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第311話。女王の意中の男性?

本日2話目の投稿です。

 異世界転移44日目(10月14日)。


【ドラゴニーア】

 竜城の大広間。


「おはようございます、ノヒト様」

 アルフォンシーナさんが微笑みをたたえて挨拶をしてくれました。


 アルフォンシーナさんの背後には、いつものようにゼッフィちゃんが控えています。


「おはようございます。アルフォンシーナさん、ゼッフィちゃん」


「おはようございます」

 ゼッフィちゃんが挨拶をしました。


「昨日、チェレステ陛下が【ラニブラ】に、ご出立なさいました」

 アルフォンシーナさんが報告してくれます。


 チェレステさんは、元アルフォンシーナさん付きの筆頭秘書官で、ゼッフィちゃんの前任者でした。

 新たに【ムームー】の女王に即位戴冠する事が決まっています。


 チェレステさんも、とうとうアルフォンシーナさんからの帝王学教習が修了したのですね。

 チェレステさんは、明後日(あさって)、サウス大陸南方国家【ムームー】の女王に即位戴冠するのです。


「いよいよ、ですか」


「はい。昨日、【ラニブラ】で、ソフィア様達と、お会いになったようです。ソフィア様は、チェレステ陛下に新たな門出の花向けに、と、とても素晴らしい激励の、お言葉をかけて下さいました」

 アルフォンシーナさんは万感極まった様子で言いました。


「戴冠式にはアルフォンシーナさんも行かれるのですか?」


 私は、式典に参加する事になっています。

 本来は儀式典礼などは堅苦しくて苦手なのですが、良く知るチェレステさんの女王即位の儀式ですので、不精な性質に鞭打って、私も参加を決めました。


「はい。列席致します」

 アルフォンシーナさんは言います。


 それは、そうでしょうね。

 アルフォンシーナさんにとって、チェレステさんは、手塩にかけて育て上げた、直系の愛弟子。

 アルフォンシーナさんが【ドラゴニーア】の統治責任者であるという公式の立場を抜きにしても、是非とも愛弟子の晴れ姿は目に焼き付けておきたいでしょう。


 チェレステ新女王は、私とソフィアとリントが見守る中、ファヴから、()()()()の【指名(ディジグネイト)】を受けて、晴れて、新女王の新がとれて、初代チェレステ・ムームー女王となるのです。


 歴史上、4柱もの【神格者】を立ち会わせて、女王に即位戴冠した君主は存在しません。

 つまり、それだけチェレステさんの女王としての権威を担保する後ろ盾が多い、という事でもあります。


 チェレステさんの船出は順風満帆。

 当面、女王としての権威は盤石なはずです。

 その()()の間に、どれだけ国家の為になる政策を実行して、どれだけ国民からの支持を確固たるモノに出来るのか、が、チェレステさんの勝負。

 この1年ほどが君主としての正念場なのです。


「チェレステさんには、これから頑張ってもらわなくてはいけませんね?」


「はい。チェレステ陛下が【女神官(プリーステス)】として初めて竜城に登城した日から昨日まで、私は厳しく指導して参りました。チェレステ陛下なら、立派に重責を果たしてくれるはずです」

 アルフォンシーナさんは、愛弟子の能力と、自分自身の指導に疑いを抱いていない様子で言いました。


 うん。

 教えるべき事は全て教えた、という事なのでしょうね。

 私も、ファミリアーレが私の庇護下から巣立つ時、今のアルフォンシーナさんのように……教えるべき事は全て教えた……と胸を張って言えるように、ファミリアーレのメンバーを指導してあげたいものです。


 しばらくして、トリニティが起床して来ました。

 私達は、挨拶を交わします。


 その後、ファヴとウィルヘルミナ、リントとティファニー、ソフィアとウルスラとオラクルとヴィクトーリアが順番に大広間にやって来ました。


 私達は、テーブルに着き、朝ご飯を食べ始めます。


 今日のメニューは、和食(【タカマガハラ皇国】料理)と洋食から選べました。

 私は、白ご飯、味噌汁、肉豆腐、葉野菜のおひたし、漬物、納豆……という純和(【タカマガハラ皇国】)風。


 ソフィアは、和食も洋食も全種類。


 その他のメンバーは、昨晩の夕食が純和風だった為か、洋食メニューを選んでいました。


 朝食のメインは、肉豆腐ですか。

 私は、肉豆腐とか、ブリ大根とか、肉じゃがとか、芋棒とか、鳥ゴボウとか、肉魚系と野菜系を一緒に炊き合わせた、おかずが大好きです。


 豆腐に甘辛いタレと肉の旨みが染みていて、美味い。

 白ご飯が何杯でもイケてしまいますよ。

 いや、言い過ぎました。

 3杯が限界です。


 私の新しい、お茶碗は、結構大きめなのですよ。


 因みに、この、お茶碗はグレモリー・グリモワールが庇護する街【サンタ・グレモリア】の職人(おそらく【自動人形(オートマタ)】・シグニチャー・エディション)が作った物で、最近、竜城の食器類のバリエーションに加わりました。

【竜の湖】の湖畔から取れる【魔法粘土】から作られた、とても薄手で軽い最高級と言って良い陶器です。

【魔法粘土】は、魔力親和性に優れている為、薄手ででも強度を補完する事が出来るので、床などに打ち付けても割れたりはしません。

 また、屑【魔法石】のカケラが粘土に混ぜ込まれており良い塩梅で保温機能も付いている、大変に便利な器。


 グレモリー・グリモワールが庇護する街【サンタ・グレモリア】の新しい特産品として、今、【ドラゴニーア】では、上流階級を中心にして密かなブームとなり人気を博しつつあります。

【サンタ・グレモリア・テラコッタ】と呼ぶらしいですね。

 最近、竜都【ドラゴニーア】に【サンタ・グレモリア】の特産品を扱うアンテナ・ショップが開店したので、私も大量購入してあります。


 私は、ご飯を、お代わりしました。

 2杯目の白ご飯は、半分くらいに減った肉豆腐にカラシを少し溶いて、味変。


 これまた、美味い。

 ご飯が進みます。


 3杯目は、少しお行儀が悪いのですが、肉豆腐を白ご飯の上に投入。


 ああ、これこれ。

 タレが染みた熱々の白ご飯は、無敵ですよ。


 ご馳走様でした。

 満足です。


 ・・・


 食後。


 お茶を飲みながら、一服。


「ノヒトよ。昨日、【ラニブラ】でチェレステに会ったのじゃ」

 ソフィアが、食後のバケツ・プリン(チョコバナナ味)を食べながら言いました。


「はい。先程アルフォンシーナさんから聞きましたよ」


「うむ。でのう……チェレステの女王即位の祝いの品として【アンサリング・ストーン】と【王族の馬車】を贈与するじゃろう?」

 ソフィアが訊ねます。


「そうですね」


「その時に、【自動人形(オートマタ)】・シグニチャー・エディションも何体か与えてやって欲しいのじゃ。チェレステの秘書官、兼、護衛としてじゃ。本来、護衛は近衛竜騎士団が、やるのじゃが……ほれ、チェレステめは、年若い未婚の女じゃろう?いや、年若いというほどでもないが、適齢期の未婚の女じゃ。トイレや浴室や寝所に、男の近衛竜騎士を連れて行く訳にもいかぬ。じゃから、護衛に【自動人形(オートマタ)】・シグニチャー・エディションを付けてやりたいのじゃ」

 ソフィアは言いました。


 なるほど。

 ソフィアの親心という訳ですね。


「構いませんよ。5体で良いですか?」


「うむ。十分じゃ。ありがとう、なのじゃ」

 ソフィアは、言いました。


 私も、チェレステさんには、出来るだけの事はしてあげたいですからね。


「私からも、お礼申し上げます。ありがとうございます」

 アルフォンシーナさんも言います。


「チェレステの夫も見つけてやりたいのう。誰か、チェレステの意中の者などは、おらぬのか?身分や肩書きが不足なら、我が、その男の後見をして相応しい格式を与えてやっても良いのじゃ」

 ソフィアが言いました。


「それが……あの子……いいえ、チェレステ陛下は、仕事の虫でして、浮いた噂の一つもなく、交際していた男性などはいないようです」

 アルフォンシーナさんは苦笑します。


「好みのタイプは、どんなじゃ?」

 ソフィアは訊ねました。


「それは……」

 アルフォンシーナさんは口ごもります。


「好みのタイプはいるのじゃな?良い、申してみよ」

 ソフィアが言いました。


「ご無礼を承知で申し上げますが……。チェレステの好みの男性のタイプは、おそらくは、ノヒト様かと……。あくまでも【女神官(プリーステス)】達の噂でしかありませんが……」

 アルフォンシーナさんは遠慮がちに言います。


 ふぁ?

 私ですか?


「うむ。それは叶わぬ思慕じゃな。我ら【神格者】は、伴侶を持たぬ故な」

 ソフィアは言いました。


【神格者】は繁殖をしません。

 不老不死で不死身な為、種の保存の為に繁殖が必要ではないからです。

 ソフィアやファヴ曰く、守護竜は子を成す生体機能自体がないそうでした。

 私の場合……繁殖機能は一応はある、とは思いますが……性欲的なモノが全くなくなっているのですよね。


「はい。しかし、容姿などは参考に出来る、かと」

 アルフォンシーナさんは言います。


「うむ。ならば【タカマガハラ皇国】の男なら、ノヒトに似たようなアッサリとした顔立ちの者もおるかもしれぬな。我が【タカマガハラ皇国】の(すめらぎ)に親書を書こう。(すめらぎ)の血筋に、ノヒト似の年頃の男がおるやもしれん。(すめらぎ)の血族なら、身分や肩書きにも不足はないのじゃ」

 ソフィアは言いました。


 アッサリとした……微妙にディスられているような気がしますが、まあ、良いでしょう。


 (すめらぎ)とは、【タカマガハラ皇国】の皇帝の一般呼称です。

 その親族ならば、【ムームー】の女王の婿としても、釣り合いが取れるのでしょう。


「はい。では、早速、【タカマガハラ皇国】に打診してみます。候補者を複数選抜して、チェレステ陛下に選ばせましょう」

 アルフォンシーナさんは言います。


 はてさて、チェレステさんの婿取りは、どうなる事やら……。

 出来るなら、人柄が良い男性であれば、と願います。


 私達は、一旦、自室に戻り準備を整えて、再度集合する手はずとなりました。


 ・・・


 竜城の中庭。


 ファミリアーレとグレモリー・グリモワール達一行が到着しました。


「おはよ……」

 グレモリー・グリモワールが、アクビを噛み殺しながら挨拶します。


「眠そうですね」


「あ、うん。昨日の夜、徹夜で【乗り物(ビークル)】関連の作業をしたからね」

 グレモリー・グリモワールは言いました。


「コンディションは大丈夫ですか?」


 私は、グレモリー・グリモワールの体調を心配している訳ではありません。

 寝不足で、ファミリアーレを引率するのに不具合が生じないか、と危惧しているのです。

 グレモリー・グリモワールの場合、少々、眠いからと言って、30階層の遺跡(ダンジョン)くらいで、不覚を取るとは思いませんが……。


「ああ、大丈夫」

 グレモリー・グリモワールは鷹揚に頷きました。


「【回復(リカバリー)】」

 私は、グレモリー・グリモワールに【回復(リカバリー)】をかけます。


「あんがと」

 グレモリー・グリモワールは言いました。


 ファミリアーレとグレモリー・グリモワール達一行は、カティサークに乗り込みます。


 ・・・


 カティサーク船内。


 完全武装のレジョーネもカティサークに乗り込んで来ました。


「さあ、行きますよ」


「「「「おーーっ!」」」」

 ソフィア、ウルスラ、ハリエット、レイニールが気勢を上げます。


 私達は、【ラドーン遺跡(ダンジョン)】に向けて【転移(テレポート)】しました。


 ・・・


【ラドーン遺跡(ダンジョン)】入口。


「へえ、遺跡(ダンジョン)町が出来ているね?」

 グレモリー・グリモワールは言いました。


「まだ中身はありませんけれどね」


「良い町だよ。その内、賑わうんじゃないかな?」

 グレモリー・グリモワールは言います。


「だと良いのですが」


「うん。保証するよ」

 グレモリー・グリモワールは太鼓判を押してくれました。


「では、グレモリー。ファミリアーレの事を、よろしくお願いしますね」


「お、任せておいて」

 グレモリー・グリモワールは言います。


「ではの、グレモリー」

 ソフィアが言いました。


「じゃ、正午にカティサークでね」

 グレモリー・グリモワールは言います。


 私達レジョーネは、【ピュトン遺跡(ダンジョン)】に向かって【転移(テレポート)】しました。


 ・・・


【ピュトン遺跡(ダンジョン)】。

 60階層ボス部屋の奥の転移魔法陣部屋。


 あ、そうそう。


「ファヴ。そう言えば、ウィルヘルミナの装備を与えていませんでした。何にしましょうか?」

 私は、ファヴに最新版へと改訂された【神の遺物(アーティファクト)】装備品リストを手渡しました。


 改訂版の装備品リストは、フル・コンプリート・リストです。


 昨日は60階層までで、比較的負荷が軽かったので、ウィルヘルミナの装備はないまま、遺跡(ダンジョン)を進んでいました。

 これからは、遺跡(ダンジョン)深層階。

 当然、装備はあった方が良いでしょう。


「ありがとうございます。では、防具は防御力が高いモノを。これなどは、どうでしょうか?」

 ファヴは、装備品リストから1つの防具を選びました。


 なるほど。

 ファヴが指し示したのは、【ポロス】。

【ポロス】は別名【キュベレーの城壁冠(ミュアラル・クラウン)】。

城壁冠(ミュアラル・クラウン)】とは文字通り城壁を(かたど)った冠で、その冠を被った者がいればパーティ全体や、立て籠もる防御施設の防御力をも丸っと上げられる、という特殊ギミックがありました。

【ポロス】は最高性能なので、これを被った者が味方陣営の都市内いれば、都市城壁の防御力も底上げされます。


「わかりました。では、これです」

 私は、【収納(ストレージ)】から【ポロス】を取り出して、ファヴに手渡しました。


 ファヴが、私から受け取った【ポロス】をウィルヘルミナに被せてあげます。

 ウィルヘルミナは跪いて嬉しそうに冠をファヴから授かりました。


 身体を守る防具の方は、レジョーネでは、お馴染みの【ヴァルキリーの鎧】。

【ヴァルキリーの鎧】は軽量ながら、防御力・魔力親和性を高いレベルで兼ね備えたバランスの良い鎧でした。

【ヴァルキリーの鎧】は、素早い動きを阻害せず、また近接・魔法の双方を駆使して戦う守護竜や【自動人形(オートマタ)】などには、うってつけの鎧と言えるでしょう。


「武器は……ノヒトがプログラムを改変してくれたおかげで遠隔攻撃は【追尾誘導(ホーミング・)光子砲(フォトニック・カノン)】で火力十分なので、近接打撃力が底上げされるモノが良いか、と……。これなどは、良さそうです」

 ファヴは、言いました。


 ファヴが選んだのは、ショート・ソード【フロッティ】。

【フロッティ】は、軽くて片手で取り回せ、魔力親和性に優れてもいました。

 魔法職が使用すれば、魔力減衰なく刀身に魔法効果を(まと)わせる事が出来るギミックがあります。

 また、持ち主の幸運値を上げる特殊効果もありました。

 これまた、機動力、近接戦、魔法ともに優れた【自動人形(オートマタ)】向きの武器。


 ファヴは、理知的なので、装備品の選択も理路整然としています。

 格好良さ優先で選んでいた、ソフィアとは大違いですね。


 さてと、ウィルヘルミナの装備も充実しました。

 これで万全の体制で遺跡(ダンジョン)に挑めます。


「やってやるのじゃーーっ!」

 ソフィアは愛用の長巻【クワイタス】を【収納(ストレージ)】から取り出しました。


「おーーっ!」

 ウルスラが魔法触媒【テュルソス】を掲げます。


 私達は、【ピュトン遺跡(ダンジョン)】の61階層に続く階段を降りて行きました。

お読み頂き、ありがとうございます。

ご感想、ご評価、レビュー、ブックマークを、お願い致します。

活動報告、登場人物紹介&設定集も、ご確認下さると幸いでございます。


・・・


【お願い】

誤字報告をして下さる皆様、いつもありがとうございます。

心より感謝申し上げます。

誤字報告には、訂正箇所以外の、ご説明ご意見などは書き込まないよう、お願い致します。

ご意見などは、ご感想の方に、お寄せ下さいませ。

何卒よろしくお願い申し上げます。

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