あーもうホントにウザいわね!
修学旅行とは?
日本において小学校、中学校、高等学校の教育や学校行事の一環として、教職員の引率により児童・生徒が団体行動で宿泊を伴う見学・研修のための旅行。
※ウィキペディアより抜粋
なあ~んて書いてあるけど…実際はどうなんだろね。
私が今まで行った修学旅行は見学はあっても研修などというものは存在しなかったと思う。修学旅行に参加する生徒もまた社会勉強に行くといった考えなど微塵もないだろう。
大半が『修学』という文字がさっぱり消え『旅行』の文字だけがクローズアップされてるに違いない。
声高に言わないだけで、はっきり言ってただの遊び。
こんなんで良いのと思わないでもないけど、まあ何事も本音と建前があるし一々突っ込むのは野暮というものだろう。
そう、ここはバカになって楽しんだ方が得策なのだ。
「ええーっ! 嫌! わたし絶対に行きたくないわ!!」
「しょうがないでしょ。文句言わないでよ」
「嫌ったら嫌よ! どうして凛と一緒の班になれないわけ!? 意味わかんない!」
こんなふうに文句言うぐらいなら何も考えない方がマシっていうもの。
始業式が終わった帰り道。
半ドンで切り上げると香蓮が泣きついて来た。
買い物に誘われた時に何も知らない香蓮に修学旅行を説明すると案の定ただの旅行だと思ってたらしい。(間違ってないけど)
しかも香蓮の頭の中では二人で行動する予定だったらしいから尚タチが悪い。
普通、修学旅行はクラス単位で行動することが多く、またその中で班をつくり行動を共にする。別のクラスで、しかも京都での見学コースがあらかた決まってるのに二人で行動するだなんてありえない話しなのだ。
だから今更駄々をこねても仕方がない。
「せっかく二人で京都旅行を満喫できると思ったのに…」
「まあ一応学校行事だしね。完全自由って訳にはいかないわよ」
「それにクラスで班決めして行動するだなんて…」
暗く表情を落とす。
さっきまで抱き着きながら、あーだこーだと騒いでたのにどしたの。急にテンションがた落ちされるとビックリするんだけど…。
「だって私、友達いないし…」
「あー…それはそうね…きついかも」
笑いながら明後日の方向を向いてやり過ごす。一緒にいることが多すぎて忘れてたけどそういえば香蓮って嫌われてたっけ。話せば結構良いやつなんだけどね。
「それはどうも。でも、クラスの有象無象なんて興味ないわ」
「いや、そういうとこ。そういうとこだぞホント」
さっきまで友達いなくて困ってたのに…。
自分からこういう態度取っちゃうからなあ。そりゃ嫌われてもしょうがない。
「大きなお世話よ。それに私も大概かもしれないけど凛は友達いるわけ? 班決めどうするの?」
「なによ急に? 言っとくけど私は昔からそういった班決めやチーム決めで困ったことは一度も無いの。心配無用よ」
「まあ運動も出来て頭も良い。黙ってれば容姿もそれなりに見れるとなれば声も掛かるだろうな」
「なに話しに入ってきてるのよ! 邪魔しないで」
「おっと。こりゃ失敬」
メガネをくいッと上にあげる青年は私よりも少しだけ背が高い。
鋭い目つきに背筋の張った歩き方は他の者を寄せ付けない迫力がある。
部長の涼だ。
「だ、い、た、い! 凛と二人で帰ってるんだから付いてこないでよ!」
「うるさいぞ金髪。たまたま下校がかぶっただけだろうが。すぐ別れるさ」
「当り前よ。ホントは今すぐどこかへ行って欲しいんだから」
「それは無理だ。如月に話があるからな」
「え、私?」
素で驚いて自分を指さす。
偶然とか言いつつそうでもないのね。
「さっすがストーカー! 偶然を装う所がまさにそれって感じ」
「盗聴犯にだけは言われたくないな」
「その呼び方やめて! あーもうホントにウザいわね! 凛もなにか言ってよ! デートの邪魔しないでって」
「ウソ…これデートだったの…?」
驚愕の事実に目をあんぐりさせていると涼が自分の携帯を指さした。
こそっと耳打ちされる。
「ここで話そうと思ったがやめておく。夜電話する」
「良いのそれで?」
「別に構わん。急ぎじゃないしな」
「ん、分かった」
軽く返事すると涼は足早に私たちのもとをさって行った。
「んべーっだ!」
香蓮がおもいっきり舌を出しながら涼の背を見つめている。
私は『何だったんだろうね』と言ってとぼけると香蓮と一緒に帰路についた。
「で、なんなの?」
『…何か機嫌悪くないか?』
「そりゃそうでしょ」
二十時過ぎ。
ベッドの上で胡坐をかくこと二十分。
そこでようやくといった感じでスマホが鳴り響いたのだ。少しばかり機嫌も悪くなるというもの。つーか電話する時間ぐらいメールしろよ。
『言われてみればその通りだ。すまん』
「このポンコツ。まあいいわ。で、なに?」
『そのことなんだが…』
急に涼が黙り込む。
電話口の向こう側で言いにくそうにしているのが分かる。
やめてよ。変に気になるじゃない。
『ああそうだな。すまなかった…実はな…』
ゆっくりと噛んでふくめるように涼は言葉を紡いでいく。
一つひとつ。
丁寧に。
確実に。
少しずつ染められていく思考が追いつくように。
その言葉は選んでいながらも驚嘆せざる得なかった。
叫ばずにはいられなかった。
「どういうことよっ!? なんで香蓮が殺されるわけ!!?」
読んで下さりありがとうございます。
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