サンタ・グレモリア】へ【転送】します。
グレモリー・グリモワールに譲渡する約束の【自動人形】・シグニチャー・エディションは、あと330体。
エクスプローラーのクルーも同じくらいは必要でしょうね。
エクスプローラーの操艦や武器・レーダー・艦載機の管制には、人手は、ほぼ必要ありません。
それは、【メイン・コア】がやってくれますので……。
人手を必要とするのは、艦載機の搭乗員達です。
私は、【輸送艦】10隻と【砲艦】50隻をエクスプローラーに艦載するつもりでした。
この搭乗員で、280体……エクスプローラーの艦内クルーで50体が必要な計算となります。
エクスプローラーの建造とクルー要員は、現在までに100体ほど完成して投入していました。
また、地上作戦を遂行する陸戦部隊を組織するとなると、さらに50〜200体ほどの【自動人形】・シグニチャー・エディションが必要になるでしょうか……。
それから、私は【収納】に常時100体の単位で【自動人形】・シグニチャー・エディションを準備しておきたいと考えています。
グレモリー・グリモワールに納入しなければならない【自動人形】・シグニチャー・エディションが、あと330体。
合わせて都合、860体ほどは、【自動人形】・シグニチャー・エディションを造らなくてはいけません。
現在、内職での【自動人形】・シグニチャー・エディションの日産が40〜60体。
毎日40体の製造と見積もるなら、21日間で840体の製造が可能。
私がソフィアに……エクスプローラーの就航までに3週間くらいかかる……と言った理由は、この計算によるのです。
900年前、グリモワール艦隊では、艦船88隻を、【スケルトン】1000体で運用してました。
現在は、艦隊クルーとして最適化された【スケルトン】より劣る、元【ウトピーア法皇国】兵士を材料とした【ゾンビ】をクルーとしていますので、予備役も含めて9000体がグリモワール艦隊のクルーとして任務に就いています。
しかし、グリモワール艦隊の護衛・迎撃の任務に当たる【砲艦】50隻には、搭乗員は全くいません。
グリモワール艦隊の【砲艦】は、無人迎撃艦なのです。
純正の【砲艦】は搭乗員が最低5人必要でした。
しかし、グレモリー・グリモワールは、保有する全ての艦船に【ダンジョン・コア】を【メイン・コア】として搭載しています。
こうして、グリモワール艦隊所属の【砲艦】は、【ダンジョン・コア】の高度な情報処理能力を誇る人工知能によって無人化を実現しているのです。
私も【砲艦】を【ダンジョン・コア】による制御によって無人化したいのですが……現在【ダンジョン・コア】のストックを1つしか持っていませんし、それも他の使途……つまり、現在ニュートン・エンジニアリングで建造中の【飛空巡航艦】の【メイン・コア】にする事が決まっていました。
そもそも、何十個も【ダンジョン・コア】の数を揃えるのが大変なのです。
グリモワール艦隊の全艦船に【ダンジョン・コア】が搭載されている事が異常。
私が、数十個の【ダンジョン・コア】を入手出来るのは、いつになるのやら……。
なのでエクスプローラーのクルーにする【自動人形】・シグニチャー・エディションが数百体単位で必要なのですよ。
ソフィアに……早く早く……と、せっつかれていますので頑張って内職をしていますが……大変です。
私は、クイーンに挨拶をしてから、朝ご飯を食べに竜城へと【転移】しました。
・・・
【ドラゴニーア】。
竜城の私室。
私は、リマインダーを開き、今日の予定を確認しました。
午前中、私は、サウス大陸【アトランティーデ海洋国】に向かい、王都【アトランティーデ】の商業ギルドで遺跡で狩った魔物の素材を売却します。
午後は、ソフィアの発案で開催が決まった、レジョーネ+アルフォンシーナさん、対、【天使】勢で、9対9の星取り団体戦による試合がありました。
レジョーネ側の出場選手は、ソフィア、ファヴ、リント、ウルスラ、トリニティ、オラクル、ヴィクトーリア、ティファニー……そしてアルフォンシーナさん。
私は、出場しません。
審判役でした。
ソフィアは……勝ち敗けが分かれるモノである限り、我らに敗北は許されぬのじゃ。全勝でレジョーネの強さを【シエーロ】の連中にも知らしめねばならぬ……と気合が入っています。
団体戦の結果としてレジョーネが負ける事はあり得ませんが、個人の対戦成績としては全勝というのは難しいのではないでしょうか?
何故なら、レジョーネ側では、ウルスラが選手登録をしていました。
事前の選手登録は、もう変更出来ません。
選手登録時点では、ウィルヘルミナは、まだ、いませんでしたし、当初から私は参加の頭数には入っていませんでさした。
ソフィア曰く……ノヒトが出たら、つまらぬ。勝つとわかっている試合ほど興が醒める事はないのじゃ……と、私を出場選手に含めなかったのです。
ソフィア……その論理で言うなら、あなたが出場するのも大概ですよ。
まあ、ソフィアは、世界戦闘狂組合の会長みたいな娘ですから、試合に出ない、という選択肢はないのかもしれませんが……。
閑話休題。
ウルスラは、強力な【超位】の対象無力化魔法である【気絶・捕縛】が決まれば、勝つ可能性はありますが、その他の攻撃手段では、攻撃威力値が激弱なので負ける可能性が高いのです。
ソフィアは、何やらウルスラに……必勝の策を与える……などと言っていますが、どうなるでしょうか?
それから、もう1人……アルフォンシーナさんも戦況が読めません。
アルフォンシーナさんは、純粋な【回復・治癒職】。
本来は戦闘職ではありません。
ソフィアがアルフォンシーナさんの戦闘力に太鼓判を押すので弱くはないと思いますが、戦闘に特化したゴリゴリの魔法戦闘職揃いの【天使】の中から選抜される人種最強クラスの相手に勝てるのでしょうか?
アルフォンシーナさんが、どんな戦いを見せるのか、楽しみな気持ちはありますが……。
そして今夜は、満月。
周期スポーンの日です。
もちろん、周期スポーン・エリア・ボスは、レジョーネと神の軍団が討伐します。
今回は、セントラル大陸、サウス大陸、ウエスト大陸の計12か所の周期スポーン・エリア・ボスを倒さなくてはいけません。
まあ、楽勝です。
余裕をかましてノース大陸も、などと考えていましたが、ディーテ・エクセルシオールからは、丁重な辞退がありました。
何でも、【エルフヘイム】が【ユグドラシル連邦】の盟主国である理由は、ノース大陸の安全保障を【エルフヘイム】が責任を持って担っているからこそなのだ、とか。
在野のユーザーなどが勝手に討伐してしまうのは、仕方がないものの、【神格者】である私が頼まれもしないのに出張って行き、ノース大陸の周期スポーン・エリア・ボスを倒してしまっては……【エルフヘイム】の【ユグドラシル連邦】での求心力が弱まりかねない……のだそうです。
政治は、色々と面倒臭いですね。
まあ……自分達で、どうにかする……と言うのなら、余計な、お節介はしませんよ。
【エルフヘイム】の軍事力と魔法技術ならば【古代竜】4頭くらい、問題なくヤレるのでしょうからね。
ソフィア、ウルスラ、オラクル、ヴィクトーリアの今日の予定は……午前中は孤児院訪問、午後は試合、夜は周期スポーン・エリア・ボス討伐。
ファヴとウィルヘルミナの今日の予定は……午前中はサウス大陸で政務、午後は試合、夜は周期スポーン・エリア・ボス討伐。
リントとティファニーの今日の予定は……午前中はウエスト大陸で政務、午後は試合、夜は周期スポーン・エリア・ボス討伐。
トリニティの今日の予定は……午前中はファミリアーレに付き合って【ドラゴニーア】軍と竜騎士団に混ざって訓練、午後は試合、夜は周期スポーン・エリア・ボス討伐。
ファミリアーレは、昨日まで遺跡攻略をしていたのですから、今日くらいは休めば良い、と思うのですが……。
まあ、熱心で勤勉な事は、ファミリアーレの美点ですね。
ああ、あと今日、剣聖が竜都【ドラゴニーア】にやって来るそうです。
まあ、別に会談の予定がある訳ではありません。
来年初頭の世界冒険者ギルドの本部移転に先駆けて、一足早く剣聖とクサンドラさんは【ドラゴニーア】に引っ越して来るのだ、とか。
どうやら、剣聖の道場を竜都に移すつもりらしく、その準備や何やらがあるので、前乗りするつもりのようです。
剣聖は、【アトランティーデ海洋国】による【大密林】侵攻作戦で、大勢の門人や弟子を死なせてしまった事を悔やみ、ここ数十年全く弟子を取らずに道場を閉めていました。
その剣聖が、また、弟子を取って指導を再開するとなれば、世界中から弟子入り志願者が押しかけて来るのは間違いありません。
剣聖流の門人となるのは、誰でも良い訳ではないので、早く竜都に居を移して、その選抜試験もしなければならないようです。
まあ、当代随一の【剣匠】が流派を再興しよう、という意欲を取り戻した事は、喜ばしい事ですね。
さてと、朝ご飯の時間です。
私は、私室を出て、礼拝堂に詰めている【女神官】の方達に朝の挨拶をして、大広間に向かいました。
・・・
大広間。
「おはようございます、ノヒト様」
アルフォンシーナさんが和かに挨拶をしてくれました。
アルフォンシーナさんの背後にはゼッフィちゃんがいます。
「おはようございます、アルフォンシーナさん、ゼッフィちゃん」
「おはようございます」
ゼッフィちゃんがペコリと頭を下げました。
トリニティ、ファヴとウィルヘルミナ、リントとティファニーという順番で大広間に集まって来ます。
最後に、ソフィア、ウルスラ、オラクル、ヴィクトーリアが現れて全員集合。
私達は、朝ご飯を食べ始めました。
朝ご飯のメニューは、もはや定番。
和食(【タカマガハラ皇国】料理)と洋食からの選択方式。
私は、和食(【タカマガハラ皇国】料理)を選びました。
ご飯、味噌汁、納豆、漬物、野菜の煮浸し……メインは、ほほう……今日は鳥の唐揚げですか。
唐揚げ大好きです。
朝から胃に重い、とも思いますが、異世界転移以来、私は、当たり判定なし・ダメージ不透過の影響なのか、胃もたれ胸焼け腹痛などの症状は、全く起こりません。
なので、朝から唐揚げだろうが、朝から豚カツだろうが、朝から豚骨ラーメンだろうが、何でも美味しく頂けます。
「頂きます」
味噌汁で口を湿らせてから、早速、大きめの唐揚げを一口で頬張りました。
美味い。
シャクシャク、ジュワッと抜群の食感。
味も良い塩梅。
スパイシーな下味がついた、ディープフライドチキンよりの唐揚げです。
白ご飯が進む進む……。
ん?
何やら、ブレンド塩のようなモノが小鉢で付いて来ていましたね。
これは、カレー塩。
唐揚げ用ですか?
なるほど、味変ですね。
カレー塩を付けて……お、こういう味ですか。
美味しいですが、私は、なくても良いかな、とも思いました。
まあ、好みの問題です。
私は、味変は、レモンを絞ってサッパリよりに変える事にしました。
レモン風味も乙な味ですよ。
ソフィアは、唐揚げにマヨネーズを大量に掛けていました。
追いマヨ……とか言って、唐揚げを口に入れた後から、マヨネーズだけを食べています。
まあ、アレも好みの問題ですからね。
「ご馳走様でした」
満腹。
朝からガッツリと食べました。
ご飯3杯は、食べ過ぎだったでしょうか?
・・・
食後。
お茶を飲みながら、一服。
「ノヒトよ。午前中に【アトランティーデ海洋国】に行くのじゃろう?」
ソフィアが訊ねました。
「はい。王都【アトランティーデ】の商業ギルドに遺跡で獲得した素材を売却しに行きます」
「では、頼まれて欲しいのじゃが、王都【アトランティーデ】にいる人種を迎えに行ってくれぬか?ソフィア・フード・コンツェルンの雇った新しい重役と、その妻子じゃ。2日後に【ドラゴニーア】に来る予定じゃったが、ノヒトが、ついでに【転移】で連れて来てくれるのなら、それが手っ取り早いのじゃ」
ソフィアは、バケツ・プリン(マンゴー味)を食べながら言います。
「構いませんよ。どこに誰を迎えに行けば良いのですか?」
「ありがとう、なのじゃ。では、オラクル……」
ソフィアはオラクルを促しました。
「ノヒト様、こちらに住所がございます。後ほど、先方には連絡をしておきますので、よろしくお願い致します」
オラクルは私にメモを差し出します。
ふむふむ。
なるほど。
「わかりました」
レジョーネは、各自の午前中の予定を消化する為に、それぞれの目的地に向かって【転移】して行きます。
私もサウス大陸の【アトランティーデ海洋国】に向かって【転移】しました。
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