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「ルシアンよ!」と呼んだら乙女ゲームが崩壊しました。〜メリバ転生した大天使は最強騎士で全ルート救済する〜  作者: 久茉莉himari


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22/33

【22】その応援席には、誰も座らない。〜三つの空白と、次なる恋イベント〜

遥斗が何も言えずにいると、ルチアーノがふんと鼻を鳴らした。


「俺様の友達、中野の為に考え抜いて、コールもうちわも電飾も止めたんだ……!!」


そして、シルクの赤いハンカチを噛むと続けた。


「俺様は……俺様の存在で、中野を応援する!!

お前はアンジュちゃんと応援しろ!!」


言うだけ言うと、ルチアーノは奥の席にいるルシアンの隣に行ってしまった。


遥斗が固まっていると、アンジュがにこりと微笑んで言った。


「ハルよ。

椅子に座らぬのか?

ルシアンに手伝わせようか?」


遥斗はアンジュの背もたれに手を掛け、立ち上がろうとして――


「……ヒィッ……!」と悲鳴が出そうになるのをぐっと堪え、「大丈夫です!」と返事をしながら椅子に座った。


なぜなら――

アンジュの椅子の素材は、明らかに体育館の応援席の椅子とは違ったからだ。


(……まさか……また理事長先生絡み……!?

そして、ルシアンくんが設置したとか……!?

……嘘だろ……)


すると、アンジュが楽しそうに宣告した。


「よろしい!

では、バスケットボールとやらの解説を頼む!」




アンジュはバスケットボールのルールを、全くと言っていいほど知らなかった。


遥斗は、体育でもやったのにおかしいな、と思いながらも、アンジュの素直な疑問に答えていた。


遥斗の解説に真剣に耳を傾ける、アンジュの美し過ぎる笑顔は可愛らしくて。


二人で白鳥学園に点が入るたびに、歓声を上げたり。


アンジュの青い瞳に、自分が映っている。


ただ、それだけで遥斗の胸は高鳴っていく――

が。


途中で気付いてしまった。


アンジュの右隣は三つ席が空いていて、ルシアンが座っている。

ルシアンの右隣はルチアーノだ。


その三つの席には――

誰も座らない。


満員の応援席で、誰も座らない。

立ち見も出ているのに、誰も座らない。


遥斗は試合どころでは無くなってしまった。


(……どうして……!?

何で誰も座らないんだよ……!?

座れば良いのに……!!)


遥斗が顔面蒼白でオロオロしていると、アンジュがにこりと微笑んだ。


「ハル、渡したい物があるのだ!」


「……えっ……?」


遥斗がぽすんと椅子に座る。


アンジュは小さなバッグから、真っ白な封筒を取り出した。


「家に帰ったら、見てくれ!」


もう、日差しは夕方を告げていて――

体育館の窓から差し込む光が、アンジュの真っ白な頬を薔薇色に染め、アンジュのサラサラの金色の髪がふわりとなびく。


遥斗は小さく訊いた。


「……なに?」


アンジュがふふっと笑う。


「それは秘密だ!」


その可憐な愛らしい笑顔。


遥斗は黙って封筒を受け取ると、リュックにそっと仕舞った。




そして、練習試合は終わった。


結果は白鳥学園の圧勝。


それまで大人しくしていたルチアーノが叫ぶ。


「白鳥、いい波乗りこなすぅ〜!

翔太は、いい波引き寄せるぅ〜!

リリカル、万歳〜☆☆☆」


そして、翔太に向かって深紅の薔薇の花束を投げる。


翔太は空中でキャッチすると、ニカッと笑った。


「ルチアーノくん、サンキュー!」


ルチアーノが高速で拍手する。


その隣に、ルシアンは居なかった――




それから、アンジュと遥斗は学校からの最寄り駅まで一緒に帰った。


いつものように、遥斗の半歩前を歩くアンジュは、とても誇らしげだ。


(翔太が勝って、アンジュちゃんも嬉しいんだ……)


遥斗は、練習試合の応援に来て良かったと心から思った。


そして、駅に着くと、アンジュはくるりと振り向き、煌めくような笑顔で言った。


「ハル!

勉強会も翔太のバスケットボールの応援も、とても楽しかったぞ!

封筒を見るのを忘れるな!

では!」


その瞬間――

遥斗は、地獄のようなお泊まり会兼勉強会も、なぜか空白だった三つの応援席も、ルシアンの存在も――

何もかも、どうでも良くなった。


(俺は……やっぱりアンジュちゃんが好きだ……!)


そして、遥斗も微笑むと答える。


「僕もですよ、アンジュちゃん!

封筒を見たらメッセージを送ります。

また明日!」


そうして、二人は別々の沿線へと別れた。




ぐふふ……。


理事長室に連なるロクシーの豪華な寝室で、ニヤニヤと笑うロクシー。


目の前にはパソコンが開かれている。


「どうなるかと思ったけど……これでハルの気持ちは持ち直した!

今夜封筒を開けば、ダメ押しになる!

絶対に次の恋愛イベントが起きるわ……!」


その横のスマホの向こう側に映るルチアーノも、ほくそ笑む。


「あの愚か者め……!」


ロクシーがギロリとルチアーノを睨む。


「あんたがハルを気に入らなくても、どーでも良いけどね……ルシアンを何で止めなかったのよ!?」


ルチアーノがギクリとし、笑いを引っ込める。


「……な、何のことでございますか……!?

俺様はロクシー先生の言う通り、予定していた中野の応援は辞めましたよ!?」


ロクシーが定規で手をパンパンと叩く。


「しらばっくれるな!

あの誰も座らない三つの席よ!

ルシアンがやったんでしょ!?」


「……それは〜……!!」


ルチアーノがシルクの深紅のハンカチを噛む。


「いくらこのメリバルートに転生した乙女ゲームから脱出する為とは言え……ハルとアンジュちゃんを二人きりにしなくてはならない……!!

ルシアンは、あの何も無い空間で耐えたのでありますッ……!!

ズッ友……健気!!」


次の瞬間、ロクシーがバシンと大きく定規の音を立て、ルチアーノがピョンとその場で跳ね上がる。


ロクシーは盤面を見据える軍師の目で言った。


「まあ、良い。

それで、ルシアンの暴走を止められたのならね!

でも、明日の昼休みは、あんたに掛かってる……!!

気を引き締めて、取り掛かるように!」


ルチアーノは深く頭を下げると、言った。


「……モチのロンでございます……!!」

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

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