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第036話 ~フェアリーコームとハゲ~


特許ギルドの扉は重いな。

さっきの商人ギルドと比べると、とても重いし立派だ。



ギルド内部もグッとレベルがあっがている。


赤いじゅうたん、光沢のあるテーブルカウンター。奥にはステンドグラスもある。

天井には豪華なシャンデリアがある。貴族の館みたいだ。

受付にいる人も、キリッとした服装に凛とした表情だ。



「いらっしゃいませ。今回はどのようなご用件で」


「新しい魔法具の登録をお願いしようと」


「かしこまりました。こちらへ」


初老の執事みたいなひ人が俺たちを案内する。

燕尾服?にネクタイ。片メガネ。

きっと名前はセバスチャンだろう。




「お待たせいたしました。こちらの部屋でお待ちください。担当の物を呼んでまいります。お飲み物は紅茶でよろしいでしょうか?」


「えぇ。紅茶でいいわ。お願いします」



案内された部屋もきれいで、広い!暖炉もある!

ソファーもふかふか!なにこれ!異世界でもこんなソファーあるんだ!これ欲しいなぁーーー。



「ユーキ。そんなソファーに顔を付けないで。このソファーきっと100万ジェニはくだらないと思うわ。丁寧に扱って」


ひゃ、百万ジェニー!


「お、おとなしく座ってます。ほら!愛もおとなしく座って!」


愛もソファーに座ってボヨンボヨンしていた。

俺たちはおとなしく座り、担当の人を待つ。






「おまたー!ルエルちゃーーん、久しぶりー!寂しかったよ!!」


「お久しぶりです。今日は仕事の話を」


「そんなぁー。固いこと言わずにっ!」



な、なんだこの軽いノリのおじさんは。

四十手前位だろうか?

割とがっちりした体格に、やや甘いフェイス。

今は目つきが怖い細マッチョひげおじさんだ。



しかも、髪が無い。



「あぁ?誰だてめぇ。ルエルちゃんとどんな関係だ?場合によっては埋めるぞ!」


「お、お兄ぃ!危ない人だ!危険だよこの人!!」



わ、わかってる。危険なのは十分わかってる。

だが、あえてルエルがここに来た理由があるはずだ。それを先に確認しなければ。




「今日は仕事の話で着たの。時間がないわ、用件を伝えるわね」


「ルエルちゃん。相変わらずなんだからっ!今日だけよ!」


「ありがとう。話を進めるわね」


「てめぇも、ルエルちゃんに感謝するんだな!ルエルちゃんがいなかったら間違いなくてめぇは消えてるぜ!!」



「お兄ぃ、帰りたい。」

「俺もだ。早く話を終わらせよう」



ルエルは昨夜のクシから熱い風を出し、髪を乾かす魔道具について話をした。

恐らく、極小の魔石でも作れると。



「その話は本当か?」


「ええ、そこのユーキが実際に行って、私の髪を乾かしたわ」



ちょ!そんな事今ここで言ったら!


「ユーキ君だっけ?ちょっと向こうでおじさんと話をしようか?すぐに終わらせてあげるよ」


「け、けっこうです!このまま!ここでお話させてください!」



俺は昨夜の髪を乾かす過程を話した。

最弱の火の魔法と最弱の風の魔法。混合魔法で髪を乾かしたこと。



「いきさつはわかった。多分いけるな。クシはもともと市場にあるし。エンチャントも簡単だ」


「そう、良かったわ。じゃぁ、あとはお願いできるかしら」


「俺が実際に試作を試したいが、なんせ試す髪がないからな!小僧!ハゲで悪かったな!」


「お、俺は何も言ってない!」


「で、ルエルちゃん。今回は共同か?専売か?」


「ユーキどっちにする?」


「え?何を??」


「あ、ごめんなさい説明してなかったわね」


「小僧!ルエルちゃんに迷惑かけんじゃねぇよ!俺が説明してやる」


共同は開発ギルドで作成し、全て商人ギルド卸す。商人みんなが買うことができる。

専売は開発ギルドで作成し、自分の店だけで独占販売。利益を高くすることができる。

どちらもメリット、デメリットがある。

その選択は自由だが、一度決めたら変更できない。



「俺が決めていいのか?」


「えぇ、これはユーキのアイデアですもの」


「じゃぁ、共同で。ただし、商品名はこちらで決めたい」


「あぁ、いいぜ。商品名は何だ?」


「ルエルのお店の名前、まだ聞いてなかったな。よかったら教えてくれないか?」


「お店の名前?名前は『フェアリーグリーン』よ。母が付けた店名だけどね」


「『フェアリーグリーン』か。おっさん、商品名はフェアリーコームだ。」


「お、おっさん!今おっさんと言ったか!」


「悪い。名前知らないし」


「俺はギルド長のブロッサムだ!二度と会う事は無いが、覚えとけっ!」


「お兄ぃ。ブロッサムだって。ブロッサム!」


「おい!女!敬称くらいつけてもいいんだぜ。こう見えても俺は24だ!」


「「な、なんだって!!!ウソだろ!」」


「ルエル。さっさと話をまとめてくれ。こいつらうるさい」


「わかったわ。共同販売で商品名はさっきの通り。価格はどうしようかしら?」


「おっさん。このアイテムの卸値はいくらになる?」


「おっさんじゃない。卸値か?そうだな、魔石に三万、くしとエンチャント加工で5千、流通とギルドの利益を考えると、卸値は4万位だな」


「結構高いな。市場に出る価格をなるべく抑えておきたい。これはまだ第一弾なんでな」


「なるほど、小僧も商売人だな。わかった。卸値はなんとか3万。市場価格は4万で何とかできるように手配しよう」


「すまんな。初対面なのに優遇して貰って」


「いや、初対面でも儲け話は別だ。商人は鼻と感を利かせ投資しないとな。小僧も商売人だろ?」


「そうでもない。ただの学生だ。親が商売しているだけだ」


「話はついたわね。あとはいつも通りでお願い。初回の発明費はユーキに」


「ほら、小僧。ルエルちゃんがお前にだってよ。ありがたく受け取れ」


おっさんは俺に袋を一つ渡す。チャラチャラ硬貨の音がする。

特許とったから。その金額が入っているのかな?


「それと、販売マージンもユーキのギルカでお願い」


「小僧。カード出しな」


「ちょっと待ってくれ。それって、販売される限り、ずっとカードに金が入って来るって事か?」


「そうだ。いらないのか?小僧」


「いや、入れる先をルエルにしてほしい。俺はそんなに金はいらない」


「ユーキ、何故?ユーキのアイデアでお金になるのよ?」


「ルエル。俺と愛はいつまでここに居る?もっと先を考えてくれ」


「そう、そうだったわね。いつかいなくなってしまうものね」


寂しそうな表情のルエル。そうだ、俺と愛は元の世界に帰る為に、今ここに居る。

ただ、たまたまルエルと一緒に過ごしているだけだ。

たまたま。そう、ただの偶然だ。



「話は終わったか?ルエル、カードを」


ルエルはカードをおっさんに渡す。数分後、おっさんが戻って来る。


「早ければ今日中に開発して、市場に出すぞ、初めの数点は無料でルエルの店に届ける。それでいいか?」


「それでいいわ。ありがとう。ブロッサム、早く結婚して落ち着きなさい。でも私は売約済みよ。早く、他の人を見つけてね」


「お、おい!それってまさか!!」


「秘密よ。さ、二人とも、一回帰りましょう。そろそろお昼よ。ユーキにごちそうしてもらわないとね!」


「そうだね!お兄ぃ、いまお金持ちっぽいしね!なんでも食べられるね!!」



歩く足は、さっきより軽くお金も何とか手に入った。いくら入っているんだろう?

ルエルの店も、何とかして軌道に乗せないとね。


あー、なんだかお腹すいた!


「ユーキ、アイ。ありがとう。私、今とっても楽しいわ!」


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