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私の妹(姉)が可愛すぎる!  作者: カオルコ
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盗聴犯

「ふわああぁ……」


九月一日始業式。


終業式でも聞いた校長必殺『終わらない講和』で体力を根こそぎもっていかれたのか式が終わった今、私こと如月凛は眠くて仕方がなかった。


人間が誇る三大欲求の中でも私は睡眠欲が突出している。なので狭い廊下、皆がクラスに戻るなか人知れず欠伸も出てしまうというもの。


喧噪に乗じれば見つからないし、見られてなければみっともないということもないだろう。


だからそんな呆れた顔しないでよ涼。つーかなんでこっち見てんの? 早くクラスに帰りなさい。


にしても校長は日頃のニュースを見ないのだろうか。


昨今の異常気象に加え熱中症問題は学校全体が気を付けないといけない事象だろうに。そもそも今回話してた内容を前にも聞いたような気がするし。


嫌だ嫌だ。年を取るとどうしてこうも講釈垂れたくなるのかしら。先生方も注意しなさいよね。


なぁにが『浮かれるな! 変化には代償が伴う』よ。これを髪色が変わった生徒を壇上から指さして言うのよ? おかしいでしょ。


そもそも一ヶ月ちょっとの休み明けであーだこうだ言うのは止めてほしい。大体、危惧すべきはその人の根本が大きく変わる事じゃないの? 


善良だった人が悪の道に行くというのなら問題だけど髪色なんてただの外見じゃない。オシャレの一部だわ。それに今日まで十六年以上生きてきてたった一ヶ月の休みで変わるわけないじゃない。


高校デビューなんて言葉があるけどそれは間違いよ。人間は急には変われない。変われるのは変わろうとしてる人だけ。


ようするに今、校長が指導したところでとっくに遅いのよ。意味ないとは言わないけど時と場所を選ばないと効果は限りなく薄いんだから。あなたの頭みたいにね。


「ふふふ…」


なんだろ…ぼうっと思考を巡らせてただけなのにナイスな落ちをつけてしまった。さっそく家に帰ったら楓に聞かせよう。やっぱ止めよう。きっとバカにされる。


「凛っ!!」


「くっは! もう…抱きつかないでって」


「おはよ! 凛っ!」


ひとり妄想にふけっていると後ろから抱きつかれる。


まったく変わらないハーフ日本代表。

宝城香蓮だ。


にしても危なかった。

ニヤついてるところ見られてないよね? 


「どうしてニヤニヤしてたの?」


「見てたの!? 後ろから来たのにどうして!!?」


「へっへー。凛のことはなんでもお見通しなんだから。どう? うれしいでしょ?」


「普通に怖いわ。あと離れて」


夏休みも終わりうだるような暑さから解放されるかと思ったがさにあらず。


未だに三十度越えは当たり前でしかも香蓮は距離が近すぎる。というかゼロ距離である。汗かきたくないからマジ離れて。


「はあ…凛は我がままね」


「私が悪いの?」


頭おかしいのかコイツは。


「頭イカれてるんじゃないかこのバカは」


「出てる出てる! 口から本音が出ちゃってるから!」


「うそホントに? 出すつもりはなかったんだけど」


「出すっていうか想いが溢れちゃってるから! しかも想いのが優しい!!」


「ふふっ…相変わらず鬱陶しいけど今のツッコミちょっとだけ可愛いかったわよ」


「か、かわっ!? も、もう!!」


ポカポカと肩を叩いてくる香蓮はまるで小動物のように可愛い。暑いのか顔も朱色に染まっているから尚更に。


「そうやって直ぐ揶揄うんだから! そういうセクハラは私だけにしなさいよ!」


「全然セクハラじゃないでしょ。それに盗聴犯にだけは言われたくないわ」


「そ、それはゴメンって。そ…それより! 今日これから買い物行かない? 欲しい物があるのよ」


「欲しい物? あーそっか…そういえばそんな時期ね。すっかり忘れてたわ」


「ん? 凛も何か欲しい物でもあるの?」


「え? 香蓮も同じこと考えてるんじゃないの?」


「え?」


「え?」


きょとんと首を傾げる香蓮は何がなにやらといった感じ。


妙に話しが噛み合ってないと思ったらどうやら本当に知らないらしい。


考えてみればちょっと前まで海外にいた訳だし当然といえば当然か。


ならば教えてあげようか。



「二学期といえば修学旅行でしょ。三泊四日で今年は京都だって」


読んで下さりありがとうございます。


また更新します。

よろしくお願いします。

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