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35歳バツイチオッサン、アーティファクト(美少女)と共に宇宙(ソラ)を放浪する   作者: エルリア


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312/316

312.違法カジノへと潜入して

「あそこか」


「はい、複数ある違法カジノの中でここが一番セキュリティが甘く色々と楽しめそうです」


やって来たのはヴァイス・コンコース内にあるカジノエリア。


エリアと言ってもルクスヴェガスのような豪華な感じではないけれども、複数のカジノが軒を連ね大勢の宙賊が出入りしていた。


大勝ちしたのか大騒ぎする奴、大負けしたのか身ぐるみ剝がされて入り口に捨てられている奴と様々だが、それだけ多くの金が動いている場所なんだろう。


そんな一角にあるとあるカジノ、見た目は他所と変わりないけれども屈強な警備員が二人入り口を固めているのはここぐらいなものだ。


セキュリティはばっちり、となると中もかなり厳しそうな感じなのだがどうやらそういうわけではないらしい。


「具体的に何が甘いんだ?」


「単純に使用しているマシンが旧型なんです。ポーカーやルーレットは一流を集めているようですけど、マシンは設定を悪くしておけばいいだけなので旧型でも問題ないと判断したんでしょう。たとえ設定を悪くしても当たらないわけではない、その裏をかいてティリス様にハッキングしてもらいながら同時ジャックポットを狙います。旧型ゆえに証拠は残りませんから安心して出来るかと」


「で、俺はそんな一流を相手に大負けして来いと」


「いえ、やるからにはそれなりに勝ってもらいますよ?」


「無茶言うなっての、こっちは素人だぞ?」


「素人があのコロニーで大勝ち出来ますか?」


前は人形をハッキングする形でアリスにサポートしてもらったが、どうやら今回は難しそうなのでガチで自分の力で勝たなければならない。


金はある、だが目的が決まっているだけにそこに頼るわけにはいかないわけで。


「そりゃお前がいたからだろ?今回は監視も厳しそうだし、どうするつもりなんだ?」


「そこはマスターの腕の見せ所です、大丈夫何とかなります」


根拠のない何とかなるほど不安なものはないんだが、アリスがそういうぐらいなんだから何か抜け道はあるんだろう。


ぞろぞろと女性陣を引き連れてカジノの前まで移動すると、屈強な警備の男が立ちふさがった。


「おいおい、客を入れないつもりか?」


「招待状は」


「そんなものあるわけないだろ」


「ここは認められた客しか入れない、さっさと帰れ」


「折角遊びたい気分だってのに・・・。これが見えないのか?」


「そ、そのコインは!」


大昔のホロムービーよろしくカイロスからもらったコインを突きつけてやると、明らかに動揺し始める。


向こうも仕事があるんだろうけど、こっちにもやらなければならないことがあるわけで。


「俺は気が短い、トウマ=ヴェイロンが来たと支配人に伝えろ」


「少々お待ちを!」


一人の男が慌てた様子で中へと入り、残された一人が必死に平静を装いながらこちらを見てくる。


「今日の客入りはいいのか?」


「きょ、今日は多い方です」


「そんなに緊張するな。お前らは仕事をしているだけだ、それを咎める理由はない」


「ありがとうございます!」


「まぁ、仮に実力で防がれてもうちのクルーがどうにかするけどな。この前の戦闘アリーナ、見ただろ?」


「貴女はあの優勝者の!」


「と、言う事だから下手なことは考えない方がいいぞ」


下手に手を出しても痛い目を見るだけだぞと、イブさんの栄誉を使って自分を強く見せるというなんとも情けない状況だが、まぁそれも処世術と言うものだ。


そんなことを考えていると、中に入ったもう一人が慌てた様子で戻って来た。


「お待たせしました!どうぞお入りくださいとのことです!」


「支配人は?出迎えもないのか」


「申し訳ありません、客の相手が忙しく出てこれないようです」


「支配人自ら相手をするのか?」


「それがここの売りですので」


なるほど、そういう部分も含めて狙い目ってことか。


とりあえず許可は出たのでぞろぞろとカジノの中へ、一見するとルクスヴェガスで見たのとあまり変わらない感じだが、思っている以上に客が多い。


そしてそのほとんどがディーラー卓に集まってポーカーやブラックジャック、バカラなどで楽しんでいるようだ。


「さて、とりあえず予定通りに行こう。アリスは俺とカード卓へ移動、イブさんとテネスは適度に遊びながらみんなの警護を頼む。その間にローラさんとミニマさんがスロットを回してティリスが大当たりを誘導する。当たったら軽く騒いでテンションの高いふりをしたまま金に換えて外に出てくれ、後はこっちで何とかする」


「わかりました」


「トウマさんはどうするんですか?」


「支配人たちの相手をして時間を稼ぐ。まぁアリスも一緒だから何とかなるだろう」


「マスターの介護はお任せください」


「いや、介護て」


別に介護されるようなことをするつもりはないんだが、一体何を遣らせるつもりなんだろうか。


余り固まっていると怪しまれるので早々に解散してそれぞれが持ち場につく。


「しかしあれだな、普通はヒューマノイドお断りって言われる所だがここはオッケーなんだな」


「まぁ違法カジノですから。向こうもそれを承知のうえで、ヒューマノイドではどうにもならないいかさまをしているのでしょう」


「カードの枚数を水増しするとかか?」


「まぁそんな感じですね。ようはカード枚数から逆算した確率論を防げばいいだけですから。後は透視系の装置にも反応しませんし、通信は全て傍受されています。もっとも、我々の通信はゴーストシップテクノロジーを応用していますので聞かれることはありません」


「なるほど、それは安心だ」


「それでは参りましょう。たとえ相手がどのような策を講じていたとしても我々の敵ではありません」


ムン!と気合十分なアリスを率いていざカード卓へ。


とはいえどこも大盛況なので、空いた場所を転々としながらプレイを続け様子を窺う。


「19だ!」


「こちら、20です」


「くそ、またか!」


ブラックジャック卓では常にディーラーが絶妙な点を出し、客を勝たせるつもりはないらしい。


だがあくまでもそれは普通の客相手なら、それをどうにかしてしまうのがアリスと言うヒューマノイドだ。


「21」


「ブラックジャックだって!?」


「すげぇ、これで何度目だ?」


「あのヒューマノイドが何かやっている感じはないし、どうなってやがる」


配られたカードはハートのエースとキング、これでナチュラルブラックジャックの達成だ。


掛け金は八十万、1.5倍になって帰ってくるのでテーブルのチップがあっという間に三桁になってしまった。


「・・・どうぞ」


「どうやら今日はツイているらしい、次はこれ全部いってみるか」


「二百万ヴェイルだって!?」


「これでブラックジャックだったら一気に五百万だぞ?」


「いや、この流れならあり得るんじゃないか?」


「すげぇ、見ものだな」


いつの間にか周りには大勢の観客が集まっている。


どれもむさくるしい連中だが、稀に美人の女宙賊も混ざっているようだ。


男共はそれしかすることがないから宙賊にっていうのは分かるんだが、あの美人は普通にしていても何かしらの仕事はできるだろう。


何故わざわざ宙賊になっているのだろうか。


なんて考えていると、突然横から燕尾服姿の女性が現れ項垂れるディーラーと席を替わった。


「失礼します、ディーラーを替わらせていただきます」


「随分と美人がついてくれるんだな」


「お褒めにあずかり光栄です」


「まぁ、どんな美人でもうちの女神には敵わないから許してくれよ」


「ふふ、それはどうでしょうか」


現れたのは細身の女性ディーラー、スタイルは大人しめだが誰もが振り返るような美しさの彼女はなんとも不敵な笑みを浮かべていた。

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