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第11話 しっかり鑑定してください

 

 今日も夢を見た。でも、いつも見る夢とは少し違う。

 老人なんて出てこないし、シンも出てこない。いるのは俺と知らない人ばかり。


 ひとつの部屋に机と椅子が何個も陳列されている。そして俺の隣には、女の子がポツンと座っている。誰なのかここがどこなのか全く検討もつかない。


「ねえ××××、私のことちゃんと見つけてね」


 そう言って俺に微笑みかけてくる姿を見ると、妙に懐かしさを憶える。というかちょっと気恥ずかしささえ感じる。


 顔を確かめたくても、もやがかかっているようではっきりとは見えない。

 不思議な感じ。見えないのにここにいると幸せを肌で感じられる。ずっとこうしていたい。そんな思いすら浮かんでくる。


 しかし見ているのは夢だ。起きれば現実に戻され、どんな夢を見たかは曖昧になってしまう。

 そんなことを考えているうちに、声が聞こえてきた。


「…………………ン」


「………ろ、セン」


「起きろ、セン」


 段々と鮮明になってくる声は、ロゼリーのものだった。どうやらもう朝になっていたようだ。


「やっと起きたー、もう7回起こしたのよ。寝すぎじゃないかしら」


「わるいな、こちとら疲れてたんだよ」


 依頼のドロンカゲを約1000体倒した後に、エウルディスの襲撃があったため、思ってる以上に体が疲れていたみたいだ。


「もうみんな起きてるみたいだな」


「あんたより寝てた寝坊助さんなんていないわよ。ほら、早く体起こしなさい」


 ここだけ見れば、完全にロゼリーは俺の母親みたいになっている。弟もいるし誰かの世話をするのは慣れているのだろう。


 体を起こして、身丈を整えてから三人が団欒している場所へ向かった。


「遅かったなセン。君が最後だぞ」


 話しかけてきたのは、サラサラな灰色の髪色をした俺と同じくらいの背丈のエウルディスだ。

 結構ギスギスした空気感になっていると思っていたが、想像よりも和んでいるようで安心した。


「出会ってからまだ1日も経ってないのに名前呼びとは驚いた。結構フレンドリーなタイプなんだなお前って」


「悪いか?」


「いいや?パッと見た感じ歳もそんなに変わらないだろうし、そのほうがやりやすいよ。改めてこれからよろしくな、エウルディス」


「エウルでいい。よろしく頼む」


 こうやって接しやすいと非常に助かる。昨日の夜は、なんだか負い目を感じているようだったし、その状態が続いてたら、気まずくなっていだろう。


 ロゼリーやステラとも仲良くしているようで良かった。しばらくは落ち着いて過ごせそうだ。


「これからどうする?なにか決めてるの?」


「一旦ブリセンドで依頼の達成報告と、そこで討伐して得たドロンカゲの素材を売ろうと思ってる。次の街までの旅費は稼げてるだろうから、次の街まで行くよ」


「次の街ってどんなところなんですか?」


「明確に行き先が決まってるわけじゃないんだ。だから俺にも次どこに行って、そこがどんな場所なのか分からないんだ」


 魔王を倒すのが目的ではあるが、どこにいるかは分かっていない。だからいろんな所へ行って情報を集めるのがいいだろう。

 どこに行くかは……ギルドの受付さんにでも聞いて決めればいいだろう。


 とりあえずブリセンドへ戻ることにした。








 まず俺たちが向かったのは換金所だ。とりあえず今持ってるドロンカゲの素材をいち早く売りたい。かなりの数あるから結構重たいんだよねえ。あと、ギルドよりも手前にあったし。


「すいませーん、これ換金して欲しいんですけどー」


「居ないのかしら」


 参ったな…居ないとなるとこの重さの素材をまた持ち運ばなければならない。それだけはヤだ、絶対にイヤだ!

 頼むから居てくれよー?


「お待たせしてしまい申し訳ありません。少々立て込んでいるもので。ご用件は…素材の換金でよろしいですね?」


 居てくれたことに「ほっ」としつつ、今まで溜め込んでましたとでも言わんばかりの量のドロンカゲの素材を渡す。


「いくら位になりそうですかね」


「少々お待ちください…えっと、失礼を承知でお聞きしますが討伐されてこられたんですよね?」


「ん?ああ、そうだよ」


 まあ無理もないか。なにせこんなに大量にあるんだ、なにか悪いことでもしてきたんですか?ぐらいの疑いが出てくることくらい頭の片隅にはあったさ。


「これ……本物じゃないですよ」


「「「「え」」」」


 予想外の結果に四人とも目が点になってしまっている。え、偽物!?そんなバカな……

 戦った感触やドロンカゲの特性は完全に本物そのものだったはずだ。違和感は一切感じなかったぞ。


「私の固有魔法︎︎ ︎︎"︎︎︎︎ ︎︎見た物の成分が分かる(インサイドスコープ) ︎︎"︎︎で今まで見てきたドロンカゲのものと明らかに違います」


「俺たちは確かにドロンカゲを倒して素材を手に入れたんだが?」


「それは私には確かめようがないので……あっ、これは本物の素材ですね、あとこれも」


 そう言って差し出してくれた素材を見比べてみるものの、全くわからん……どちらもドロンカゲの尻尾そのものだ。

 個体差で少し変わる…とかはないか、人間ですら違う物質で構成されているなんてことはありえないしな。


「とりあえず、換金出来るものは換金してください。あとの素材は換金しなくていいんで、謎の解明にでも使ってください」


「わかりました、そうさせてもらいます」


 全て本物だった場合の金額は約十万ルーナだったが、七割が偽物で換金出来なかったため、手取りは三万ルーナだ。

 当初の予定と大きく違うが、まあいいだろう。依頼料もギルドから受け取れることだし、次の街に行くことには変わりないな。


「ねぇセン、ドロンカゲ倒してた時ってなにか違和感とか感じた?」


「いんや?感触に違いはなかったぞ」


「ならやっぱり偽物だなんておかしくないかしら?成分が違うのに感触が全く同じになるとは思えないわ」


 ロゼリーの言うことには痛く共感できる。正直なところ、換金所の人が俺たちを騙している可能性だってなくはない。でも、あれを仕事にしている以上、そんなことは可能性としては低すぎるため考えなかった。嘘ついてる感じもしなかったし。


「気にしすぎだロゼリー、新種見つけただけかもしれないだろ」


「その可能性は低すぎないかしら……」


 考えていても無駄な感じしてきたし、一旦ギルドに戻って依頼達成金でももらうかな。








「ステラとエウルはここで待っててくれ、すぐ戻る」


 ギルドに登録している俺とロゼリーだけがギルドに入ることにした。ブリセンドからは発つ予定だったし、ステラとエウルが登録だあーだこーだってなったら面倒だしな。


 ドアを開けたらまたゴリマッチョのオッサンにでも絡まれるかと思っていたが、その予想とは裏腹にギルド内はやけに静かだった。人が居ない訳では無い。誰も言葉を発していないのだ。


「なんでこんなに静かなのかしら。不気味ね」


 そんなにはっきり言わないでよ……今ものすごい閑静な空間なんだからさ、自分が言ったことはっきり聞こえちゃうのよわかる!?


「依頼達成手続きしたいんですけど、今大丈夫ですか?」


「えっ?あっはい、大丈夫ですよ」


 なにかお取り込み中の様だったが本当に大丈夫なんだろうか。ちゃちゃっと終わらせればいいか。


「ドロンカゲ討伐依頼の達成の証明としてドロンカゲの尻尾三つの提示をお願いします」


「あいあい」


 持ってきていたドロンカゲの尻尾を机に置く。

 一応持っておいて良かった。もしかしたら偽物かもしれないけど。


「確かに受け取りました。では達成金の三万ルーナです」


「ありがとうございます。聞きたいんですけど、ドロンカゲが大量発生してたのってなにか理由あったりします?」


「それが分からないんです。というかドロンカゲに限らず、他の魔物も増えているようで……中には相当強い魔物もいるので、それと対峙した冒険者さん達がボロボロな状態で戻ってきてるんです」


 なるほど。だからこんなにもギルド全体が暗いのか。冒険者という職業柄、仲間の死という存在は常に隣にある。それがあるのと実際になるのとでは気構えは変わるだろうけど。


 ……ん?ってか待てよ他でも大量発生してんの?じゃあ原因ってなんなんだよ…


「なんかおかしなことになってきてるみたいね、魔物の量といい、あの怪物といい」


 あーダメだ。この可能性は考えたくなかったのに、ここまで不自然が重なってくると考えざるを得ないか……人工的な魔物の存在を。


すこし書き方変えてみたヨ

投稿間隔割と空けすぎて自分でも今何書いてるのかわかんなくなってきてる


人物録

セン・シルヴァ

黒髪でどこぞの火のドラゴンスレイヤーみたいな髪型してるイメージ

固有魔法は氷、他に二つ持っている


ロゼリー

狼の獣人で銀色のパサパサした腰ぐらいまであるロングヘアー

固有魔法は活性化


ステラ

髪は淡い色のベージュで透き通った質感のあるロングストレート、中学生くらいの幼さ

固有魔法は???


エウルディス

どこぞの水色髪の勇者と似た髪型。色はグレー

身長はだいたい173ぐらい。センと同じ

固有魔法は影と毒

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