ep.8 きみが笑うとき
「セイ、ほんとに大丈夫?」
「大丈夫だから、そんな心配すんな。ほら、マッチしたから」
言いくるめられたような気がして、まだ納得いかない。
けれど、夜半くんや野良の味方さんに迷惑をかけるわけにはいかない。
だから、仕方なくゲームに集中することにした。
そうして、一試合終わったあとに、私はチャットツールを開いた。
『明日、迎えに行くから。家で待っててね』
個人のチャットの方に打って、紙飛行機のボタンを押した。
そのタブを閉じると、下からゲームのタブが現れた。
「ユリさん、大丈夫?そろそろ始まりますけど」
「あ、ごめんね!全然大丈夫だから安心してっ」
そうですか。
そう言って、夜半くんがゲームに戻る。
それに少し遅れて、私もそちらに意識を飛ばす。
「セイ、左。右は私がやる」
「了解」
そう言って、強そうな右の方をキルしにいく。
その間、夜半くんは裏取りをしているみたいだ。
良く周り見てるなあ、と思わず感心してしまう。
その隙をつかれたのだろう。
私にダメージが入る。
けれど、自爆特攻だったようで、私は辛うじで生存。
予期せぬ形で、キルが取れた。
「セイ」
キル音……正確には、敵がデスした音だが……が、通話越しに聞こえた。
阿吽の呼吸、というべきか。
それとも、並々ならぬ絆で結ばれている、というべきか。
「ありがとな、夜半」
「どういたしまして」
その瞬間だけは、夜半くんの言葉は柔らかかった。
「今日はもう落ちるね、おやすみぃ」
あえてゆるい口調で話す。
誰が聞いても、カワイイって思うように。
「珍しく早いじゃん。おやすみ、ユリ」
「うん!おやすみ」
そう言って、私は画面を閉じた。




